国民教育省、トルコ革命史の教科書を無断で改訂:写真差し替え、新記述も(Radikal紙)
2006年02月11日付 Radikal 紙

初等教育の8年次で教えられる「革命史」と「アタテュルク主義」の教科書の2005年改訂版で、アタテュルク夫人ラティーフェ・ハヌムの写真が、旧版の頭に何もかぶっていない姿から黒いベール姿のものに変更された。旧版では服装革命に関連した写真で多くの女性の姿が紹介されていたが、新版の写真ではアタテュルクの背後に女性が一人いるだけである。

初等教育の8年次に教えられる「トルコ共和国革命史とアタテュルク主義」の教科書の2005年版に、いくつかの変更が加えられた。国民教育省教育教練局の編集者、言語、デザインの専門家から構成される改訂委員会が教科書にいくつかの変更を加えた。改訂に際して、著者の許可は取っておらず、連絡も取っていなかった。

■著者は告訴の方針

5人の著者の共著である教科書は、著者名を変えずに出版されたが、記述の一部が削られたり、新たな記述が加えられていた。例えば、旧版ではアタテュルクの建国10周年の記念演説が収められていたが、今回は削除された。旧版にあった「アンテプ攻防戦とシャーヒン・ベイ」というタイトルのコラムも新版ではカットされた。「シェイフ・サイトの反乱」という見出しは「東部反乱」に変わった。

ムスタファ・ケマルの生涯を取り上げた第3章でも、旧版とは大幅に異なる写真が掲載された。旧版では、頭に何もかぶっていない姿のラティーフェ・ハヌムと家族とともに撮影されたアタテュルクの写真が掲載されていたが、新版ではイスメト・イノニュとアタテュルク、そしてスカーフをかぶったラティーフェ・ハヌムの写った写真が使われた。服装の変化について解説した部分には、新版ではアタテュルクの背後に女性が一人写っているだけだ。しかし、旧版に掲載された写真では、女性の数はずっと多かった。

教科書の著者のうち、教師のギュレル・シェニュンヴェル氏は、今回の変更は恥ずべきものだと述べた。同氏は以下のように語った。
「私は国民教育省で10年間教育審査官を務め、17年間教育教練局に勤務した。この教科書は1989年から使っているが、今回の改訂でいくつかのコラムが削除されたり追加されたようだ。私のところには全国から電話が掛かってきており、改訂箇所に対するおしかりを受けている。今回の改訂は非常に残念で、がっかりしている。アタテュルク主義者として育った教師がこうした改訂を行うこと自体、認めることができない。新旧二つの教科書を読み比べている。私は訴訟を起こすつもりだ」。

■アルメニア人問題正当化のコラム

シェニュンヴェル氏は、教科書のアルメニア人問題とその結末(東部戦線)の箇所に、旧版になかったコラムが付け加えられていると指摘し、「コラムの内容を不快に感じた。移住法を知らない者が書いたのだろう。コラムには繰り返して書かれている部分がある」と述べた。教科書に追加されたコラムは以下の通り。
「列強諸国の約束に騙されたアルメニア委員会は、元々同じ場所で平穏、友好的に暮らしていたトルコ人とアルメニア人住民を互いに没落させ、その結果今日に至るまでの敵対関係を作り出した。この衝突でムスリム住民は困窮し、命を落とす者も多かったが、真に困窮したのはアルメニア人だった。職も力も失い、移住の間に苦労をし、亡くなる人もでたのはアルメニア人の方だった。アルメニア人は、何世紀もの間住んでいた土地で無一文となり、移民として様々な国で生きて行かざるを得なくなったのだ」。

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( 翻訳者:高田 利彦 )
( 記事ID:1879 )