イスタンブルでアラブ諸国を中心にイラク問題についての会議開催―アメリカ、イラク政府は反発(Hurriyet紙)
2006年12月16日付 Hurriyet 紙
イスタンブルで開催された会議には、スンナ派の宗教的指導者が参加した。イラクのスンナ派ウラマー委員会の指導者シャイフ・ハーリス・ダーリ師の参加は、アメリカとイラク政府に不快感を生んだ。イラクのシーア派及びクルド人勢力は、アルカイダとタリバンとのつながりを主張し、イラクでの内戦の責任を同師に帰している。
イラク、カタール、イエメン、サウジアラビアからスンナ派宗教指導者が参加し、「イラク国民への援助」を目的として、カタールに本部を構える「好戦性に対するグローバルな抵抗の主導(Global Initiative for the Struggle against Militancy)」によりイスタンブルで会議が開催された。この会議にアメリカとイラクの中央政府は不快感を示したと伝えられた。ワシントンとバグダッドの不快感は、イラク人のスンナ派ウラマー委員会の指導者シャイフ・ハーリス・ダーリ師が会議の開催で指導的役割を果たしたことに起因している。
■ 会議はタリバンが主催!?
イラクのクルド人とシーア派勢力は、国内の「内戦」はダーリ師に責任があるとし、このスンナ派指導者はアルカイダとタリバンと直接つながりがあると主張している。アメリカはこの主張に信憑性を認めており、ダーリ師が禁止されているにもかかわらず、イラクへ時折不法な手段で入国し、主にサウジアラビアとヨルダンで生活していると主張された。
■この会議は延期されていた
イスタンブルでの会議は、当初11月15-16日に開催が予定されていた。12カ国から150人の代表者が参加した会議を組織したこの団体は、会議の延期はイラクのヌーリー・アル=マーリキー首相の圧力を受けたトルコ政府の要請によるものだと主張した。
イスタンブルのカヤ・ラマダ・ホテルで開催された会議には、イラク・テュルクメン公正党のエンヴェル・バイラクタル党首、イラクの(スンナ派)ウラマー委員会の指導者シャイフ・ハーリス・ダーリ師、イラクのスンナ派の知識人、カタール、イエメン、サウジアラビア各国のNGO代表と知識人が参加した。
■イランの影響も取り除く
メディアへの非公開の会議後、ジャーナリストの質問に答えたハーリス・ダーリ師は、イラクにおける状況はアメリカの占領が原因であり、アメリカによる占領が紛争を煽ったと述べた。同師は、アメリカの占領は即座に終了されるべきだとし、「イラクにおけるもうひとつの不安定要素とみているイランに関しては、イラク国民としてイランの影響も取り除くことになるだろう」と語った。
■ 外務省は否定
イスタンブルでの会議が「タリバンはトルコにきているのか?」との質問を招いたことは、トルコ政府により反論された。外務省筋は、会議にタリバンが参加しているとの話は事実無根である、という見解を述べた。
外務省のナムク・タン報道官は、書面による回答で、この会議がイラクの治安に貢献することを望んでいる、と述べた。タン報道官は、「トルコは自由な国家です。我々の国で毎日、民間組織によって何十もの会議が開催されています。イスタンブルでのこの会議も、こうした無数の会議のひとつとみています。マーリキー首相を首班とするイラク政府への我々の支援は、同首相の11月の訪土の際に明確に取り上げられたように、継続しているのです」と述べた。
■ イェニ・シャファク紙の記事
政府に近いことで知られているイェニ・シャファク紙のコラムニストであるイブラヒム・カラギュルも、昨日(15日)の「天上の王国と地上の天国」という名のコラム記事で、「トルコが組織した2日間の会議にタリバンの代表が参加したことは、あなた方にとって興味深くありませんか?アフガニスタンとイラクで多くのことが変わっていくようです」と記した。
■ アメリカとイランに責任
(イスタンブルの)ベイリキドュズュにあるカヤ・ラマダ・ホテルでの会議で、何人かの参加者は、会議の前に、数珠を手にかけ、祈りをささげた。また参加者の一部は注意深く手にした資料を読んでいた。
女性のジャーナリストは、会議主催者の警告に従い、頭をスカーフで覆った後、会議の結果報告会場に入ることが認められた。
「好戦性に対するグローバルな抵抗の主導」のアブドゥッラフマーン・ブン・アムル・エナイミ事務局長が読み上げた結果報告では、イラクの人権侵害は、アメリカとイラン両政府に責任があるとし、「アメリカ軍がイラクから完全に撤退すること、及び、イランのイラク内政への干渉の中止」を要求した。
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( 翻訳者:富田祐子 )
( 記事ID:4139 )