アーバーダーンとデズフールでまたしても爆破事件 シャルグ紙
2006年02月28日付 Sharq 紙

2006年2月28日付シャルグ紙1面

【社会部】昨日、デズフールとアーバーダーン両市の市庁舎を標的とした、爆破テロ事件が発生した。昨日朝10時頃両市で同時に発生したこの事件の結果、4名が負傷した。

 報道各社は、昨日発生したこの爆破事件を一斉に報じた。報道によると、負傷者のうち三名は政府職員であり、他の一名はデズフール市役所に用事のためにきていた中年女性であるとのことだ。この二つの事件で死者は出なかった。また、市庁舎への被害もきわめて限られたものだった。

 最近一年間のうちに発生したその他のテロ事件と同様、今回も正体不明の犯人らが自らの目的を果たすために、爆弾による爆破という手段を用いた模様である。報道では、爆弾の一つはアーバーダーン市庁舎の廊下に、もう一つはデズフール市役所のトイレに仕掛けられていた。「治安」上重要な施設が狙われたのは、一連のテロ事件がイランで発生して以来初めて。これまでは、バーザールや銀行など民間施設が主に狙われており、かつて一度だけ、アフヴァーズ市所在の、天然資源を管轄する技術関連の政府機関が爆破されたことがあるにすぎない。

 これまでの全ての爆破事件に関し、政府・治安関係者は、犯人らは外国人によって教唆された者たちであるとの見方を示している。昨日の爆破事件についても、フーゼスターン州政治・治安担当副知事は、外国分子が爆破犯らを唆しているとの認識を示した。

 最近の爆破事件の結果、すっかりおなじみの顔となったハサン・ファッロフネジャード氏は、ファールス通信に対し、「外国分子は民族的対立と分離主義を煽動することで、自らの利益を追求しようとしている。このような目的のもと、彼らは最近発生した爆破事件のような破壊活動を行うために、国内的な要因を煽動し、悪用している」と語った。同氏はまた、爆破犯を特定するだけの証拠があると述べ、さらに「また、ワッハーブ主義のような思想グループも、2年前から活動を開始しており、さまざまな方法を採っている」と付け加えた。

 デズフール・アーバーダーン両市での爆破事件から約5時間後、交通警察隊の会議に出席していたモスタファー・プールモハンマディー内相もまた、記者団に対し、事件に関する捜査が開始されたと述べた。同内相はまた、「重量のある積み荷」を運搬していた2〜3のグループのメンバーらが逮捕されたことを明かした。内相は詳細を明らかにはしなかったが、「このことによって、より凶悪な爆破事件の発生が阻止された」とだけ述べた。内相はまた、過去一年間フーゼスターン州で一連の不穏な活動をしていたメンバーらの多くは、すでに特定され逮捕されているとした。

 今年のオルディーベヘシュト月(2005年4/5月)以降、これまでフーゼスターン州の各市で少なくとも7回の爆破事件が発生しており、その結果数十名が死亡、多数が負傷している。これまで犯行を認めたグループは現れていない。しかし、事件が起こるたびに、関係者らは外国の諜報機関が事件の背後にいるとの見方を示している。中でもイギリスは、非難の矢面に立っている。「爆破に使われた爆破物の一部はイラク、特にバスラ地域からもたらされたものだ」との声明が、情報省より発表されたこともあった。バスラ市を含むイラク南部は、アメリカによるイラク攻撃以降、イギリス軍の管轄下にある。

 アフマディーネジャード大統領も、プールモハンマディー内相も、ともに声明の中で、フーゼスターン州での爆破事件を教唆したとして、イギリスの名を挙げている。例えば内相は、「爆破にはイギリスの匂いがする」と述べたこともある。イギリス政府はこのような指摘がある度に、それを否定している。

 ▼イランの民族状況についての調査

 昨日朝にフーゼスターン州で起きた爆破事件は、重要な政府機関への攻撃であったという点以外に、別の特徴も有している。爆破事件が起きたのとちょうど同じ頃、BBCはイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙を引用し、アメリカ海兵隊の情報機関がイラン国内の民族的状況や彼らの中央政府との対立について、広範な調査を行っていると報じた。

 外国がイランの諸々の民族、特にフーゼスターンに居住するアラブ人の間に分裂を作り出そうと画策していると、イラン政府関係者が繰り返し述べていることからも、このことの重要性は明らかだ。関係者らによると、この地域に分裂を生み出すことが、最近の爆破事件の目的の一つであるという。

 このような中でBBCも、アメリカがイランの民族状況について調査を行っている目的について、イランが今後ありうべき可能性として解体される場合、民族的対立がどのような役割を果たすのかに関して研究することである、としている。その上でBBCは、フィナンシャル・タイムズ紙を引用して、イランの国民アイデンティティは強固であるため、同国の民族間の関係はその他の近隣諸国よりも複雑であると報じている。

 アメリカ海兵隊の情報機関はすでに2003年にも、類似の調査をイラクに関して行っている。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:1985 )