トゥージュ憲法裁判所長官のスピーチ大成功 -欧州人権裁判所でトルコ人講演者は初 (Milliyet紙)
2006年01月26日付 Milliyet 紙

 エルドアン首相に「EUへの切り札」と評された憲法裁判所のトゥージュ長官は、欧州人権裁判所で2006年のオープニングスピーチを行い、大成功を収めた。
 憲法裁判所初の女性長官であるトゥライ・トゥージュ長官は、欧州人権裁判所(AİHM)でオープニングスピーチを行った、最初のトルコ人となった。
 長官選出時、エルドアン首相に「EUへの切り札」と評されたトゥージュ長官は、欧州人権裁判所のヴィルトハーバー長官の招待を受け、1月20日に欧州人権裁判所の新年度オープニングスピーチを行った。トゥージュ長官はストラスブールで行われた式典に、憲法裁判所裁判官メンバーに任命されたオスマン・ヌーリ・パクスュト氏と共に参加した。式典ではヴィルトハーバー長官の講演に続いて演壇に上がったトゥージュ長官は、「欧州人権条約のトルコにおける位置付け」というタイトルで、6ページに及ぶスピーチを英語で行った。スピーチの後多くの法律家から会食の誘いにあったトゥージュ長官は、ヴィルトハーバー長官主催の夕食会の後フランス憲法裁判所の招待を受け、パリに向かった。
 トゥージュ長官のスピーチ概要は次の通り。

・制度改革:2000年以降行われた憲法改正と、欧州人権裁判所の決議から着想を得て行われた法律分野の急激な諸改革後、憲法裁判所における訴訟案件は3倍に増大した。更に、行政のトップが裁かれる弾劾裁判では7名の大臣と1名の元首相が、職務期間に関して告訴されている。業務の増大に伴い必要とされる憲法裁判所の行政改革のため、我々が政府に提案した制度としては、次のようなことが挙げられる。裁判官の人数の増加、正裁判官と準裁判官の区別撤廃、裁判所の各局の区分化、欧州人権裁判所が行っているように一部の訴訟を事前調査を行ったうえで裁判所の議題に挙げること、欧州人権裁判所への申請数を減らす為に憲法裁判所に個人で申請する道を開く、などである。

・9つの法案:トルコの法律を、欧州人権条約や 欧州人権裁判所の決議に適応させる為、9つの法案と2つの憲法改正案が出された。

・欧州人権条約の優位性:2004年5月に憲法第90条の改正が行われ、法律と条約が不一致の場合は条約に優位性を与えるとはっきり提示された。あらゆる裁判所はすでに条約に沿って決定を下す義務を負っている。行政裁判所と最高裁判所の最終決定も欧州人権条約とその他人権に関する条約を直接適用する方向である。憲法裁判所は法律の国際条約への適応状況に関し監査権を持たないが、諸決定に際し各裁判所に対して条約を適用するよう勧告することが出来る。

・影響力が高まりつつある欧州人権裁判所:欧州人権裁判所の決議がトルコの裁判制度に与える影響力は、今後益々高まっていく。議会は2002年及び2003年に改革法案を提出した。これによると欧州人権裁判所の決定は、現在のように再審議の事由となる。政党の閉鎖や議員の起訴といった刑法に基づいて憲法裁判所で裁かれた案件も、いくつかは再審議の要請が出ている。憲法裁判所では欧州人権裁判所の決議に照らし合わせ改めて審議する可能性がある。

・基本的な任務:欧州人権裁判所を「判断の基準」としている。我々憲法裁判所は、トルコの裁判所の決定を追跡調査していくために多大な努力をしている。トルコの裁判制度における欧州人権裁判所の役割が大きくなったため、欧州人権裁判所とトルコ裁判所の間で相互の信頼関係が重要になってきている。憲法裁判所は、人間の名誉と個人権を保護する戦いを続けている。

■トゥルメン氏:スピーチはとても積極的だった

 欧州人権裁判所の裁判官ルザー・トゥルメン氏は、トゥージュ長官のスピーチを次のように評価した。「彼女のスピーチはとても積極的な印象を与えた。正しくメッセージが伝わってきた。人権に重要性を置いた裁判所の長官らしいスピーチだった。欧州人権裁判所の決議を適用する為に何を行っていくかを説明してくれた。この場にスピーカーとして毎年ヨーロッパの1カ国から、権威ある人物が招待される。この場に招待されたこと自体、我々トルコにとってはイメージ上有益だった。」

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( 翻訳者:住永 千裕 )
( 記事ID:1776 )