「腎臓、即売!」インターネット上の臓器売買の実態(YeniSafak紙)
2006年11月12日付 Yeni Safak 紙

ネット上の家、車、家具などの広告に「臓器」も加わった。自分の腎臓や肝臓を売ろうとする多くの人の理由は同じである。「クレジットカードの泥沼に陥り、借金に苦しんでいる。他に方法はない・・・」

ネット上の家、車、家具などの広告に「臓器」も加わった。腎臓や肝臓を売りに出す人は、電話番号とEメールアドレスを掲示して、買い手と連絡をとっている。広告には「酒もタバコもやりません。血液型は○○です。早急にお金を必要としています。本当に必要な方々はぜひとも連絡ください」などと書かれている。我々は、ネットで腎臓や肝臓を売りに出した人から話を聞いた。個々の興味深い理由で臓器を売ろうとする者の大半は、「クレジットカード負債」にはまり込み、他に方法がないのだと口々に語った。臓器売買を仲介するS.Cは、臓器売買について「臓器の買い手側は、売り手の全ての費用を負担する。病院や医師も紹介する。売買はこのように行われる」と説明した。

■裕福に見せかけるために
ドゥズジェに住むC.Dはクレジットカードで340億トルコリラ(2960万円)の借金があるとし、次のように語った。

「結婚して5年経ち、2人の子供がいます。自動車生産部門で働いていましたが、今は無職です。妻を大変愛していました。彼女の家族にお金を渡さないと、(結婚を)逃してしまいました。妻の家はとても裕福で、彼らに貧乏だと思われないようにと、私の母は高い買い物をしました。クレジットカードの借金は段々と膨らみ始め、どうにも立ち行かなくなりました。私の給料は少なく、借金を返済できませんでした。今は賃貸に住んでいます。最後の手段として腎臓の売却を考えました。ある友人がインターネット上に広告を出すよう薦めました。購入希望者はいましたが、費用の面で合意できませんでした。家族には話していません。私も腎臓を売りたいとは思いません。しかし、他には方法がないのです。」

■他に方法はない
エルズルムに住む34歳のU.Kは既婚で2人の子供を持つ父親である。息子は3年前にパン焼きのかまどに落ちて火傷を負った。息子の治療のために銀行からお金を借りたU,Kだが、増え続ける利子を支払うことができず、借金はどんどん増えていったという。

「ひまわりの種をまきましたが、生活は苦しいままなのです」と語ったU,Kは、「クレジットカードで350億トルコリラ(3056万円)の借金があり、移植検査のために4億トルコリラ(34万円)をかけました。腎臓を売ることにしたのです。他の方法などありません。これほどのお金を工面することは不可能なのです。友人の勧めでインターネット上に広告を出しました。今までに6人の希望者がありましたが、細胞組織が合いませんでした。本当に惨めです。」

■キューバに行きの資金に
ネット上に最も多くの広告を出していたもう一人の人物はイズミルに住む30歳のS.Cである。S.Cは我々の電話に対し、最初「売り手」として応じていたが、後から「他の人を紹介しよう。そいつと話しをつけな」と話した。彼に「なぜこの仕事をしているのか」と聞いたところ、「キューバに行きたいから」との答えが返ってきた。広告を数多く出しているため、自分に接触してくる人は沢山いる、とS.Cは語った。このようにして、S.Cは「買い手」に「売り手」を紹介している。ブローカーであるその人物は腎臓販売の流れを次のように説明してくれた。「腎臓を売りたいと考えている人の全ての費用は、買い手が負担する。買い手は病院や医師と話しをつける。全てが終われば誰もお互いに接触したりしない。私も仲介料をもらう。ことは以上のように行われるんだ。」

■名誉を回復するために
アンカラに住む23歳のY,Iは、商売のために何人かで働いたものの、その後大きな借金を抱えてしまったと話してくれた。「家族の経済状況はかなり悪い。大変厳しい状況だ。やった仕事では稼ぐ事ができなかった。かなり借金をした。そのせいで、みなが私を見下す。名誉を回復する絶好のチャンスとして腎臓を売る。このことがどんな危険を生み、どのように行われるかって。そんなことに関心はない。ただ名誉を回復したいだけ。」

■婚約者に捨てられて
家族と同居する30歳のK,Iは破産してから気を持ち直すことができなかったと話した。お金がなくなった後、婚約者との間で大きな問題が生じたというK.Yは、「婚約者をとても愛していた。問題が起きたのは私の職場の倒産後です。私は精神的におかしくなってしまった。私は捨てられた。今は働いてるけど、安定した収入があるわけではない。自分の人生を立て直したいと思い、腎臓を売ることを決意した」と話してくれた。

■親族からの移植だけが合法
トルコ腎臓財団のビラル・ギョルチン博士は、親族からの臓器移植だけが合法であるとし、「憶測に過ぎませんが、臓器売買はかなり行われているでしょう。そうしたことに加担してはいけません。死体からのみ臓器移植はできます。臓器を売ろうと財団に来る人もいますが、私どもは決して彼らに関わったりしません」と話した。

■何千人もの患者が臓器を待っている
記念病院一般外科・臓器移植部部長のミュンジ・カラヨウル医学博士は、毎年3万人以上の人が臓器移植を受けられなかったために亡くなっているとし、以下のように語った。

「慢性の腎不全の患者は3千人にのぼり、週三日の人工透析器で命をつないでいます。特に心臓、肝臓、腎臓の移植を待つ患者は、自分に合った臓器を見つけられないがために、死が早まっているのです。」

■懲役5年から終身刑
トルコ刑法(TCK)91条によれば、移植の同意を得ずに臓器提供をうけた人は、5年以上9年以下の懲役に処せられる。細胞組織の場合は2年以上5年以下の懲役である。臓器や細胞組織の売買やその仲介に関しては、5年以上9年以下の刑罰が科せられる。組織的に売買が行われた場合には、8年以上15年以下の刑罰に処せられる。非合法的な手段で入手した臓器や細胞組織を秘匿した者、輸送した者、手術を行った者は2年以上5年以下の懲役に科せられる。何らかの利益の見返りに臓器や細胞組織を確保しようと広告や宣伝を出した者または掲載した者は1年以下の懲役である。移植の結果患者が死亡した場合には、故意の殺人罪に準ずる判決が下される。



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( 翻訳者:松岡聡美 )
( 記事ID:3883 )