法王-宗務長官会談:法王は「謝罪」、長官はイスラムフォビアに不快感(Hurriyet紙)
2006年11月29日付 Hurriyet 紙
ローマ法王は、ドイツでのイスラムに向けた批判を含めた談話の「謝罪」として受け入れられうるコメントをした。
ローマ法王は、「イスラム教は平和の宗教です。真の知性と学問によって練り上げられました。全ての宗教のように、イスラム教も平和をもたらしました。その教義は知性と平和の上に作られました」と述べ、次のように語った。
■光栄です
「私にとってここにいることや、トルコの方々の創造力を目の当たりにできることは大変に光栄なことです。みなさんの宗教の歴史を理解することは私に喜びをもたらしてくれます。」
■神がお遣わしになった
「ヨハネ23世は、イスタンブルで教皇使節の任を務めた際の印象を次のような言葉で表現しました。『私はトルコの人々を愛しています。神は私を彼らのところにお遣わしになりました。トルコの人々がもつ自然の属性を私は高く評価します。この社会で、文明の分かれ道に位置する人々なのです』と。私もトルコの国民が、志の高い民族、国民であることを強調したいと思います。」
■共通の道
「キリスト教徒とイスラム教徒はみな、それぞれが宗教の伝統に基づき、アブラハム(イブラヒム)に連なる、唯一神を信じる家族の一員です。過去と未来において精神的・人間的共同体である私たちは、この時代の特徴である基本的価値の模索について、共通の道を探ることに(神によって、あるいは宗教によって)向けられているのです。」
■イスラムフォビアに不快感
宗務庁長官アリ・バルダクオールは、ローマ法王ベネディクト16世と共に30分の予定が40分に延長された会談後の共同記者会見で、世界で次第にエスカレートしている「イスラムフォビア」に触れ、不快感を表明した。バルダクオール長官は次のように語った。
■イスラム教徒はテロに反対
「我々イスラム教徒は、あらゆる種類の暴力とテロを、それが誰に対して、誰によるものであろうと、人道上の罪とみなします。我々が属する宗教は、ひとりの無実の人間の血を流すことを、全人類を殺すことのような重い罪悪と見なす教えに従っています。」
■イスラムフォビアがエスカレートしている
「近頃、イスラム教は暴力を煽るとか、その信仰が世界に広がったのは武力によるものだとか、イスラム教徒が潜在的な暴力の実行者であるなどとと考える『イスラムフォビア』が次第にエスカレートしているのを共に目撃しています。」
■遺憾である
「正義と良心によっても和解しないこの告発や主張に対し、本来平和を意味する言葉である「イスラム」を信じるすべての信徒が、非常な悲しみと不満を感じていることを申し上げたいと思います。」
パスポートなしで入国
■国を超越した存在
その宗教的立場のため国を超越する人物として認められているローマ法王ベネディクト16世は、他国と同じようにトルコへもパスポートを持たず訪れた。随行の宗教者たちとその他の代表団の者たちはパスポートを携え入国した。
■TRT(トルコ・テレビ・ラジオ協会)の放送
訪土はTRTにより世界に中継された。しかし世界は、ローマ法王がアタテュルク廟の霊廟の前で敬意を表すために立ち止まり、祈りを捧げた姿を、TRTのテレビカメラの方向がずれていたため見られなかった。その際の映像は、儀式を行う兵士と、兵士の後ろに耳だけが写されたローマ法王と代表団であった。
■アル・ジャズィーラが放送
訪土は、「アラブ世界のCNN」と言われるアル・ジャズィーラテレビ放送でも生中継された。ドイツの民間テレビチャンネル「N24」と「N-TV」は、空港での会見を生放送で流した。
■報道関係者2065人
歴史的訪問の報道のためアンカラから458人、イスタンブルから477人、イズミルから124人の合計1059人のトルコ人、外国人の報道関係者も、アンカラから344人、イスタンブルから575人、イズミルから16人の合計935人が取材許可を取得した。ローマ法王と共に71人の報道関係者がトルコを訪れた。
■世界〔エキュメニカル〕総主教座
フェネルに位置するギリシャ正教会の総主教は、ローマ法王の訪土に備えて更新したインターネットサイト www.patriarchate.orgと、すべての文書で「コンスタンティノープル・新ローマの大主教、世界〔エキュメニカル〕総主教」という称号を使った。
■コーランの一節が書かれた花瓶
宗務庁長官アリ・バルダクオールは、ローマ法王ベネディクト16世と行った歴史的会見で「アッラーは天と地の光」というコーランの一節が書かれたパシャバフチェ社製のコレクションシリーズから花瓶を1つ贈呈した。約40分続いた会見の際、ローマ法王は、長官にイタリアの首都ローマにあり、ローマ帝国の最も重要な建築物とみなされているコロセウムが描かれた絵を贈呈した。
■桁外れの警備
ローマ法王のためにとられた保安対策は、アメリカのブッシュ大統領の訪土や2004年NATOサミットの際にとられた対策でもみられなかったほど高度なものだ。エセンボア空港の入り口では、車輌はあらゆる場所をくまなく調べられた。通行許可が与えられた車輌は、約500メートル先で2回目の検問を通った。空港のターミナル出入口では特殊作戦部隊が任務に就く一方、ヘリコプターも安全監視飛行を行った。カメラなどの機器も、「タラ」という名の警察犬によって検査された。
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( 翻訳者:富田祐子 )
( 記事ID:4007 )