アメリカがイラクのナツメヤシ生産復興を支援(サバーフ・ジャディード紙)
2006年05月14日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■ アメリカがイラクのナツメヤシ生産復興の支援を希望

2006年05月14日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP経済面

【バグダード:ロイター】

 アメリカ軍が、ナツメヤシの生産を復興させようとのイラクの努力を支援している。イラクの主要収入源のひとつが回復することで、雇用機会を提供し、繰り返される宗派間抗争の導火線を取り外す助けになることを期待しているのである。

 現在イラク各地で東欧人パイロットが操縦するヘリコプターがナツメヤシへの殺虫剤散布を行い、収穫を台無しにする害虫を駆除している。かつて世界のナツメヤシ需要の30%を賄っていたこの地域で、数十年来の生産量下降の流れを変えようとの試みである。

 アメリカのブラック・ホーク・ヘリコプターに護衛されたソビエト製飛行機が、積み込んだ殺虫剤をユーフラテス川河岸のナツメヤシ畑に投下している。ここは古代メソポタミアの中心部であり、人類が最初に農業を知ったバビロンにも近い。

 2003年にサッダーム・フセイン大統領を追放すべくアメリカ主導のイラク侵攻が行われて以来、11月のナツメヤシ収穫に先立ってこのような広大な範囲に殺虫剤の散布作業が行われるのは、困窮するイラクでは今回が初めてである。

 バグダード南部にあるナジャフ県のアスアド・アブージャラール知事は、「イラクはかつてナツメヤシの最大生産国だったが、いくつもの戦いでナツメヤシの木の多くが破壊された」と話した。彼が指しているのは、1980〜1988年のイラン・イラク戦争と1991年の湾岸戦争のことである。

 金曜日、知事は米軍基地の照りつける太陽の下、「殺虫剤の使用はこの部門の復興にとって重要だ」と語り、ナツメヤシの生産量はいまや近隣諸国を下回っていると、付け加えた。「これによって収入が向上し、雇用機会が増える」と語る彼の立つそばには、ナジャフ近郊での任務を終えて着陸したばかりの時代物のソビエト製Mi-2ヘリコプター3機があった。これは今のイラクでは危険な任務である。

 関係者らはイラク人もアメリカ人も、「暴力を封じ込め安定したイラクを建設するためには経済発展が重要だ。なぜなら困窮と失業が人々の怒りや不満を増大させ、その怒りや不満がアメリカの支援する政府に対する絶え間ない戦闘を煽っているからだ」と口にする。

 アメリカ陸軍ロバート・ソーアス中佐は、「不満があれば人々は政府に反対し、反政府の戦闘員らを支援する方向へ大きく傾く」と述べた。

 イラクは二大河チグリス・ユーフラテスの間の肥沃な大地を誇り、古代から中東の主要食品であったナツメヤシの世界最大の生産地であった。
しかし戦争、投資不足、手入れ不足により、この部門は以前の繁栄の影のみが残る状態へと落ち込んだ。イラクに3千万本のナツメヤシの木があった最盛期の50年代に比べ、全生産量は90%以上も低下した。

 サッダーム・フセイン時代に散布に使っていた飛行機は2003年の戦争の際に破壊され、殺虫剤は泥棒に略奪された。

 現在、ある私企業がモルドバやブルガリアのパイロットを雇用し、6月15日までにおよそ150ファッダーン[※約6万ヘクタール]への散布を行っている。ナツメヤシの脅威となる虫の駆除に最も適した時期である。

 銃や殺傷力の高い武器が溢れる国で樹木すれすれの高さを飛ぶことは大きなリスクを含んでいる。ドバイに本社を置くスカイリンク・アラビア社のマイク・ダグラス社長は、アメリカが資金提供するこのプロジェクトの費用をおよそ800万ドルと見積もる一方、「危険はある。みな命賭けだ」と述べた。


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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:2449 )