地方議会選挙に向けた原理主義各派の統一リスト作成へ向けた動き ハムシャフリー
2006年12月03日付 Hamshahri 紙
2006年12月3日付ハムシャフリー
【アミール・ダビーリーメフル】第3期地方議会選挙に参加するための統一リストの作成に向けて、さまざまな政党や政治組織が数ヶ月にわたって話し合いを続けているにもかかわらず、いまだ統一リストの作成は実現されていない。
〔国の政治地図を二分する〕《原理主義派》と《改革派》という二大勢力は、自らの陣営に存在する亀裂の修復にいまだ取り組んでいる。《改革派》勢力は以下の3つに分けることができる。
第一に、ハータミー政権時代に要人を務めた人々がその大半を占める《政府系改革派》がある。このグループのスポークスマンを務めるのは、モルタザー・ハージーであり、その他エスハーグ・ジャハーンギーリー、マアスーメ・エブテカール〔ハータミー政権時代の副大統領兼環境庁長官〕、アアザム・ヌーリー、アフマド・マスジェドジャーメイー〔前文化イスラーム指導相〕などが、このグループの主だった面々である。
第二に、メフディー・キャッルービー〔前国会議長〕率いる《国民信頼党》があり、第三にアスガルザーデなどが中心となった、いわゆる《人民系》の改革派グループがある。
その一方で、《原理主義派》陣営も同様に、3グループに分けることができる。第一のグループは、マフムード・アフマディーネジャード大統領を支持する人々であり、バズルパーシュやザリーバーファーン〔大統領補佐官〕らが中心となって活動をしている。
第二のグループは、《伝統的原理主義派》のグループで、《革命諸勢力調整評議会》がそれに当たる。第三のグループは、現在のテヘラン市長の支持者のグループで、現在のテヘランの開発・発展のあり方は類例を見ないものであり、モハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ市長を中心に、この路線の継続を主張している。〔訳註:《革命諸勢力調整評議会》は、前回の地方議会選挙や国会選挙で保守各派を糾合して、《原理主義派》の勝利を導くのに主要な役割を果たした組織〕
《原理主義派》勢力間の合意を形成するために設立された原理主義派世話人会のメンバーの一人は、「《(アフマディーネジャード)政権を支持する本部》の原理主義派の活動家らは、その他の原理主義派勢力と協調することになるのではないか。われわれは、原理主義派勢力が地方議会選挙に一致団結して参加する可能性に、極めて近づいている。程なくして、原理主義派諸勢力が地方議会選挙に一致団結して参加する姿を、われわれは目にすることになるだろう」と語る。彼はその上で、「事前に行われた世論調査によれば、原理主義派はその他の諸派に対して、大差にて勝利を収めることが予想される」と付け加えた。
原理主義派の主要メンバーであるこの人物はまた、政府内に役職を有した人物の選挙への参加に関し、次のように述べた。「最高指導者が体制の奉仕者たちを前にして行った勧告に留意し、またこの件に関して疑惑を持たれないようにする必要性から、政府や大統領個人に対して役職をもち、そこで活動している人物が、立候補者として直接選挙に参加することは控えた方が良い、ということで《原理主義派世話人会》の各メンバーは合意している」。
テヘラン市議会の議長で、地方議会選挙《アーバードギャラーン連合》のスポークスマンであるメフディー・チャムラーンは、原理主義派勢力を糾合した統一リストの作成の可能性に関し、「原理主義派諸君の聡明さによって、選挙の際に国民に混乱・分裂が生じぬよう、統一リスト作りで合意が形成されることに期待している」と語った。
第2期テヘラン市議会議長はまた、地方議会選挙に向けて原理主義派間に派閥が生まれているとの見方を否定し、一部の原理主義グループから立候補者の氏名が提出されていることに関して、「これらの氏名が最終的に統一リストに収まることを願う」と述べた。
他方改革派陣営では、《国民信頼党》のスポークスマンを務めるエスマーイール・ゲラーミー=モガッダムが、「《改革派連合》は、国民信頼党と改革派の間で3割異なったリストの作成を目指しているが、われわれが見るところ、これでは《連合》というかけ声に反しているのではないか」と語っている。
同氏はまた、《改革派連合》のスポークスマンを務めるモルタザー・ハージーが国民信頼党のモンタジャブニヤー及びゲラーミー=モガッダムと共同会議を開いたとのファールス通信の報道に対し、「ハージー氏が国民信頼党に対して候補者枠を3つ追加することに関して、ゲラーミー=モガッダム及びモンタジャブニヤーと会談した、という事実はない」と否定した。
その一方で、《改革戦線調整評議会》持ち回り議長のセイエド・ハサン・ムーサヴィー=タブリーズィーは、同調整評議会メンバーの一部の間に意見対立が存在するとのマスコミ報道を否定し、《改革派連合》のあり方に関して戦線内にいかなる意見対立もないとした上で、「改革戦線連合は強固であり、連合に対して不満をもっている者は戦線内には存在しない‥‥」と述べた。
