イラン人の母親から生まれた子供への国籍付与法案、却下 シャルグ紙
2006年05月17日付 Sharq 紙
【政治部】国会議員らは、昨日行われた会議の中で、イラン人の母親と外国人の父親の間に生まれた子供にイラン国籍を付与する旨の法案総則を否決した。
この法案は、イラン暦1314年1月20日(西暦1935年4月10日)に可決された民法第964条と第976条第2項の改正案として国会に提出されたが、国会の司法・法務委員会、政府代表、一部の宗教指導者出身の国会議員らの反対にあった。単にイラン人の母親から生まれただけという子供に対し、国籍を付与することは、社会の公益にはならないというのが、反対派の見解である。
すでに、女性国会議員の一部、中でもマシュハド選出のエッファト・シャリーアティー議員は審議前の冒頭演説の中で、この法案への賛成票を求めていた。同議員は、この法案の可決が、イラン人女性とその子供の権利を正式に認めることを意味するのだとして、「現在、イラン国内で、イラン人の母と外国人の父との間に生まれた子供の多くは身分、国籍がない。もし本当に女性の権利を正式に認めるのであれば、女性に対しこの完全な権利を事実上考慮するべきである」と語った。
しかし、昨日の国会は、賛成派の見解を受け入れず、出席した220名の議員の票のうち、賛成が66票、反対が106票、棄権が10票で、38議員が投票に参加しなかった。
この法案の中では、母親を通じて子供にイラン国籍が付与されるか、もしくは子供の血縁関係者として母親のみ明らかな場合には、母子関係は母親の国の法律に従い、それ以外の場合の親子関係は父親の国の法律に従う、とされていた。分かりやすく言い換えれば、イラン人の母親から生まれた子供にもイラン国籍を取得する可能性があるということだ。国会の国家安全保障委員会は、この法案が可決されたとしても、〈母親から国籍を取得した子供は、国の重要なポストに就くことは出来ない〉との注釈を設けていた。
国会の司法・法務委員会広報のモハンマド・デフガーン氏は、同法案総則反対について「イラン人の母親から生まれた子供が抱える問題は、解決されなければならないが、それは専門的見地に則って行われるべきだ」と語った。
モハンマドタギー・モハッセル・ハメダーニー同委員会委員長も、法案への反対理由について、「イラン人の母親と外国人の父親の間に生まれた子供たちに、現状では大学や学校に行くに当たっての問題は無い。もしこの法案が可決されれば、アメリカやヨーロッパを脱出してイランに来る者たちのなかには、男女を問わず、自分の母親はこれこれこういう女だから、自分にも出生証明書をくれと言い出す者もでてくるだろう。もちろん、外国人の父親の中には、イラン人の妻を子供たちとともに置き去りにし、家族が困っているケースもあるが、国籍は全ての専門的な要項をクリアした上で付与されなければならない。政府にはこれに関する法案を用意している」と述べた。
法案賛成派のラーヒージャーン、バンダルアッバース選出の議員らは、《母語》、《母国》という概念と同様、《母国籍》もあって然るべきではないかと語った。本法案の賛否の際、女性議員は一人として発言しなかった。
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( 翻訳者:關岡 敦子 )
( 記事ID:2453 )