300人以上の死者を出したメッカ巡礼中の事故で、エジプト人も20人死亡(アル・アハラーム紙)
2006年01月14日付 Al-Ahram 紙
■ 石投げの儀式で起きた悲劇により、エジプト人巡礼者20名が死亡
■ 巡礼者が一時に殺到し362名の犠牲者を出した背景には厳格なファトワー(宗教的見解)
■ エジプト巡礼団長:「多くの負傷者が出ているため、死者の数はさらに増えると予想される」
2006年01月14日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【メッカ━本紙特派員団】
およそ200万人の巡礼者を強い悲しみがおおう中、石投げの橋上で一昨日に起きた痛ましい悲劇的事件の原因をめぐって様々な説が飛び交っている。また犠牲者の人数についても見解は一致していない。
ミナーに近いアル=ムアイスィム検死室副室長であるハサン・サーリフ・バハシュワーン氏は、橋の上で圧死した人数は362名近くに上り、その中にはエジプト人100名が含まれると公表した。
エジプト公式巡礼団長を務めるサーミフ・ファフミー技師は、この事故でエジプト人巡礼者20名の死亡を確認、また他にも負傷者がいることから死者の数はさらに増えることが予想されると発表した。またメディアのニュースやレポートが伝えている死傷者数は、サウジアラビア王国内のいかなる公式方面からの声明にももとづいていないことを明らかにし、エジプト人巡礼者に関してはいかなる詳細でも、情報が入り次第、発表すると付け加えた。
すでに数多くの巡礼者が厳格な宗教者たち、なかでもアラファート山詣での二日前に説教を行い、正しい石投げは正午から日没までの間に行われたものだけであるというファトワーを発した者たちの責任を問うている。このファトワーのために200万人を超える数の巡礼者が望ましい時間帯に間に合おうと殺到し、そのうちの数百人が踏み潰されて死亡する結果となった。(中略)
一方、インドネシアの宗教指導者は昨日、フランス通信社に対する声明の中で、将棋倒しが起きた原因は巡礼者たち、なかでもアフリカからの巡礼者たちが列を守らなかったためであると述べた。さらにインドネシア・ウラマー評議会のアミードハーン副議長は、各国が組織したツアーに参加していなかった巡礼者たちには石投げの儀式の際に守るべき安全上の指示が伝えられていなかったとしたうえで、大半のアフリカ諸国の国民たちはもっとも多くの巡礼者で込み合う数時間に石投げをすることは避けるという指示を知らなかったと語った。しかしながら134名のインドネシア人も将棋倒しによって死亡している。
またこの悲劇的な事故による死者を出した各国の外務省からは、次々と声明が発表されている。パキスタン外務省は死亡したパキスタン国民は35人を下回らないと発表、中国は4人の中国人の死亡を発表し、インドはインド人の犠牲者を26名以上と推定、トルコも5人の死者を確認している。(後略)
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( 翻訳者:勝畑冬実 )
( 記事ID:1711 )