ギュル外相、アルメニア人大虐殺否定を罰する仏の法案に警告(Milliyet紙)
2006年05月01日付 Milliyet 紙

トルコはフランスの国民議会に提出された法案の成立阻止を仏政府に求めた。その法案は、アルメニア人大虐殺を否定することを罪として罰するというものだ。


アブドゥッラー・ギュル外相はブルガリアのソフィアで27日、フィリップ・ドゥースト=ブラジー仏外相と会談した際、「このような思想の自由があるものか。我が国の大統領や首相がフランスに訪問し見解を述べたら、(彼らを)逮捕するわけですか?」と述べ、もし法案が成立した場合には、両国の政治・経済に多大なる亀裂を生じると警告したことがわかった。仏国民議会は、社会党が提出したこの法案を5月18日にとりあげる予定だ。


■1年以下の懲役、4万5千ユーロの罰金

アルメニア人大虐殺の否定を罪とみなし1年以下の懲役、4万5千ユーロ以下の罰金を科すとする5つの法案が仏国民議会に提出されたことをうけて、トルコは緊急に仏政府高官に警告を発した。ギュル外相は、ブルガリアのソフィアで行われたNATO会議の際にフィリップ・ドゥースト=ブラジー仏外相と会談し、次のように反発を言葉にしたことがわかった。
「この法案は、ヨーロッパ文明の基盤である『思想の自由』という原則にそぐわない。我が国の大統領、首相、政治家、学者がフランスを訪問し、この件で意見を求められた際に、考えを述べたとしたら、(彼らを)投獄するというのですか?こんな思想の自由があるものか。」
ギュル外相は、二国間には様々な分野で良好な関係が保持されていることに触れ、法案がアジェンダから削除されることを望むと述べた。もしこの期待が裏切られるようなことになれば、トルコはなんらかのアクションをとることになり、このことは両国関係に甚大な悪影響を与えるだろうと警告した。またギュル外相は、トルコ歴史協会のユスフ・ハラチオール会長、そして労働者党のドウ・ベリンチェキ党首に対してスイスの検察官が行った尋問にトルコ国民が抱いた反感と、トルコ・スイス間の政治・経済関係に与えた悪影響についても例として言及したことが明らかとなった。
ブラジー仏外相は、法案がフランス政府の見解を反映したものでないことを説明し、法案成立を阻止する努力をすると約束したことが分かった。


■ボイコットが議論に

アンカラは仏政府の本法案に対する姿勢を注視しており、仏政府の態度を加味して仏系企業が参加する大規模入札の決定を行う考えだ。また法案が成立した場合には、以前からフランスが大きな関心を示している原子力発電所建設の入札に、同国は招かれなくなる予定だ。
トルコは少し前にも、『大虐殺』に関する見解を示したカナダをプロジェクトに招かないという決定をしたばかりだ。フランスが期待はずれの決定をした場合、金融、防衛、自動車はじめ様々な分野でトルコ、またはトルコ系企業と実施している事業提携が途切れることは避けられない見込みだ。また、トルコ側の反発は経済分野のみならず、両国の政治関係にも悪影響を及ぼすと考えられている。トルコ政府は、法案が成立した場合には、仏国民議会が2001年に大虐殺を事実と認めたときと同様に、在パリのトルコ大使を本国召還させることもありうるとしている。


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( 翻訳者:堀ノ内 夏子 )
( 記事ID:2330 )