うしなわれゆく社会的寛容性―ボアズィチ大等の調査結果にみるトルコ(Milliyet紙)
2006年03月16日付 Milliyet 紙
調査の不快感に関する項目において、同性愛や結婚せずに同棲するカップルを快く思わない人の割合は全体の50%を超えた。ラマザンの間断食をしない人々を不快に感じる人の割合は全体の36%だった。
トルコ全土で行われた調査は、トルコ社会が自らとは異なった考え方や生き方をする人に対し、どれほど非寛容的であるかを明らかにした。同性愛や結婚せずに同棲するカップル、またバーやディスコ、クラブで遊ぶ人々やピアスをつけた男性、露出の多い服を着た女性を好ましく思わない人の割合は全体の50%を超えた。ラマザンの間断食をしない人々を快く思わない人は全体の36%、礼拝をしない人を不快に感じる人は28%、女性のスカーフをかぶらない姿に不快感を感じる人は24%であった。
オープン・ソサイエティ研究所とボアズィチ大学の支援を受けて、同大政治・国際関係学科のハカン・ユルマズ助教授の主導で行われたこの世論調査は、15の都市と農村に居住する18歳以上の1644人に対し、自宅でのインタビュー形式で行われた。
■もんぺ姿の人に不快感
『トルコにおける保守性、家族、宗教、国家、西洋』という調査の、「宗教的に見てどういった人の姿に不快感を感じるか?」という質問の結果は示唆に富むものであった。
ラマザン期間中に断食をしない人を不快に思う人の割合は全体の36%、礼拝をしない人を不快に感じる人は28%であった。スカーフをかぶった女性を不快に感じる人の割合が7%であったのに対し、頭部を覆い隠さない女性の姿に不快感を感じる人は24%であった。
ひげを蓄え、丸帽子をかぶり、もんぺを履いている男性の姿を不快に感じる人の割合は39%、イスラム風スカーフ姿の女性に不快感を感じる人の割合は38%であった。
■ムスリム女性は頭部を覆い隠すべき
「自らをムスリムだという女性は、皆頭部を隠すべき」という意見に賛成する人は42%、「頭部を覆い隠さない女性をムスリムとは認められない」という意見に賛成する人の割合は19%であった。
■女性の役目は夫に仕えること
調査では、「女性と男性は、政治やビジネスの世界、社会生活、家族内での役割のどの観点から見ても平等な権利を有するべきである」という考える人の割合が全体の87%を占めたものの、「女性の基本的な役割は夫に家で奉仕することだという考えに賛成」する人の割合は71%に上った。さらに回答者の67%は「家事が滞るようであれば、仕事をやめて主婦になるべきだ」という考えの持ち主であった。「男性は、必要があれば妻に暴力を振るうことができる」と考える人は全体の23%、「男性の名誉は妻の貞淑にかかっている」と考える人の割合は73%であった。
■同性愛に対して不寛容
同性愛を不快に感じる人の割合は76%、結婚せずに同棲するカップルを不快に感じる人は65%、バーやディスコ、クラブで遊ぶ人を不快に感じる人は63%であった。ピアスをつけた男性を不快に感じる人の割合は56%、露出した服を着た女性、人前でいちゃいちゃする若者の姿、一人暮らしや離婚した女性を不快に感じる人の割合も目立って高かった。
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■自らと異なる考え方に対する寛容性が見られない
ハカン・ユルマズ助教授:
今回の調査の目的は、スカーフに対する意識調査ではないと話すユルマズ助教授は、(スカーフに対する問いは)人の姿一般に対する最初の反応を測ることを意図したものだったと語った。
ユルマズ氏は調査結果を次のようにまとめた:「全体の7%の人がスカーフをかぶった女性に不快感に感じると答えた一方で、スカーフをかぶらない女性を不快と答えた人は24%だった。これは重要な数字である。3倍以上に達しているのだから。スカーフをかぶらない女性をムスリムと認めない人は19%存在する。これも私の意見では、少数派とはいえ非寛容性の表れだ。回答者の42%は『ある女性が自らをムスリムだと言うのであれば頭部を覆い隠すべき』と考えている。この数字は非常に大きな割合だ。
我々トルコ人は、現代的で都市的な性の観念に対して極めて保守的なのである。自らと異なる考えに対して寛容でない。しかし、こういったことが、我々が内向きで非寛容的だということを意味するわけではない。楽観視できるデータも出ている。男女平等に対する考えがその筆頭である」。
■宗教は日常のあらゆる分野で・・・
調査によると、宗教的信仰は人生のあらゆる分野で影響力を持っている。回答者の65%は、選挙で投票する政党の党首を選ぶとき、党首の宗教的信仰に注意を払う。
親友や友人を選ぶときに宗教的信仰が何かに注意する人の割合は全体の70%に達した。宗教的信仰が結婚する相手を選ぶときにも影響するだろうと答えた人の割合は85%であった。
■厳格な宗教観、倫理観が原因
社会学者のニリュフェル・ナルル教授は、今回の調査結果について次のような見解を示した:この調査によると、全体の30%の人に伝統的な価値観や厳格な宗教観に基づいて、スカーフをかぶらない女性や独り身の女性、婚外の関係や異なる人種との関係、さらに宗教的義務を果たさない人に対して寛容でない傾向が見られる。
なぜ不快に感じるのかと言えば、伝統的な価値観や、より厳格な倫理観や宗教観を持っているためで、彼らはスカーフをかぶらない女性や、宗教的義務を果たさない者に対して寛容でない。EU加盟への過程において、トルコがより寛容になることは大変重要である。多くの対話の機会を持ち、外の世界に目を向ける必要がある。
参考:http://www.osiaf.org.tr/
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( 翻訳者:田林 玲 )
( 記事ID:2067 )