Hurriyet沖縄レポート「長寿の秘訣は沖縄流」(Hurriyet 紙)
2006年05月14日付 Hurriyet 紙

1940年代、人間の平均寿命は48歳だった。1970年代には65歳までのびた。2025年にはこの値が73歳になると予想されている。現在、世界で平均寿命が最も長いところは81.2歳で日本の沖縄だ。

沖縄の人々の寿命がなぜより長いのか、人々の多くがどうして100歳を超えているのかを調べるため、本紙で執筆を担当するオスマン・ミュフテュオール教授とカメラマンのセバティ・カラクルトが沖縄へ向かった。ミュフテュオール教授は、4日間の沖縄訪問中に、長寿に関する調査を行う研究所を訪れたり、街の人々と話をしたり、ライフスタイルを観察したりした。彼らの食べるものから娯楽に対する考え方、精神的な生活や社会的関係に至るまで沖縄の人々を調査した。明日からヒュッリイェト紙では、沖縄の人々の長寿の秘密についてカラクルト・カメラマンの写真とともに、ミュフテュオール教授の連載記事を読者におおくりする予定だ。

■沖縄にはどんな特徴があるのか?気候なの? 人なの? なぜこれほど長寿なの?
- 気候の影響もあるが沖縄の長寿は基本的にはライフスタイルから生じている。例えば、アメリカに移民した沖縄県民を調査すると、島に残った人より短命であることがわかった。逆に沖縄に来た中国人はより長く生きたことが分かった。

■長く生きる一方で、気力はどんな状況にあるの?
- 気力に満ちている。沖縄県民は歳をとるだけで老化しない。人生を楽しみ、年だからといって諦めることはしない。車椅子にのり、老人ボケをわずらう人を思い浮かべないで。90歳でもスキンケアをする、活動的な人々なのだ。みなパワーに溢れている。

■ライフスタイルにどのような違いがあるの?
- まず食習慣が異なっている。あらゆる海産物、野菜、果実、大豆や植物茶を中心とした食事。だが何を食べようとも少なくとる習慣がある。肥満を嫌っているのだ。精神の育みもうまくやっている。彼らの精神は非常に安定している。

■生活のテンポはどうなの?あわただしさやストレス…
- 沖縄では1日が48時間だ。人生は、スローモーションの映画のようだ。音楽は穏やかで、会話はゆったり、歩き方ものんびりだ。せきたてる人はいなかった。さらにはパニック、ストレス、憂鬱など全く存在しない。お年寄りたちはこれらの意味すら知らない。スペインのシエスタのような昼寝の習慣もある。

■少々怠惰癖があるのか?
- そんなことは決してない。非常に活発な人生を送っている。運動は生活の一部だ。朝は太極拳や空手で始まる。自分たちの仲間うちで娯楽を企画する。週末にはピクニックに行く。

■これらの習慣は若い世代にも受け継がれているのか?
- 若い世代にはあまり受け継がれていない。例えば広告をまねて煙草を吸う。一方で若者の姿をまねて80歳をすぎてから喫煙を始めたお年寄りもいる。若者はアメリカン・スタイルのファーストフードをより多く食べている。このような変化は沖縄の平均寿命を短くするだろう。

■普通、病気は全くないの?
- 非常に少ない。コレステロールの問題も全くない。世界中の人々の動脈硬化を増加させているホモシスチン値が最も低い地域が沖縄だ。乳ガン、前立腺ガンにも縁がない。沖縄にある研究所が前立腺がんの調査を行おうとしたが、症例が見つけられず調査を断念するはめになったそうだ。

■アルコールはどうか?
- 米の蒸留酒やビールが最も好まれるアルコールだ。しかし少ししか飲まれていない。アルコールよりも植物のお茶を好む。とくにジャスミン茶をよく飲む。ジャスミン茶と緑茶をブレンドしたものか、ジャスミン茶が沖縄の人のお気に入りだ。

■デトックス(解毒)もしていないのでしょうね。
-毒素をとっていないのだからデトックスの必要もない。人生そのものが沖縄では解毒されているのだ。実際、デトックスということすら彼らは耳にしたことはない。

■正しい食生活、運動、スポーツ、幸福な精神。沖縄県民はどのように死ぬのか、何が原因で死ぬのか?
-実際、100歳を越えて死亡してもなお血管は若いままだが、皆、自然に齢を重ね、自らの寿命を終えて死んでいく。

■都市化、産業化のレベルは?
- 島であることがもたらした結果として、車は少なく、産業地帯も少ない。建築美はみあたらず、カリフォルニアの下手なコピーのような街だが、汚染は少なく、交通量の多くない地域だ。

■通りで目にする人々の年齢を推測できた?
- 最初は難しかった。後になってから、トルコ人だったら何歳かを考えて、それに20歳をたす必要があるとわかった。そうすると沖縄県民の年齢が当たるようになった。

■トルコ人と似ているところはあるの?
- 実は我々に似ている。私たちのように恥ずかしがり屋で遠慮がちなのだ。感謝の言葉やお詫びの言葉をよく使う。我々と似ているところとしては、例えば沖縄で人に道を尋ねることは危険なことだ。人を助けようとする気持ちが強いため、ちょうど我々がそうであるように、場所を知らずともその場所を知っているかのように説明してしまうのだ。

