宗務庁が批判 -宗教関連書籍の政治利用はありえないこと(Milliyet紙)
2006年05月15日付 Milliyet 紙
バルダクオール大臣は、公正発展党(AKP)系の自治体で、イスラム法を称え、ユダヤ教とキリスト教を中傷する冊子が出版されたことについて、「自治体が監修なしで作成させた冊子類が問題を起こしている。」と非難した。
宗務大臣アリ・バルダクオールは、イスタンブルのエユプ、トゥズラ、アンカラのアルトゥンダーなどで、シャリーア(イスラム法)を称え、ユダヤ教を中傷する冊子が出版されたことに反発を示した。
バルダクオール大臣は、「このような状況はわが国のあるべき姿ではありません。法律および憲法は宗教に関する職務を宗務庁に与えているのです。」と述べた。
■「ユダヤ教を中傷する表現」
バルダクオール大臣はミッリイェト紙に対して、宗務庁がある以上、このような宗教冊子に政治的思想が入り込まないよう断固として阻止すると述べた。
バルダクオール大臣は、自治体が勝手に作成したこのような冊子が継続的に問題を生じさせていると述べ、次のように続けた。
「ある自治体が、預言者ムハンマドに関する日々の出来事を書き加え、疑わしい内容の冊子を配布しました。また、別の自治体の冊子ではユダヤ教信者へ中傷表現がみられます。トルコに嫌悪による緊張状態を生じさせようとする考え方があるのなら、我々、皆にとって迷惑なことです。
■「宗務庁に相談を」
自治体、出版社、公共団体、市民団体などがイスラムや預言者ムハンマドに関する冊子作成を希望する場合は、是非宗務庁に相談してほしい。
宗教に関することならば、正しい知識を提供することができます。個人的な感情やその時々の政治的思想が入り込むことを阻止できるでしょう。これらの冊子を書いた人たちの世界や彼らが何に怒っているのか、彼らの反発についてはよく分かりません。我々は人々を不快にしない純粋な宗教知識を与えましょう。」
バルダクオール大臣は、ユダヤ教徒を中傷した内容を含む冊子に関してユダヤ教団体が不快の念を大臣に伝えてきたことを述べ、次のように続けた。
「『ユダヤ教に対して容赦ない闘争が始められた』というこのプロパガンダは我々にふさわしくありません。こういった事件は、宗務庁の職務の重要性を如実に表しています。
共和国制への移行とともに、宗教と政治は分離されました。そして宗教従事者は、名誉ある宗務をまっとうできる地位を確保されました。宗教従事者が、信者に無理を言って集めた金で宗務を行うことは難しいからです。
■共和国成立で救われた
西洋では信者から金を集めて、税金を支払って、宗務が行われています。尊厳が失われているのです。オスマン時代も同様でした。しかし、共和制移行後、重要な一歩が踏み出されました。物乞いのように、「生活の保障をしてください」と信者にお願いせずに済むようになりました。堂々と名誉ある務めを果たすことができるようになったのです。
■冊子を配布した自治体
トゥズラ:既婚夫婦にイスラム法のプロパガンダを目的とした『預言者の示した家族のあり方』という本を配布した。
エユプ:「聖誕週間」において許可を得ずに、『愛すべき我らが預言者ムハンマド』というパンフレットを配布した。ここには、「頭をスカーフで覆わないことは宗教上の罪悪である。公共の場でのスカーフ着用の禁止は、イスラム全てに敵対するものである」と述べられていた。
バーヂュラル:ケリム・アイテキン補佐官が世俗主義を非難した『宣教師を信用するな』という本が高校とコーラン学校に配布された。ユダヤ教とキリスト教に関する否定的な表現が使われている。
アルトゥンダー:新婚夫婦に、『婚姻と結婚生活の手引き』という本が配布された。この冊子にはイスラムの規則にのっとった結婚生活がどうあるべきかが説明されている。
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( 翻訳者:堀ノ内夏子 )
( 記事ID:2432 )