ヘジャーブ着用厳正化を求める国会の動き シャルグ紙
2006年04月12日付 Sharq 紙

2006年4月12日付シャルグ紙2面

【政治部:イーラジ・ジャムシーディー】テヘラン選出のゴラーム・レザー・メスバーヒー=モガッダム議員は、国会はなるべく早期に服装・ヘジャーブのあり方に関する法案を可決すべきだとの意見を述べた。

 暑い夏の季節の到来を目前に控えたこの時期に、このような提案が提起されたのは異例である。例年、若い男女の服装のあり方に関する議論は、オルディーベヘシュト月下旬〔5月中旬〕かホルダード月上旬〔5月下旬〕頃に議論されるのが通常だからだ。しかし今回国会議員らは、夏の暑い季節が到来する前に、今年こそ若い男女のヘジャーブの乱れを防ぐための法案を可決しなくてはならないと意気込んでいるのである。

 昨日の国会公開本会議場、さらには国会通路では、若者の服装のあり方や服装ファッション法案をめぐる課題についての議論が、話題に上った。メスバーヒー=モガッダム議員は、〔昨日の国会で〕この問題に関し警鐘を鳴らした最初の人物であった。また、ときを同じくして、エマード・アフルーグ議員もまた、この問題を政治的な問題として示そうとしている人々に対して、批判を浴びせた。

 メスバーヒー=モガッダム議員は議題に入る前の冒頭演説において、「国会や政府は、経済問題では首尾よく動いているが、しかし文化問題においては、真剣で明確、かつ必要な仕事を何ら行っていない」と述べた。その上で「文化的侵略との闘いのためには、何らかのプログラムが必要だということは、周知の通りである。しかしそのために、政府や国会はこれまで何をしてきたのか?」と問いただした。

 メスバーヒー=モガッダム議員は暑い季節の到来について指摘し、次のように述べた。「夏が到来しつつある。倫理的な放縦、服装や行動での乱れや無規律ぶりが目に付くようになるのは、この季節においてである。国会はこのことについて、何をしてきたのか?」。その上でさらに、「毎年何百億トマーン〔100億トマーンは約13億円〕ものお金がイスラーム指導省やイラン国営放送、イスラーム宣伝庁他につぎ込まれているが、彼らはイスラーム・アイデンティティに適った文化づくりにおいて、いかなる仕事をしてきたのか?」と語った。

 国会の原理主義派に属する同議員は、さらに「宗教的、文化的に有害な影響を垂れ流す映画に上映許可が下りる現状は、まことに遺憾である」と論じ、その上で「映画、国営放送、プレスその他の文化機関は、望ましい影響をもたらすことも可能だが、同時にときに社会の倫理やアイデンティティに対して破壊的な作用を及ぼすこともある」と述べた。

 《闘う宗教指導者協会》のスポークスマンを務める同議員は、宗教指導者たちを次のように暗に批判した。「残念ながら、公的機関がこの領域で基礎的な仕事を怠っているだけでなく、われわれ宗教指導者もまた、説教壇においてきちんとした説教を行い、倫理のあり方に注意を向けるといった努力を怠っている」。

 メスバーヒー=モガッダム議員は最後に、社会の文化的ニーズに応えるような文化関連法案の検討と、服装やヘジャーブに関する法案の提出を、国会の文化委員会に求め、次のように語った。「警察の努力だけで、行動の堕落と服装の乱れを防ぐことができるとは思わない。もっと根本的な仕事が必要であると考える。では、その根本的な仕事とは何か?」。そして「なぜこのことに関して、国会から何も法案が提出されてこなかったのか?なぜそれは可決されなかったのか?最低でも、国会本会議場に上程されるべきではなかったのか?」と問いただし、「私が一番望んでいるのは、この問題が真剣にとり上げられることだ」と付け加えた。

 ▼ 国民服装ファッション法案

 メスバーヒー=モガッダム議員が社会の服装・ヘジャーブのあり方を批判した背景には、すでに一部の議員らから、社会の文化的状況を厳しく批判する声が上がっていたという事情がある。エスファハーン選出で《原理主義派》のモハンマド・タギー・ラフバル議員などは、文化革命を要求するほどであった。同議員は極めて批判的な立場から、次のように述べた。「娘たちが申し訳程度にのせている布きれをもって、それをヘジャーブとみなすことなど不可能だ。周到な準備をもって、文化革命を起こし、イスラーム的環境を作り出す必要がある」。

 テヘラン選出で国会の文化委員会の委員長を務めるエマード・アフルーグ議員が、《国民服装ファッション法案》という、何かと議論の多い法案を提出したのは、このような問題が広範に提起された末のことであった。この法案は、複数の文化・政治グループの間で、さまざまな反応を引き起こした。一部の者は国会が社会の服装を強制することを狙っていると批判する一方、他方で法案の擁護に立ち上がった人々もいた。彼らにとって、このような法案を作成することは、純イラン=イスラーム的文化への回帰に向けた最低限の一歩であり、西洋の文化的侵略に対するワクチンを社会や若者たちに打つことを意味した。

 この法案は、提起されてからすでに1年以上が経っているが、いまだ最終的な結論には至っていない。エマード・アフルーグ議員は、この法案が《政治化》されたことが、結論に至らぬ最も重要な要因であると考えている。同議員によると、国会が服装の強制を意図していることを推測させるような文言は、この法案にはまったく存在しない、とのことだ。

 エマード・アフルーグ議員は昨日、「人々の服装を強制する必要性はどこにあるのか」との本紙の問いに対し、この問題を強く否定した。「法案に関しこのように言われることは、まったく不愉快である。私がこのことにどれだけ不愉快な思いをしているのか、紙上にもきちんと書いていただきたい。なぜならば、法案には《強制》という文言はどこにも存在しないことは明らかだからだ。にもかかわらず、あなた方はまたしても、《強制》ということばに執着している」。

 同議員はさらに「われわれは決して、その他のファッションを排除しようなどとは考えていない。ただイラン・ファッションを作り出したいだけなのだ」と述べ、「国会があたかもファッションや服装の強制を狙っているかのように、社会に対してほのめかす」人々を強く批判した。「このような雰囲気が醸成されるのを打ち消すのに、われわれの時間や労力がすべて浪費されている」。その上で同議員は、「あなた方全員に、法案をよく読んで欲しいと思う。そのような内容はどこにも見あたらないということが分かるだろう」と述べた。

 国会の文化委員会委員長はさらに、次のように付け加えた。「イラン市場に出回っている衣類のデザインは、パキスタンやトルコ、その他の国々から輸入されたものがほとんどだ。しかし、イランには熟練されたデザイナーがおり、彼らの作品の展示会は海外では高い評価を受けている。にも関わらず、経済的な問題から、自らのデザインを国内に提供することができないでいる」。

 アフルーグ議員はまた、次のように述べた。「服装ファッション法案では、文化イスラーム指導省の評議会が国内の服飾デザイナーを経済的に支援する旨が書かれているのであって、人々に対して国産の服を買うよう強制するような趣旨のことは、どこにも書かれていない」。アーバードギャラーン(開発者)連合の一員であるアフルーグ議員はその上で、「残念ながら、自らの政治的利益のために、イラン文化をもその毒牙にかけようとしている者たちが、一部にはいる。彼らは、自らの政治的考え方が不変のものであるかのように装うためなら、あらゆるものをその手段とするのだ」と付け加えた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2201 )