法王暗殺未遂犯の早すぎる釈放に手続ミスの可能性(Milliyet紙)
2006年01月18日付 Milliyet 紙

本紙元主筆でトルコ出版協会元会長のアブディ・イペックチ氏殺害の犯人であるメフメト・アリ・アージャ服役囚が、イタリアでの服役期間を誤って計算したことにより、刑期を終える前に釈放されていたことが判明した。論争の原因となる刑期の算出を行ったカルタル共和国検察庁も誤りに気が付いた。アージャ服役囚のイタリアでの収監期間は実際には19年1カ月であったにもかかわらず、20年として換算されていた。アージャ被告の釈放に関する刑期を算出した同検察庁は、再調査の後、法務省へ送付した文書で、アージャ服役囚の釈放をめぐって司法が混乱したのは「尋問がトルコの司法により行われたとみなされていた」ことが原因であると結論付けた。

■誤りだった可能性
法務省も、検察庁の要請により、ローマ法王暗殺未遂事件の審理が行われたイスタンブル第6重罪裁判所から内容を調査すべく関連書類を求めた。書類は法務省へ送られる一方で、事件に関連してアージャ服役囚が、1989年にイタリアで通達に基づき尋問を受けたことが、刑期の軽減という事態を生み出す要因となったことが分かった。

犠牲祭の休暇中、刑期の計算に誤りがなかったかどうかを、検事からなる委員会と調査したカルタル検察庁は、アージャ服役囚がイタリアで収監されていた期間が19年1カ月ではなく20年として計算していたことを明かした。法務省へ送られた文書には、今回の事態が「検事の活動を監督するのが法廷の役割であるが、検事が異議を唱えたため2つの別々の裁判所が決定を下したことから(生じた)」と記されていた

また文書は、誤りがあるとしたら、法の間違った解釈が原因であるとし、「検事からの異議を精査する立場にあった、(イスタンブル第6重罪裁判所の)上級裁判所であるウスキュダル第3重罪裁判所の判断に誤りがあった可能性がある」と述べた。さらにアージャ服役囚に関する文書を集めたファイルに、マルテペ軍事刑務所からの脱走に関する判決文が見当たらなかったことも、釈放をめぐる今回の論争を引き起こしたもう一つの原因であると指摘した。裁判所は釈放の決定を下す際に脱走事件を考慮に入れていたが、これについて別の量刑を与えていなかった。

■奇妙な偶然
複雑な書類における奇妙な偶然は、法王暗殺未遂によりアージャ服役囚がトルコで裁かれることに反対した当時のイスタンブル第6重罪裁判所のオスマン・シリン裁判長が、現在最高裁判所第1法廷の副法廷長になっていることだ。

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( 翻訳者:塚田 真裕 )
( 記事ID:1738 )