日本、アーザーデガーン油田開発を再び主張 ハムシャフリー紙
2006年05月28日付 Hamshahri 紙
2006年5月28日付け ハムシャフリー紙
【経済部】日本のINPEX(国際石油開発)の広報担当は、同社が引き続き、アーザーデガーン油田地帯の開発の契約を履行していくと発表した。
本紙の取材によると、アーザーデガーンの巨大油田の開発に向けたイランと同社との契約が破棄される可能性について報じたニュースに関し、INPEXの広報担当はロイター通信に対して、「INPEXはアーザーデガーンの油田開発事業の継続を望んでおり、10億ドル(約1130億円)のこの契約を請け負っていると認識している」と伝えた。しかしながらこう述べる一方で、当該地域の地雷が撤去されて初めてINPEXがアーザーデガーンでの業務を完遂できると強調し、「現在までに90パーセントの地雷の撤去が完了している」と付言した。
日本の安倍晋三内閣官房長官はこの件に関し、「アーザーデガーン油田の開発は日本のエネルギーの安定供給の観点から非常に重要なので、引き続きこのプロジェクトを推進したい」と記者団に述べた。
二階俊博経済産業大臣も、INPEXの計画実施の遅れによりアーザーデガーン油田開発の契約が破棄される恐れがあることについて、「油田地帯周辺の地雷撤去が完了していないため、INPEXの作業が遅れている」と述べた。さらに、「政府が36パーセントの株を保有するINPEXは、イランとのアーザーデガーン開発契約の詳細を機密扱いにすることになっている」と語った。
イラン石油公社の新理事は昨日、日本の通信社のインタビューに答え、アーザーデガーン油田開発計画の実施が遅れていることから、もしこの契約が履行されないようなら、油田をイランの企業をはじめとする、他の企業に譲渡することになると日本に対し忠告した。
このような忠告は初めてのものではなく、同契約に関する日本の遅々とした対応のため、同社の前理事らも再三にわたり同様の通達を出し、中国企業などの外国企業の他にイランの企業もアーザーデガーン油田の開発を進める用意があると強調していた。
長期にわたり日本の石油需要を満たすことが可能なアーザーデガーン油田に関する、イランと日本の契約は、政治的な契約であり、両国の首脳レベルで決定されたものであるとしても、当初からアメリカの制裁によって、この計画が進展しないことは予想できた。このため、その実効が未知数、かつその詳細も公表されなかったこの契約の署名から2年以上たった今も、双方が契約内容を引き合いに出して他方にその履行を促すという水掛け論が続いている。
明らかなことは、この契約への署名が経済的なものではなかったということ、そして、双方がこのことを知ったうえで、契約を準備し、署名していたということだ。
そのうえ、当初の予想埋蔵量で二十年にわたり日本の石油需要のおよそ30パーセントを供給することができるとされたこの利権を、日本に譲渡することになった根拠がなくならない限りは、その契約の破棄はないだろう。
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( 翻訳者:南 龍太 )
( 記事ID:2566 )