同様に、《闘う宗教指導者協会》のスポークスマンのゴラーム・レザー・メスバーヒー=モガッダムも、原理主義派内の派閥形成に関して、次のように述べている。「この種の派閥形成は、原理主義からの逸脱である。原理主義が求めているのは、原理主義派諸君が一致団結して、統一リストを提出することである」。
同師はその上で、「原理主義派全体が団結と統一に向けて動き始めているとの知らせも聞いている」と付け加え、原理主義派による共通リストがまもなく最終化され、このリストの下で原理主義派が団結することに期待を表明、今後数日以内に吉報が届くことを望んでいると述べた。
他方で《イラン・イスラーム奉仕者連合》のアミーリー総書記は、政治的立場として原理主義を奉ずることが、同組織の候補者選定の基準の一つであるとした上で、「イラン・イスラーム奉仕者連合はテヘラン及びその他の地方評議会の選挙で、〔独自の〕候補者を擁しており、全国約15の州都で活動する予定だ」と述べた。同氏は、考えを同じくし、統一のとれた地方評議会を作ること、〔現在の〕テヘラン市の運営のあり方を支持していること、原理主義に忠実であることなどを、同連合が推薦する候補者の基準として挙げ、「われわれは市政の安定を目指しており、この原則に賛同する候補者を支持することになろう」と語った。
アミーリーは、現職のガーリーバーフ市長について、効率的な市政を運営し、若く勤勉であり、市政の運営に相応しい人物であると評し、次のように述べた。「われわれはガーリーバーフを支持する。現在テヘラン市評議会の多数派を占めている8名の議員〔テヘラン市評議会の議員定数は15名〕はいずれも、われわれが作成した30名のリストの中に含まれる予定だ。その中には、アリー・レザー・ダビールやラスール・ハーデムも含まれている」。
同氏は「軍関係者としての経験を有する人物も、このリストに名を連ねているのか」との質問には、次のように答えた。「われわれは社会の治安も、市政に直接かかわる問題であると考えている。それゆえ、われわれが作成した30名のリストの中には、軍事・治安関係の人物が5名含まれおり、その中にはタラーイー〔前テヘラン警察長官〕もいる」。
同氏はまた、正式に改革派戦線の一員となっている者がわれわれのリストに加わることはあり得ないとした上で、統一リストの提出に関して、「もし原理主義派が統一リストを作成して、選挙戦に臨むならば、われわれもそれを支持する」と付け加えた。
他方、国会の原理主義派に属しているある議員は、「原理主義派は、選挙立候補者の統一リストに関して、70%まで合意に達している」と述べる。セイエド・モハンマド・レザー・ミール=タージョッディーン議員は、地方議会選挙に関して原理主義派内に一部の趣向の違いがあることは自然なことだとした上で、「原理主義派は連合を組むべく努力しているところであり、もし100パーセント完璧な連合ができなかったとしても、最大限の合意が作られることになるだろう」と語った。
同議員はまた、〔ガーリーバーフ〕市長支持者と〔アフマディーネジャード〕政権支持者の間で統一・合意が形成されるよう、世話人会及び原理主義派の主要人物らが努力を続けていることを指摘した上で、「これらの話し合いをみれば、地方議会選挙に向けた原理主義派の〔統一〕リストが間もなく確定されるのではないか」とも述べた。
連合に向けた動きは、その他の政治党派でも見られる。《建設の奉仕者党》のスポークスマンを務めるホセイン・マルアシー〔前副大統領兼観光歴史遺産庁長官〕は、次のように語っている。「現在《建設の奉仕者党》は、改革派連合選挙対策本部が最終的な統一連合リストを確定させるのを待っているところだ。我が党は今回の選挙では、改革派選挙本部の統一連合リストの下でのみ、選挙戦に臨むことになろう」。
また、国会原理主義会派の政治委員会の委員長は、「現在の潮流が今後も続くことを防ぐためにも、国会原理主義会派は連帯という目的を掲げて、選挙戦に臨むつもりだ」と述べる。ホセイン・セイエドアーバーディー委員長は、原理主義派内には強い支持基盤を有していると感じて、より多くの取り分を求める者も一部にいるとした上で、「このような考え方は、〔原理主義派内の〕合意をより難しいものにしている」と指摘している。同氏はさらに、「原理主義派内の一部の有力な批判勢力は、原理主義派内に合意と統一を作り出すために、一部の者たちに自らの要求に関して妥協するよう説得している」と付け加えた。
〔中略〕
他方、《穏健と発展党》の総書記は、ハーシェミー=ラフサンジャーニー派とハータミー派間で選挙のための連合が成立したとの話を否定した上で、「われわれはすべての政治グループと建設的な協力関係を築く用意がある。しかしわれわれは、自らの論理に基づき、改革派としての、あるいは原理主義派としての連合に参加するつもりはない」と述べている。
モハンマド・バーゲル・ノウバフト総書記はまた、改革派戦線、あるいは原理主義派戦線の名の下での連合に参加することはないする一方、「もし穏健改革派と現実主義的原理主義派がすべて参加するような大連合が作られるようなことがあれば、我が国の政治的状況に鑑み、われわれもそのような連合に参加する用意がある」とも語った。
