うしなわれゆく社会的寛容性―続報(Milliyet紙)
2006年03月17日付 Milliyet 紙

保守性に関する調査のうち、「私たちの権利は制限され得るか」という見出しの部分は、多くの人々に最も基本的な民主的権利を放棄する傾向が見られることを示した。

本紙では昨日掲載した「失われゆく寛容性」という記事で、調査結果に対する専門家による評論を掲載した。専門家は人々が「ファシスト傾向」を持つことを指摘した。本調査は、トルコ社会が自らとは異なる考えを持つ人や異なる生活習慣を持つ人に対してどれほど非寛容的であるかを明らかにするとともに、大部分の人々に最も基本的な民主的権利を放棄する傾向があることも示した。

本調査はボアズィチ大学とオープン・ソサイエティ研究所のプロジェクト支援を受けて、ボアズィチ大学政治・国際関係学科のハカン・ユルマズ助教授の主導で行われた。調査のうち、「私たちの権利は制限され得るか」という見出しの項目では、情報開示を請求したり、集会やデモを行うなどといった最も基本的な民主的権利でも、必要があれば完全に制限され得ると考える人の割合の高さがひと際目を引いた。

■権利は制限され得る

「イスラム教徒でない国民が自らの宗教を自由に信仰したり、文化を継承することができる権利は必要に応じて完全に制限され得る」と答えた人の割合は全体の15%を占めた。また、「大多数の人とは異なる性的嗜好の自由」は場合によっては制限され得ると回答した人が全体の58%を占める一方、「自らの困難を表明するため集会やデモ行進を行うことのできる権利は必要があれば制限され得る、とする回答者は28%であった。「拷問を受けない権利は時には制限され得る」に賛成する人の割合は全体の23%を占め、全体の21%は新聞やテレビが検閲を受けずに活動する権利は制限され得る、と答えた。

母語がトルコ語でない国民が自らの言葉を自由に使用し、文化を保つことができる自由は必要に応じて完全に制限され得ると考える人の割合は全体の19%。誰でも協会や労働組合などの市民社会組織に自由に参加し活動できる権利は時には完全に制限され得ると答えた人は17%だった。

■伝統が失われつつある

「私たちの伝統や価値観はある時を境に失われてきている」との考えには全体の73%が賛成した。内訳は「完全に賛成」とする人が37.7%、「やや賛成」とする人が35.4%、賛成しない人が24%であった。
また、「世界のこれからのゆくえは文明間の対立や衝突が左右する」との考えに、「概して賛成」と答えた人は52%であった。

■絶対的な権威が必須

「大部分の人間は弱く、善悪を区別出来ない。よって人々を正しい道に導き、過ちをおこさないようする絶対的な力が必ず必要である」との考えに賛成と回答した人は全体の70%であった。なお、この項目に賛成しなかったのはわずか25%であった。
また、回答者の多数を占める73%の人が「誰もが今いる場所や地位を甘受すべきで、他人の場所や地位を欲しがってはならない」との考えに賛成した。反対する人の割合は22%であった。

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■ユルマズ助教授:「社会文化に問題」

宗教的な信仰が、政党の党首を選ぶ際や結婚相手を選ぶ際など、個人的な決断においてこれ程までに影響力を持つことは、社会文化に関して、世俗主義の観点から問題が生じる可能性がある。一方で礼拝しない人、すなわち祈りを捧げない人や断食しない人などに好意を持っていない人が30~35%という割合に留まっていることから、極度に寛容でない人が少数派であることもわかる。これらから、世俗主義に基づく社会文化にやや問題があるように見受けられる。

「私たちの権利は制限され得るか」という項目に含まれている権利は二つのグループに分かれる。一つ目は、全体の80%以上の人が決して制限されるべきではないと答えているタイプの権利である。二つ目は母語がトルコ語でない人が自らの母語を使用したり、デモ行進を行うことの自由といった権利である。これら二つのグループには、自身の権利(前者)、他者の権利(後者)という違いがあると言える。

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( 翻訳者:永井ひとみ )
( 記事ID:2072 )