中東和平再開と拉致兵士問題解決に向けたエジプトの外交努力
2006年11月29日付 Al-Ahram 紙

■ 中東和平再開に向け集中的な努力、ムバーラク大統領は今週土曜日にラブロフ露外相を迎える
■ ウマル・スライマーン情報長官、イスラエルのオルメルト首相とパレスチナ・イスラエル間の捕虜交換について協議
■ ハニーヤ首相、イスラエルに3時間足止めされた後、カイロに到着
■ ライス国務長官が明日エリコでアッバース大統領と会談、ガザ停戦への米政府の支援を確認

エジプトはこの数時間のうちにイスラエル・パレスチナ間の和平プロセス再開とパレスチナ人への封鎖解除に向けた集中的な外交活動を開始した。そうした活動の一環として、パレスチナのイスマーイール・ハニーヤ首相は昨日カイロに到着し、同じく今日、イスラエルのオルメルト首相と会談するためエジプトのウマル・スライマーン情報長官がイスラエルに到着する予定。
またホスニー・ムバーラク大統領は今週土曜にシャルム・シェイフでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相を迎え入れ、パレスチナ問題をはじめ共通の関心事である国際・地域問題、エジプトとロシアの二国間協力について協議を行う。

【ガザ:アシュラフ・アブルホウル本紙特派員】

 イスラエル放送は昨日、今日イスラエルで行われるウマル・スライマーン情報長官と、オルメルト首相ほかイスラエル高官との会談は、イスラエルの刑務所に収監されている数百人のパレスチナ人捕虜釈放の見返りとして捕虜に取られたイスラエルのギラード・シャリット兵士の解放を行うという取引締結の可能性に加えて、先週の日曜に発効した両陣営間の停戦合意についても協議する予定であると報じた。

 また同放送は、イスラエルのアミール・ペレツ国防相が一昨晩、ウマル・スライマーン情報長官と電話会談を行った際、イスラエル南部のスデロットに対するミサイル攻撃停止をパレスチナ人に促すよう同長官に求めたと報じた。

 一方、ラファハのアフマド・サリーム本誌特派員が報じたところによれば、ガザ地区から(エジプト側の)ラファハ国境に到着したハニーヤ首相は声明を出し、パレスチナ側のラファハ検問所で三時間も足止めされた原因は、パレスチナ・ナンバーの車でガザから出国することに対してイスラエルの許可が下りなかったためであると確認した。続けて首相は、イスラエル側と何度も接触を取ったエジプトの努力によって、その車で入国することが可能になったと述べた。

 ハニーヤ首相は、パレスチナの立場に対する支援を集める目的で、アラブ諸国を歴訪する途上にあると公表した。
また全面停戦についての質問に応え、イスラエル側も同じくパレスチナ国民に対する敵対行為を停止するという条件で、全面停戦を遵守するという点が新たに確認されたことを明らかにした。

ハニーヤ首相はパレスチナに関する様々な問題点を提起すべく、エジプトのアフマド・ナズィーフ首相とアフマド・アブルゲイト外相、ウマル・スライマーン情報長官、さらにはアラブ連盟事務局長と会談する予定であると述べ、「私達は収監されているパレスチナ人をイスラエルが解放する見返りにパレスチナ側に拘束されているイスラエル兵士問題が解決されるという喜ばしい報道を耳にすることになろう」と付け加えた。
ハニーヤ首相は「それはエジプトの仲介で行われる」と述べ、ムバーラク大統領を指導者とするエジプトの政府と国民の双方に対し感謝と評価の意を表した。

またパレスチナ情報筋は、アッバース大統領と今日ヨルダンに到着予定のブッシュ大統領との間で、会談準備のための連絡が交わされつつあると発表した。

 他方、パレスチナ解放機構(PLO)のサーイブ・ウライカート交渉担当局長は、「ブッシュ大統領のヨルダン訪問に随行しているライス国務長官が、アッバース大統領と会談を行うため、明日西岸地区のエリコに着く予定である」と述べた。
パレスチナ筋によれば、「ライス国務長官はアッバース大統領に対し、和平プロセス再開に向けた第一歩として、ガザ停戦への米政府の支持を確認することになろう」と語った。


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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:4023 )