宗教必修科目の免除、アレヴィー教徒にも認められる(Milliyet紙)
2006年04月17日付 Milliyet 紙
イスタンブル第5地方行政裁判所は歴史的判決を下した。アレヴィー教徒の父親が信仰上の理由により子供の「宗教文化」と「道徳知識」という必修科目の免除を訴えた裁判で、 原告の主張が認められた。判決文では、授業で教えられる宗教と哲学が一家の信仰と異なるという原告の訴えに対して、「信教の自由を保障するためにも原告の訴えは認められるべき」と述べられた。
しかし以前、同様の裁判で、アレヴィー教徒の生徒が必修の宗教科目免除の訴えを司法が認めなかったため、原告は欧州人権裁判所に訴えたことがあった。こうして初めて司法で同じ内容の訴えに対して異なる判決がでることになった。
アレヴィー・ベクタシ連盟のアリ・ケナンオール副会長は、ウスキュダル・ラサトハーネ初等学校で学ぶ息子のムスタファ・ベルカイ君が4年生へ進級した際、イスタンブル県の国民教育局に申し立てをした。息子が4年生で必修の宗教の授業を受けているが、アレヴィー教徒であるため、一家の宗教・哲学的信条と異なる授業の免除を求めたのだ。
イスタンブル県の国民教育局はこの要望に対し、なんの回答もしなかった。法律上、これが「否定的な回答」と判断されたため、ケナンオール氏はイスタンブル第5地方行政裁判所に告訴した。
■県庁側の反対弁論
県の国民教育局側を代表して反対弁論を提出したアリ・ソェゼン副知事は、憲法第24条によれば宗教の授業は必修であること、そして1990年教育指導高等委員会の決定によれば、少数民族学校ではなく一般学校に所属するキリスト教徒とユダヤ教徒の生徒のみ宗教科目の免除が可能であると説明した。ソェゼン副知事は、原告が異教徒であることについていかなる申告もしていないと証言した。
第5地方行政裁判所は1990年の決定の効力を2005年12月30日に停止する命令をだした。先週、原告・被告双方へ伝えられた判決では、憲法第24条が良心、信仰、思想の自由の権利を全ての人に保障していること、そして欧州人権条約第9条でも同様の権利が保障されていることが述べられた。またこの判決では、国際的に合意にいたっている事項と国内法の間で矛盾が生じた場合に、国際的合意に従うことが強調された。その一方で、憲法に記されている必修宗教科目がムスリムのみを対象としているという立場をとった。もしそうでないと、信教の自由を保障する原則に矛盾すると指摘した。
■申立書が考慮された
今回の判決では、1990年に教育指導高等委員会がだした決定の意図が、ムスリム以外の者に宗教の授業を免除することにあったと説明されている。また同判決文では、ケナンオール氏が宗教の授業が一家の宗教的、哲学的信条にあわないことを訴えた申立書があることにも言及された。
県庁側は、管区行政裁判所にこの判決に対する不服申し立てをすることができる。教育指導高等委員会の決定の停止命令を、管区行政裁判所が解除すれば、ケナンオール一家はその前提のなかで結審を待つことになる。しかしもし管区行政裁判所が第5地域行政裁判所の判決を承認すれば、この裁判は判例としての重みをもつことになる。
■欧州人権裁判所でも同様の裁判が
ケナンオール一家の告訴と同様の訴えは、これよりも前に欧州人権裁判所に持ち込まれている。2001年4月2日、イスンブル国民教育局は「必修科目」という理由で、アレヴィー教徒の女生徒E. Z.の家族が宗教の授業の免除を求めた訴えを却下した。その一家はイスタンブル第2地域行政裁判所に控訴したが、同裁判所は国民教育局の主張を認めた。
行政裁判所第8法廷は、2003年4月14日に申請された上訴を却下した。2004年2月に欧州人権裁判所に持ち込まれたこの裁判では、「家族の訴えは受け入れ可能」と判断された。EU加盟へのプログレス・レポートにもこの裁判のことが言及された。欧州人権裁判所は本年6月に判決を下す予定だ。もし欧州人権裁判所がアレヴィー教徒の家族の訴えを認めるなら、憲法第24条廃止の方向での進展が議論される可能性がある。
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( 翻訳者:堀ノ内 夏子 )
( 記事ID:2222 )