サウジアラビア、スンナ派保護のためのイラク干渉の可能性を表明(アル・ナハール紙)
2006年11月30日付 Al-Nahar 紙

■ サウジアラビア、スンナ派保護のためのイラク干渉の可能性を表明
■ サドル派、議会と政府への参加を一時停止

2006年11月30日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 バグダード周辺への再配置を目的としたアメリカ軍のアンバール県からの撤退計画に関してアメリカのメディアが報道し、これを米国防総省(ペンタゴン)が否定するなか、サウジアラビア国家治安改善プロジェクトのナウワーフ・ウバイド委員長はアメリカがアンバール県からの撤退を開始する場合、サウジアラビアはイラン支援下のシーア派民兵組織によるスンナ派イスラム教徒の殺害を防ぐため、イラクに対して金銭、武器および石油の影響力による干渉をおこなうであろうと強調した。一方、アンマンでヨルダン国王アブドゥッラー2世と会談を行った「イラク・イスラム革命最高評議会」の指導者アブドゥルアズィーズ・アル=ハキームは、イラクで宗派戦争が勃発するならばスンナ派は「最大の敗者」となるであろう、と強調した。

 またピーター・ペース米軍統合参謀本部議長は記者会見で「アンバール県から同盟軍の全部隊を即時撤退させ、今から全ての治安上の責務をイラク治安部隊に移す計画はない」と説明し、「どうして我々が敵のためにイラクの一部を放棄しようか?そのようなことを我々は望んでいない」と問いかけた。
 
 アメリカの「ABC」テレビは火曜日、「ペンタゴン」はバグダード周辺へ再配置するため約3万人の兵士をアンバール県から撤退させるつもりであると伝えた。同県はイラクの反乱勢力の拠点とみなされており、1055人以上のアメリカ兵が殺害されている。

 さらにペース議長は、イラク駐留同盟軍のジョージ・ケーシー司令官が現在他の地域に展開している二個大隊をイラクの首都の治安強化のためバグダードへ移すことを決定したと発表した。

 これらの新たな展開は、ジェームス・ベーカー元米国務長官を座長とするイラク研究グループがの戦略上の選択肢を提示する報告書を12月6日に発表すべく準備を行っているなかで起こった。

 「ニューヨークタイムズ」紙によれば、その(ベーカー)委員会はイランおよびシリアとの直接的対話を支持しているが、アメリカ軍のイラク撤退日程を現時点で決定することの効果に関しては意見が分かれている。

 一方、サドル派は今日アンマンで行われるイラクのヌーリー・アル=マーリキー首相とアメリカのジョージ・ブッシュ大統領の会談に抗議して国民評議会と政府への党員の参加を「一時とりやめる」との警告を実行に移すことを決めた。

 イラクでの暴力行為は続いており、26人とアメリカ兵2人が殺害され、遺体26体が発見された。



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( 翻訳者:吉永晶子 )
( 記事ID:4182 )