ベルギー、サバンジュ・センター暗殺事件容疑者の逃亡を傍観(Milliyet紙)
2006年03月02日付 Milliyet 紙

ベルギー政府当局は、サバンジュ・センター暗殺事件の容疑者のうち、テロリストのフェフリエ・エルダル容疑者が1999年に逮捕されて以来採ってきた政策、ならびにあらゆる警告にもかかわらず続けてきた措置により裁判を迷宮入りさせたあと、今回もテロリストの逃亡を文字通り傍観した。警察の監視の下で自宅からの外出禁止処分が課されたエルダル容疑者が、判決が出る前にさらばと手を振って逃亡したことは、関係省庁と治安当局との間での責任のなすり合いを招いた。

■交渉役は誰?

エルダル容疑者が逃亡したため、内務省と法務省の間では緊張が高まった。エルダル容疑者が監視下に置かれていたはずの家は、内務省の管轄下にあった。内務省関係者は、容疑者と接触していたのは法務省であったと述べた。この主張の理由は、エルダル容疑者を一般の警察ではなく特殊部隊が監視しており、この部隊が法務省の指揮下にあったことであった。

■情報機関の網の目をかいくぐった

渦中の人物である法務省長官ディウィールと内務省長官オンケリンクスは昨日共同で会見を行い、エルダル容疑者を2月19日に保護観察下に置いたが、2月27日の夕方「監視下にあるはずの自宅を警察に知られることなく」去ったと述べた。エルダル容疑者は自宅を、昨日6年の懲役刑を受けた組織のスポークスマン、ムサ・アサオールとともに後にしたことが明らかにされた。 会見では「エルダル容疑者が情報機関の追跡を断ち切ることに成功した」という趣旨の発言が注目された。事件の後逮捕されたアサオール容疑者がこの件に関してブリュージュ刑務所で警察の取り調べを受けていることも明らかにされた。

■オランダ潜伏の疑い

この事件について国際捜査と逮捕命令が出されたエルダル容疑者の足取りをベルギー国内で掴めない治安当局は、隣国との間で緊急交渉を始めた。ベルギー政府関係者が交渉したオランダも同容疑者の捜査を何度か行ったことが伝えられた。DHKP-Cのリーダー、ドュルスン・カラタシュも1999年からこの国に潜伏していたことが明らかになっている。

■トルコへも情報
 
トルコ政府もベルギーでの事態の進展を注視している。政府が在ベルギーのトルコ大使館と連絡を取り合い、エルダル容疑者の逃亡に関する情報を、公式筋を通じて伝えたことが分かった。

■サバンジュ側弁護士:トルコの裁判にプラス

フェフリエ・エルダル容疑者が1999年にブリュッセルで逮捕されて以来、サバンジュ家の弁護士を務めるシュミッツ氏は、ブリュージュ裁判所の決定がトルコでの暗殺事件に関する裁判にプラスに働くのではないかと見ている。
「逃亡は犯罪であり、(自らの犯罪の)代償を払いたくないことを示している」と話すシュミッツ氏は、エルダル容疑者と彼女の弁護人がこれまで行ってきた主張はすべて崩れたと語った。エルダルのうそもこれで終わったと述べるシュミッツ氏は、次のように続けた。「私の考えでは、(サバンジュ・センターでの暗殺事件を)政治的な事件と主張することはもはや不可能だ。この事件をDHKP-Cが起こしたことは極めて明白だ。ブリュージュでの判決でもDHKP-Cがテロ集団であり、罪に値する行動を取っていたことはっきりと示された。サバンジュ・センターで起こった殺人事件も、テロ以外の何物でもない。何年にも渡って言われてきたうその仮面がついに剥がれ落ちた」。

■「自宅の監視は不確実」

保護観察の名の下で自宅を監視下に置く方法は、エルダル容疑者のようなレベルのテロリストには適した方法ではなかったと話すシュミッツ氏は、「自宅の監視が刑務所への投獄より確実であるはずはない。ドアも開くし、外に出ることもできる。もし警察より速く走ることができれば、逃亡のチャンスも必ずある。つまりエルダルの方が警察よりも素早かったということだ」と語った。
エルダル容疑者の逮捕の可能性については楽観視しているというシュミッツ氏は、「短時間で容疑者を発見できる可能性がある。なぜなら逃亡犯の情報が提供されて逮捕されるということ関して、ヨーロッパは以前と比べずっと優れているからだ。さらにエルダル容疑者がごく最近逃亡したことも忘れてはいけない。別の言い方をすれば逃亡の足取りが新しく、この種の逃亡で足取りを消すことは不可能に近い」と話した。

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( 翻訳者:住永 千裕 )
( 記事ID:1994 )