イラクのジャファリ首相、トルコのセゼル大統領らと会談:訪土問題でタラバーニー大統領との溝深まる(Milliyet紙)
2006年03月01日付 Milliyet 紙
ジャラール・タラバーニー・イラク大統領の反対にもかかわらず、トルコを訪問したジャファリ・イラク首相は、首都アンカラで手厚い待遇を受けた。ジャファリ首相を受け入れたアフメト・ネジュデト・セゼル大統領は「両者間の論争が我々に影響をあたえることはない。正式な首相として来たのだから私たちは受け入れた」との見解を述べた。セゼル大統領はジャファリ首相に対し、トルコがイラクに期待することを次のように述べた。
1.イラクの全領土と政治的統一を守ってほしい。
2.テロリストがトルコに対して行動できぬよう、イラク国内で取り締まってほしい。
3.キルクークはイラクのモデルであり、全世界が安定へと向かう模範である。この都市を守ってほしい。また、人口構造の変化を食い止めてほしい。
シーア派の聖地に対する攻撃を遺憾であると述べたセゼル大統領は、「イラクに安定をもたらすため、一刻も早く政権を発足させることは利にかなっている」と話した。
エルドアン首相もキルクークが憲法上の保証を得る必要性を説いた。ジャファリ首相も「(キルクークに対してトルコが感じている)複雑な思いはわかっている。今後の議題にしていく。政権の発足を待つことが必要だ」と話した。
タラバーニー大統領の「(会談での)協定はイラク政権を拘束しない」という声明にもかかわらず、会談ではイラクへ供給されている電気量の増加と、ハブル国境に加えていくつかの国境が開かれることに対し「口頭での」同意がなされた。
■ダヴトオール教授も登場
アブドゥッラー・ギュル外相もジャファリ首相を晩餐会に招いた。ハマスのアンカラ訪問の調整を担当した首相府顧問アフメト・ダヴトオール教授は、ジャファリ首相とシェラトンホテルで一時間会談した。会談にはオーウズ・チェリッコル・イラク特別代表も参加した。
■「タラバーニーは私と関係ない」
イブラヒム・ジャファリ・イラク首相はトルコ訪問を批判したタラバーニー・イラク大統領に対してアンカラで返答した。「彼がなんと言おうと私には関係ない。私のアンカラ訪問は完全に合法である」と語った。本紙へ短く見解を示したジャファリ首相は、タラバーニー大統領がこのアンカラ訪問に合法性はないと批判したことに対し次のように返答した。
「彼自身の見解であり、敬意は払う。しかし、なんと言おうと私には関係ない。私はこの訪問をまったく誤りと思っていない。我々がとても敬意と敬愛を感じ、且つイラクの隣人であるトルコの首相が私を招待したので、私もそれに応えた。イラク首相として国民のために適切なことは何でもするつもりだ。」
■クルド人は出迎えず
ジャファリ首相の出迎えにイラクのクルド人政党、クルド民主党(KDP)とクルド愛国同盟(KYB)の在アンカラ代表オメル・メラニとベフルズ・ガラリが出席しなかったことに注目が集まった。イラク・トルクメン戦線トルコ代表アフメト・ムラトルは出席した。
■タラバーニー大統領、ジャファリ首相に憤慨 「混乱を招いた」
文書声明で「ジャファリがトルコ訪問を指導部に知らせずに行ったことは混乱を招き、またこの行動は憲法との矛盾がある」と述べたタラバーニー大統領は、イラクにおける執行部は、大統領、首相、国会議長、そして最高裁判所長からなることと、ジャファリ首相はトルコ訪問をこれらのメンバーに知らせなかったことを明らかにした。
タラバーニー大統領は、政府は単に日々の業務をこなす義務があるだけで、共同の声明を出す、あるいは協定に署名する目的で他国と話し合いの場を持つ権利はないことを述べ、ジャファリ首相のアンカラ訪問に遺憾の意を表明した。タラバーニー大統領は、「ジャファリは未だ新しい国会の承認を得ていない状態にありながらも、独りで決断してしまった。この行動は、選挙に勝利し将来の政府が団結したものになることを望む諸政党の期待に反している」との表現を用いた。
■イラクを拘束出来ない
タラバーニー大統領は、以上の理由により、ジャファリ首相がアンカラで結んだ協定はイラク政府を拘束することはないと明言した。
現地の新聞はこちらから
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:塚田 真裕 )
( 記事ID:1987 )