世界市場は平静化、しかし日本の動向次第では危機も・・(Milliyet紙)
2006年03月20日付 Milliyet 紙
アメリカのインフレ率の低下により世界市場は平静を取り戻した。しかし、市場の流動化の危険性はまだ続く。アメリカの債権に6000億ドルもの投資をしている日本が手持ちのストックを減らすのではという観測が市場に危機感を与えている。
日本銀行がゼロ金利政策を継続しつつも量的緩和政策の解除に踏み切ったことは世界市場に大きな波紋を呼んだ。このことが、日本人や日本からの(低い金利で調達した)資金で投資を行っていた投資家たちのアメリカ国債への投資意欲の減退を懸念する声が高まっている。
来期において米国債への投資が減り、(長期金利の)指標である10年国債の金利が上昇すればマネーがこぞってアメリカに流入するとみられることから、新興市場へ以前ほど資金が潤沢に流れ込まなくなる。発行額が7.9兆ドルのアメリカ国債のうち約26%を海外投資家が保有している。
また、この26%の債権のうちの約31%は日本人による投資であり、日本人がアメリカ国債に6000億ドル以上の投資をしているという計算になる。世界で最も貯蓄の2つの国である中国と日本の資本の多くがアメリカ国債の形で保有されている。
■6兆円へ引き下げ
日本は、経済の停滞を乗り越えるため、過去5年間市場を流動性で満たしてきた。金融市場に約30兆円の流動性が供給された。今日本経済では、経済の回復の兆しが見られ、何年振りかのインフレが確認された後、市場にある流動性を減らすことが表明された。日銀は3カ月間で資金供給を30兆円の流動性を6兆円に引き下げる計画で、その後8月には短期金利を0.25%に引き上げる見通し。8月までは金利をほぼゼロに保つ一方、(通貨供給量を)市場にある流動性で調節する。3カ月後にはその影響が感じられる水準に達することが期待されている。
■日本国債
日本で循環している貨幣の量が減ることは、新興市場にとっては良いニュースではない。日本から借り入れた資金を新興市場に投資している投資家は、資金の調達コストが上昇するため新興市場に対する投資意欲はこれまでに比べ減退するだろう。
このため投資家たちは、アメリカと並んで日本の10年国債にも関心を示し始めた。日本の10年国債の金利は先週金曜日の段階で約1.71%であった。新興市場への資金の流入という観点から見れば、アメリカ、ヨーロッパ、日本のような国々での金利の水準はまだまだ非常に重要である。短期金利が先進国ではまだ低いため、トルコのような(新興市場)国でポートフォリオ投資を行っている投資家は、こうした先進国から資金を調達している。
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( 翻訳者:堀ノ内夏子 )
( 記事ID:2085 )