元PKK幹部に死の罠 -車爆発でカニ・ユルマズ暗殺される(Milliyet紙)
2006年02月12日付 Milliyet 紙

オスマン・オジャランとともに、一時は中央委員会委員やヨーロッパ代表も務めたテロ集団から離れて愛国民主党(PWD)を設立した、「カニ・ユルマズ」ことファイサル・ドゥンラユジュ(52歳)が、昨日クルド労働者党(PKK)の何者かが車に仕掛けた爆弾の爆発により死亡した。

アブドゥッラー・オジャランが1999年にケニヤで逮捕された際に責任を問われPKKを離れたドゥンラユジュは、オスマン・オジャラン、ニザーメッティン・タシュとともに活動していた。PWDの副コーディネーターを務めていた彼は、イラク北部の町、スレイマニエに入るところで襲撃された。爆発によって友人のサブリ・トリも死亡した。
あるPWD幹部は次のように語った。「ユルマズの車にはもう2人乗っていた。党の活動のために訪れたハラブジャから戻るところだった。スレイマニエの入り口で燃料の補給するためガソリンスタンドに立ち寄ったところ、10時に爆発が起こったようだ。爆弾はガソリンタンクのそばに仕掛けられていたため、激しく爆発したようだ」。

■内部犯行か

犯人の名前は明かしたくないというこの幹部は、次のように話した。「(犯行を行ったのは)内部の人間だ。犯人は爆弾を仕掛けたあと車から離れ、そのあと爆発が起こった。以前はPKKで活動しており、PKK幹部のムラト・カラユランの護衛グループにいた。一年ほど我々のところにいた。不審な行動があったので監視をつけたが、中断した。どうも組織に入り込んだスパイだったらしい。車にいた三人目の人物は一緒に逃げた。捕まえられれば状況がはっきりするだろう」。

「PKKはこういった行動をとるのは初めてだ」と話すPWD幹部は、ドゥンラユジュがなぜ狙われたかについて以下のように語った。「カニはPKKをよく知る者の一人だった。いろいろなことに詳しく、中の人間との付き合いもあった。作戦を行う上で重要な人物だった。事件がなければ今日は二つの新聞社からインタビューを受け、テレビの生放送に出演する予定だった。今回のことで勢力バランスが崩れだしている」。

PKK寄りの報道を行うインターネットサイト「リズガーリ」は、PKKから離脱しPWDで活動していた2人の犯行であると伝えた。同じ車でスレイマニエまで来たこの二人が町の入り口で車を降り、その1、2分後に爆発が起こったと報じられた。報道では、容疑者の一人が拘束されたことと、もう一方の容疑者はムラト・カラユランの護衛役だった「ヌマン」と呼ばれるテロリストであると伝えられた。

権利自由党のアブデュルメリク・フラト党首は「ユルマズとサブリ・トリがPKKによって殺されたことは、クルド人運動における新たな展開を押さえつけるものであり、とうてい認められる行為ではない。クルド人の間で暴力行為がひとつの手段としてまかりとおっているのは、クルド人運動がしっかりとした一つの軸のもとにまとまることを望まない、陰の勢力による策略であることは明らかだ」。

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( 翻訳者:湯澤 芙美 )
( 記事ID:1886 )