■沖縄では歳をとることは何を意味するの?100歳の人がバスに乗り込んできたら、80歳の人は席を譲るの?
- いや、誰も誰かに席を譲ることはない。なぜかというと彼らにとって歳をとることは助けを必要とする状態ではないからだ。さらには高齢者には助けが必要と考えることが恥とされている。

■若者は高齢者にどう接しているのか?
- 高齢者に対し強い尊敬の念を抱いている。例えば若者にとって高齢者、特に歳をとった女性に触れることは寿命をのばすことだ。なぜかと言うと沖縄社会では女性は特別な地位にある。沖縄では家長は女性なのだ。高齢者の側は、若者に触れることは若者に美しさをもたらすことと信じている。

■性生活は?
- 75歳までほぼ全員の性生活は問題なく続く。80歳ではおそらく続いており、85歳では稀になる。我々が世話になったタクシー運転手は、78歳の男性だった。彼に性生活はどうかと尋ねた。家にこもっていてはだめ、そとに遊びにでかけると調子がよいという答えが返ってきた。これも生き生きとした人生を楽しむ秘訣だ。

■更年期の年齢はどうか?
- トルコ人に比べると若干早い。しかし次のような状況にある。沖縄の人々の人生のより多くの部分は、更年期とともに過ぎる。例えば100歳の人は、50年間、つまり人生の半分が更年期ということだ。しかし骨の脆さ、背の縮み、腰の曲がりといった事は全く起こらない。なぜなら食生活がこれらを防いでいるのだ。

■この連載記事では、このほかに次のようなテーマを扱う。
沖縄ではなぜガンが少ないの?
心筋梗塞や心臓麻痺の発生率がここまで低いわけは?
お年寄りに触れれば寿命がのびる?
女性はなぜ長生きするのか?
沖縄県民は死を自然なことと考える、死を恐れない
沖縄県民は海産物をなんでも食べる
さつまいもと緑茶は寿命をのばすか?
大豆の起こす奇跡の理由
85歳の性
沖縄では鬱という言葉は使われない
沖縄にはデトックス(解毒)はない、抗酸化作用がある
肌の美しさの秘密

■全長1,000kmにわたる島々の中で最大
沖縄本島は、日本の南に位置する琉球諸島の一部だ。1,000kmにわたっていつもの島々からなる地域で最大の島だ。沖縄本島は、表面積1,201平方キロメートル、第2次世界大戦中にアメリカ軍の支配下に入り、1945年~72年の間はアメリカ領だった。その後、再度日本に返還された。人口は約120万人。もとからいた沖縄の人々に加え、本土からの日本人、外国人労働者、現在は基地のあるアメリカの軍人やその家族もいる。本島北部では人口はより少ない。南に下るにつれて、沖縄本島のなかでは発展した都市である名護市、沖縄市、そして県庁所在地である那覇市にまでの伸びる都市地域がある。都市化は、人口が増えるにつれてゆっくりと北部へ向かって進んでいる。とはいっても沖縄は日本で最も貧しい地域にはいる。一人あたりの国民所得は、5,000USドルといったレベルだ。

■トルコの沖縄といえば
- アイヴァルク、フォチャ、アナムル、アランヤ

■沖縄は全世界の長寿モデルになりうるか?
- 長寿に関して医学界で議論されていることが全て沖縄には存在する。私見だが、長寿議論は沖縄議論となっていくだろう。沖縄のライフスタイル、人生のあり方がよく理解されれば、良好で上質な齢の重ね方もわかるようになるだろう。どの国もこの沖縄モデルから自らに合うものを採り入れて、自国にあったモデルをつくることができる。

■トルコでもこれは実行可能か?
- ストレスの少ない、交通渋滞のない、怒りやコレステロールから遠く離れた沖縄でのライフスタイルをそっくりそのままここでも実行できる。トルコの地中海性気候は沖縄の亜熱帯気候に非常に似ている。沖縄ではトルコより少し雨が多いだけである。そして彼らの食べる野菜、果物は80%トルコにある。実行できないわけはない。

■トルコに沖縄人はいるか?
- エーゲ海や地中海には、トルコ、ギリシャ、アルメニアの文化が混ざり合った村々がある。これらの村々では沖縄のライフスタイルに非常に近い生活が送られている。アイヴァルク、フォチャ、アナムル、アランヤ、イスケンデルのほぼ全域はこんな場所だ。

■長寿の5条件
沖縄の長寿には5つの基本要因があると私は考える。
1) 東洋医学と西洋医学が合体して用いられている。東洋医学は予防医学である。人々が病気にならないことを目的とする。西洋医学は、早期発見と治療で成り立っている。沖縄には両方がある。
2) 精神と体を一緒に扱う医学がある。身体的問題が精神的な問題を引き起こしうることを、また精神的問題が身体的疾病を引き起こしうることを知っているのだ。
3) 個人と社会の関係がとても健康的だ。文化、歴史、親類縁者を大切にし、帰属意識を発達させた人々である。
4) 来世との一体化も実現している。死を恐れていない。平和な気持ちで向き合っている。都市部の人でも死を受け入れて生きている。
5) 精神は健康の上に築かれている。祈りは全て健康に関するものだ。車が欲しい、家が欲しい、といったものでなく健康でありますようにと祈りをささげている。


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( 翻訳者:井上 さやか )
( 記事ID:2423 )