ハマースが多数派を占めるパレスチナ立法評議会が発足(アル・ナハール紙)
2006年02月19日付 Al-Nahar 紙
■ イスラエル、パレスチナ立法評議会開会に対して「自治政府は敵対的政体」と宣言
■ ハマース、パレスチナ政界掌握へ最初の手がかり
■ アッバース大統領、ハマースに対し「対話路線」を遵守する政権の樹立を呼びかけ
2006年2月19日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【ラーマッラー:ムハンマド・ハウワーシュ、諸通信社】
イスラーム抵抗運動「ハマース」が多数派を占めるパレスチナ立法評議会が開幕し、ハマースは正式にパレスチナ政界掌握への最初の手がかりを握った。議長にはアズィーズ・ドゥワイク議員が選出され、副議長にはアフマド・バハル議員(ガザ地区選出)とハサン・ハリーシャ議員(前副議長)が、事務局長にはマフムード・アル=ラムヒー議員が選出された。パレスチナ側は今や、これまでとは違う新たな政治状況に直前しているが、外圧の下でパレスチナ自治政府の安定を揺るがしかねない内部対立に対処するための憲法上の原則は定まっていない。イスラエルは今日(19日)からパレスチナ自治政府を敵と位置づけることを決定しており、国際社会はハマースが路線を変更し、パレスチナ解放闘争の中で胚胎しオスロ合意を通じて生まれたパレスチナ自治政府の法的な根拠を受け入れ、それにともなってイスラエル政府とパレスチナ解放機構(PLO)の相互承認を受け入れるとともに、暴力を捨ててパレスチナ問題解決の戦略として武装闘争ではなく対話路線に転換するよう圧力をかけている。
■ アッバース大統領
各国外交官の出席が目立っていたのはマフムード・アッバース大統領の政策に対する支持のしるしであった。また、パレスチナ国民評議会のサリーム・アル=ザアヌーン議長やパレスチナ諸派の指導者がガザとラーマッラーから参加した。こうして、テレビ中継によって結ばれた会議をもって新しい立法評議会が発足した。
アッバース大統領は立法評議会に対して包括的な演説を行い、これを通して世論に訴えかけた。その中で示された政策プログラムは、立法評議会の議員から構成されるいかなる政府も遵守すべき強制力を有するものとみなされる。
アッバース大統領は、パレスチナ新政府はイスラエルとの暫定的和平合意を認め、対話を通じたパレスチナ国家樹立への努力を継続しなければならないと語った。しかし、組閣のための条件を定めるには到らなかった。また、「我々は、大統領も政府もともに、政治的・現実的戦略に基づいた選択としての交渉路線を遵守しつづけるだろう。(...)政治的選択として交渉路線に依拠しつつ、平和的性格の各種の民衆抵抗活動を継続し、発展させなければならない」と付け加えた。
またアッバース大統領は評議会の会合から退出する際の報道陣に対する談話の中で、「パレスチナ解放機構と設立以来のパレスチナ自治政府が遵守してきた政策を演説の中で確認した」と強調した。さらに、「私は大統領に選出された際の選挙公約において請け負った政策を確認し、それをパレスチナ人民とあらゆる場所にいる同胞たちに向けて発することを意図した」と付け加えた。
また、ハマースとの間に危機が生じる可能性については、先走った話をすることを拒み、「対話こそが交渉の基礎である」と強調した。
(後略)
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( 翻訳者:村山誓一 )
( 記事ID:1937 )