「イスタンブルでピカソ」展、大盛況のうちに閉幕、25万人来場(Radikal紙)
2006年03月27日付 Radikal 紙

約250,000人が来場した「イスタンブルでピカソ」展は、トルコにおける民間美術展の歴史に新たな1ページを開いた。サバンジュ美術館の前にできた順番待ちの列は4カ月間途絶えることがなかった。

ピカソの名画がイスタンブルにやって来た!20世紀を代表する偉大な芸術家、パブロ・ピカソの作品が展示された「イスタンブルでピカソ」展は昨日閉幕した。サバンジュ大学サクップ・サバンジュ美術館で昨年11月24日に始まった展示には、4カ月の会期中を通じて、特に週末に順番待ちの長蛇の列ができた。251,500人が来場した「イスタンブルでピカソ」展は、一つの美術展でこれほど多くの動員数を記録したという点でトルコの民間美術展における歴史の転換点となった。

■厳しい入場基準にくたくた
トルコで初めて西洋の美術家のために開かれた大規模な展示会であった「イスタンブルでピカソ」展の「なくてはならないもの(持参してはならないもの)」のため、入場者はくたくたになった。作品を貸し出した団体の要請や、展示室の温度や湿度の問題、また非常事態対策という理由で、観覧者は、かばん、雨合羽、ベルト、傘、可燃性のもの、刃物、ボールペンや万年筆を持っての入場は禁止された。観覧者は、持っていたIDカード、財布、貴重品を預かり場で残すか、配布された袋に入れて持ち歩かなければならなかった。展示室の温度や湿度を一定に保ち、緊急時の観覧者を安全を確保するため、展示室には一度に450人までしか入場できなかった。
このような「美術展の入場基準」にあまり慣れていない来場者であったが、ピカソのような偉大な芸術家の作品を間近で見ることができる興奮から、規則への不満を訴える人はいなかった。展示室では観覧者に作品の案内をするため、26作品についての解説が吹きこまれた英語とトルコ語の音声ガイドが無料で提供された。

■講演会が開かれた
ピカソの孫であるベルナルド・ルイス・ピカソ氏によって選ばれた展示作品は、パリとバルセロナのピカソ美術館、リール美術館、ベルナルド・ルイス・ピカソ芸術基金、家族の持つコレクションから貸し出された。サバンジュ財団が支援し、ルイス・ピカソ芸術基金とイスタンブル・フランス文化センターの協力で開催された美術展には、有名な写真家の撮影した、ピカソが創作活動をしたスタジオや交友のあった人物の写真も展示された。51点の油彩、47点の描画、13点の陶器、12点の彫刻、8点の版画、2点の石版画、2点のタペストリーの計135作品が展示された。展示と平行して映画の上映や、世界を代表するピカソ研究者の参加した講演会も開かれた。251,500人の来場者の25%が学生だった。

■近隣在住者の日も設けられた
ピカソ展にはあらゆる人が数多く押し寄せた。アフメト・ネジュデト・セゼル大統領からエルドアン首相に至る政治家や、電車でやってきたアナトリアの小学生から雑誌をにぎわす著名人まで多くの人々が展示を見に来た。サクップ・サバンジュ美術館はピカソの作品を1人でも多くの人に見てもらおうと「近隣在住者の日」も設けたほどだ。
エミルギャン在住・在勤の人は、市が提供した招待状を持参すれば無料で美術館に入場し、観覧する機会を得た。この「近隣在住者の日」は、地区の雑貨店や菓子屋、ブティック、薬屋、美容室、喫茶店などに貼り出された「美術館へ行ったあとは私たちのところでお茶を!」というスローガンのポスターで告知された。3月8日の世界女性の日も美術館のあるエミルギャン地区の住民とともに祝われた。
トルコ国内のメディアに留まらず、海外でもイスタンブルでのピカソ展は大きく報じられた。イスタンブルで展示が行われたことを欧州の一員となった証拠と位置づけたファイナンシャル・タイムズ紙は「ピカソはヨーロッパがトルコを、トルコがヨーロッパを認め合うための『金の』鍵と成り得るか?」と書いた。ニューヨークタイムズ紙は「イスタンブルにある民間美術館がピカソ展を開き、ヨーロッパへの統合の重要な一歩を踏み出した」と報じた。
美術館関係者の発表によると、展示の一環で開かれた講演会、子どもの絵画教室、ギャラリーでのワークショップ、障害者のための企画は、土曜日に最も多くの人を集めた。美術展へ最も関心を示した(最も多く入場のあった)年代は19~25歳の若い年齢層であった(海外では入場者の平均年齢は60~65歳以上となる)。また、観覧者の51%が女性であった。59%の人が平日に観覧に訪れた。

■子どもや障害者向けの出版物
またサバンジュ美術館はピカソをより多くの人に紹介するために、「わたしはピカソ」という名前の子ども向けの本と視覚障害者向けの特別な展示作品のカタログを作った。本は観覧に来た児童がピカソを平易な言葉で理解できるようにした。
視覚障害者に対しては、ブライユ式点字で書かれた起伏のある文字と挿絵の入った作品カタログを読むことで、ピカソ作品への理解を深める機会を提供した。はじめて実施されたこの試みによって作られた作品カタログは、盲学校の造形の授業でも使われることになる。

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( 翻訳者:堀ノ内夏子 )
( 記事ID:2122 )