他方、《イスラーム革命忠実者協会》のスポークスマンは、ISNA(イラン学生通信)の記者に対して、原理主義派の大物や指導者らからなる《原理主義派有力者評議会》が、原理主義派内の合意形成のために設置されたが、この評議会のメンバーらの意見は諮問的なものであって、強制力を伴うものではないと述べた。この件に関連して、第7期国会のアーバードギャラーン連合に属するザーカーニー議員は、ISNAとのインタビューの中で、「この評議会は約5ヶ月前に、原理主義派内の連帯と統一を維持し、《ホルダード月2日》グループに対抗するために、一部の友人らが集まって作ったものだ」と語っている。〔訳註:ホルダード月2日とは、ハータミーが1997年に大統領に当選した日であり、ハータミー大統領を中心に改革と民主化を進めようとする勢力の名称として用いられるようになった〕
ザーカーニー議員は続けて、《原理主義派世話人会》のメンバーとして、ハッダード=アーデル〔国会議長〕、モハンマド・レザー・バーホナル〔国会副議長〕、メフディー・チャムラーン〔テヘラン市議会議長〕、アフマド・タヴァッコリー〔有力国会議員〕、アスギャル=オウラーディー〔イスラーム連合党の有力人物〕、そして自身の名をあげた上で、「この世話人会はこれまで、多くの会合を重ねてきたが、いまだ最終的な結論には至っていない」とも述べた。
ISNAのこの報道によると、ハサン・ガフーリーファルドもまた、この件に関してISNAの記者に「《原理主義派世話人会》は《原理主義派有力者評議会》とメンバーが異なっている。しかし、いずれも原理主義派の統一リストの作成に向けて努力を重ねていることに違いはない」と述べ、さらに「現在、この件に関して、その他複数の委員会が自発的に生まれている」とした。
〔中略〕
これら〔の統一リスト作成のためのさまざまな調整・努力〕にもかかわらず、原理主義派内でさまざまな選挙リストが作られるのではないかとの噂が流れている。これに対して、《イスラーム革命献身者協会》の会長代行を務めるロトフォッラー・フォルーザンデは、アーフターブ通信に対し、同協会は従前通り、原理主義派の団結と統一リストの作成を自らの戦略に位置付けているとした上で、次のように述べた。「われわれはすべての原理主義者、及び原理主義派の有力者と協調した動きをとっており、原理主義派の最終リストが有力者らによって採択されるのを待っているところである。われわれは彼らによって採択されたリストを強く支持するつもりである。献身者協会は、選挙に向けて、原理主義派内のある特定の派を別個に支持するようなことはなく、ただ原理主義派有力者の決定を待ち続ける所存だ」。
一部の非公式の報道によると、《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》も同様に、最終的な連合の結成、そして可能ならばすべての原理主義者をまとめた統一リストの作成に向けて、アリー・レザー・ザーカーニー率いる《変化を求める原理主義者》、《イスラーム革命献身者協会》が中心となった《改革を求める原理主義者》、《青年アーバードギャラーン協会》、《アフマディーネジャードを支持する選挙本部》などの原理主義派諸グループと話し合いを続けているという。
その一方で、《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》が関心を寄せている《アフマディーネジャードを支持する選挙本部》の責任者たちは、《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》をはじめとする他のグループと、統一リスト作りに向けて話し合うつもりがまったくないとも言われている。例えば、このグループの指導者らはこれまで、「他の原理主義派グループと協議する必要などない」と表明している。
《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》が作成した最終リストは15名の候補者からなっており、その中にはテヘラン市議会の多数派を構成する現職議員の他に、新人数名、宗教指導者1名、女性2名がいると言われている。
また一部の報道によると、《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》の最終リストには、テヘラン市議会の少数派の現職議員は含まれていないとされる。その第一の理由として、彼らの一部が《アフマディーネジャードを支持する選挙本部》のリストに名を連ねていることが挙げられている。また、《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》の有力者たちが、他の原理主義派に対して、自らの交渉力を増大させようとしていることも、第二の理由として挙げられている。
《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》のスポークスマンを務めるサッジャーディーは、メフル通信とのインタビューの中で、原理主義派各派との交渉役として5名が当たっているとした上で、「この間行われている交渉は、われわれをより楽観させるものだ。統一リストで合意ができるものと考えている」と語っている。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:4066 )