トルコ結婚事情2:「若いうちの結婚は…」 夫のインタビュー(Radikal紙)
2006年01月27日付 Radikal 紙

 結婚生活は、実質的にはもう終わっていながら息も絶え絶えに続いていることが少なくない。今日登場する男性も、何年も離婚を考えながら実行に移せずにいる一人だ。妻のうつ状態が治るまでとか、息子が大学入学を果たすまでとか、住宅ローンが片付くまでとか、離婚を延期する自分なりに正当な理由があるのである。製薬会社で商品開発部長にまで上りつめ、かつて左派だった過去を誇りに思う男性である。
 43歳でかなりの成功をおさめ、仕事で世界各国を飛び回ってきたという。黒髪で長身、ハンサムとはいいがたいがとても明朗な雰囲気を持っている。歩き方やふるまいにひそかな尊大さが見え隠れしている。外見上は幸福な男性そのものに見える。今までにやらなかったことはないと豪語する人のようである。職場では有能な人気者。今回は職場でインタビューに答えてもらった。テーマは「うまくいかない結婚生活を終わらせることと続けること、どちらが大変か?」である。

▲あなたの結婚生活はどうしてうまくいかないのでしょう?
ずいぶんストレートな質問だね。理解しあえないからだ。

▲どんな点についてですか?
 期待外れと感じるようになってきたんだ。最初に感じていたことと後になって感じることには違いがあるものだろう? 誰しもはじめのうちはお互いの関係に責任なんて大して感じないものだ。私たちが付き合いだしたのもずいぶん若いころだった。20歳だったよ。責任を果たそうとし始めると関係が変わってしまうんだ。最初は家もなく、請求書もなく、子どももなかった。同居をはじめてからでも個人でありつづけるものだ。お互い別々の人間なんだと。そして、それがずっと続くかのように思う。でも最初にそれぞれルールを作ったところで、「アイロンがけはできないよ」「料理はできないよ」などと言ったところで、生活上必要になればなんだってやることになる。それから関係が真剣なものになってくると、結婚するわけだ。それで、正式に結婚してからしばらくたつと、お互いに責任というものが生じてくる。と同時に疲れてくる。「昔と違う」なんて考え始めるわけだ。

▲ご出身の家庭にはお互いに違いがありましたか?
 私の家族はクレタ島の出身で、父は商業を営み、母は主婦だった。二人とも小卒。私は6人兄弟の末っ子だ。兄弟はみなちゃんと教育を受けたよ。両親が教えてくれたのはこんなことだ。「誰とどこでどんな環境のところにいても、目の前にいる人を悲しませないようにしなさい」とね。母は、「人生はお前一人のものじゃない。お嫁さんを悲しませちゃいけないよ」と言っていた。母は大変物静かな人で、まあ主婦の典型だね。ケンカはほとんど見なかった。両親の結婚生活はうまくいっていたんだ。
 妻の父は警察官で、異常なほど独裁的で嫉妬深い男だ。気に入らないことがあると家で銃をぶっ放すような人間だよ。自分の妻には牢獄みたいな生活をさせるくせに、外面はいい。私たちの衝突は、妻が過去に経験したひどい抑圧の結果だと思う。

▲あなたは悪い家族モデルを目の当たりにしていなかったから、結婚を恐れなかったのですね?
 私たちは結婚前に4年間いっしょに住んでいた。とても楽しくて、幸せだったよ。妻には私の前に付き合っていた男がいて、彼と別れて私と付き合うようになったんだ。初めのころは彼女の心から彼の面影を消せなかったよ。そりゃあ、真剣に付き合っていたならそんなに簡単に忘れることはできないだろう。まあ、先に迫ってきたのは妻のほうで、付き合っている男がいる女性を口説くような勇気は私にはなかったのだが。きっと妻は後悔したのだと思う。後になって気まずくなってきたが、たぶん前の男を忘れられなかったんだろう。

▲若いうちに結婚するのは大変ではありませんでしたか?
 いや、大変ということはないね。でも若いときに結婚すると、一つ問題がある。若いうちにできなかったいろいろなことにあこがれてしまうんだ。妻は「友達と遊んだりできたらいいのに」などと言うようになった。
 私はかつて左翼だった。私たちの時代には、自由、個人の自由、社会性、女性の権利といったテーマで議論しあったものだった。近頃、妻との間に考え方の違いがあることがわかったんだ。妻はできる限り自由になりたがる。私も自由主義者ではあるが、そんなことは可能なのか? 衝突はありきたりの責任問題で起きるんだ。結婚してから2年後に息子が生まれた。それからは、私たちはもうお互いのために生きているのではなく、息子のために生きるような状態になった。
 私は仕事のために国内外を問わず視察や会議に参加しなければならない。だからあまり家にいたり、家のことに時間を割いたりはできないんだ。そんなことをしたら出世で取り残されてしまう。妻はこれをなかなかわかってくれない。海外出張に行くときはいつも特別手当をもらう。多くはないが、家計の足しにはなる。でも妻にはこれがわからない。嫉妬しはじめる。それで、例のばかげた質問がくるんだ。「仕事と家庭とどっちが大事なの?」ってね。


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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:1822 )