イスタンブルの高速フェリー、船内礼拝室でキブラ(メッカの方向)示す(Hurriyet紙)
2006年12月05日付 Hurriyet 紙

 トルコ国営鉄道が、ハジェッテペ大学アルパスラン・オズヤズジュ教授が行った、電車内への礼拝室の設置要求を、キブラが定まらないという理由で退ける一方、イスタンブル海上バス会社は8年間来、高速フェリーに礼拝室を設けて、キブラを矢印によって示している。

イスタンブル海上バス会社が所有する高速フェリーの船体半ばの客室には、4平方メートルの男性、女性各専用の礼拝室が設置されている。礼拝室の中では「イェニカプ―ヤロワ便でのキブラ」「バンドゥルマ―イェニカプ便でのキブラ」といった案内書きに表示された矢印によってキブラの方向を示している。相接する男性と女性の礼拝室は、幕によって仕切られており、各ドアに英語で「礼拝室」と書かれ、礼拝用の絨毯、スカーフ、そしてコーランが備え付けられている。

高速フェリーの2隻に、礼拝前の清浄を容易にするため、専用の洗面台も設置された。イスタンブル海上バス会社の運行部長ハサン・ウストゥンダー氏は、バンドゥルマ、そしてヤロワに航行する6隻の高速フェリーには、要求を受けて1998年以来礼拝室を設けていると話し、次のように続けた。

「我々の高速フェリーは、航路が固定されているためキブラを定めることができる。バスや電車といった交通機関ではこれは難しい。高速フェリーでできるからといって、海上バスでも同様の措置が取れるかといったらそうではない。なぜなら海上バスは航路が固定されておらず、困難が生じるからだ。」

■ 高速フェリーの礼拝室

イスタンブル海上バス会社の高速フェリーに設置されている礼拝室には、「男性用礼拝室」「女性用礼拝室」という表示によって入り口が区別されている。さらにドアには英語で“Prayer Room”つまり「礼拝室」と書かれている。礼拝室の中では矢印でキブラの方向を確認し、礼拝用の絨毯の上で礼拝を行うことができる。必要に応じて壁に設置された棚からスカーフやコーランを取り出すことも可能だ。床には小さな礼拝用の絨毯が敷かれている。

■ 「電車では不可能だ」

オズヤズジュ教授は、11月13日にトルコ国営鉄道のウェブサイトへ送信したメールによって、電車内に礼拝室を設置するよう要求した。トルコ国営鉄道スレイマン・カラマン総裁は、交通機関の中に礼拝室を設ける件は取り上げることはできないとし、「移動しながら絶えず方向を変える電車の中でキブラが定まるだろうか。イスラムでは(特に場所を設けずとも)座りながらも礼拝ができるのだ」と返答した。

この間、カラマン総裁が「礼拝室(の設置)を望む者が、礼拝を先延ばしにするのを問題とするなら、電車には乗るな」とは話していないことが伝えられた。

■ 全方向がキブラ

宗務庁元長官スレイマン・アテシ氏は、キブラを知るのが困難な時は、いかなる方向に向かっても礼拝することが可能だと述べた。アテシ氏は、空が暗く、尋ねる人もいないといった状態では「心の赴くままの方向を向き、礼拝すればよい」と話した。



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( 翻訳者:岩根 匡宏 )
( 記事ID:4060 )