トルコ、イスラエルの国境画定案を不支持(Radikal紙)
2006年05月30日付 Radikal 紙

ハマスを言い訳にして二国家共存のための国境線を「一方的」に決定したイスラエルに対し、トルコは不支持を表明した。リブニ外相は新政府の政策を説明するためにトルコを訪れ、「永遠にハマスを待ってはいられない。」と述べた。一方アブドゥッラー・ギュル外相は、中東問題の解決方法はひとつしかなく、それはロードマップ(新中東和平案)と国連文書にもとづいて「話し合われた」ものであるべきと強調した。

イスラエルの外相は、30日(昨日)、アンカラでギュル外相はじめアフメト・ネジュデト・セゼル大統領、タイイプ・エルドアン首相、国家安全保障評議会(MGK)のイート・アルポガン事務局長と会談した。そのなかでとりあげられたテーマは以下のものである。

和平プロセス:リブニ外相は、ハマスがイスラエルの存在を認めないためパレスチナ側と交渉が進んでいないと述べ、ロードマップを一方的に画定するほか仕方がないと主張した。同外相は、この行為はパレスチナ政府の利益にはならないにしても、パレスチナの民のためになると主張した。ギュル外相は二国家共存へ踏み出す第一歩が交渉によって踏み出される必要があることを強調して次のように述べた。「国境画定は交渉を行い、相互に意見交換をしつつ話し合いのなかで決められるのが当然だ。その道しるべとなるものがロードマップと国連文書となる。」


■人道的支援は継続

パレスチナへの援助:ギュル外相は、パレスチナ国民の孤立は状況を悪くするだけだと発言し、人道支援はじめパレスチナへの援助をトルコが継続していくことを明らかにした。ギュル外相は、イスラエルがパレスチナから徴収した税金を返却することと、銀行送金を許可することを求めた。これに対してリブニ外相の回答は否定的なものだった。


■核問題へは回答せず

ハマスとアッバース議長:ハマスとパレスチナ自治政府のアッバース議長との対立がパレスチナ国民にもっとも害を与えているとギュル外相が述べたことが分かった。リブニ外相は、ハマスが「テロ組織」であるという認識は変わっていないと述べた。しかしイスラエル自身もパレスチナ国民がこれ以上苦しまないようにいくつかの予防策を講じていると発言した。会談では、先日のハマス一行によるトルコ訪問は話題にならなかった。

イラン:リブニ外相は、イランが数年以内に核兵器製造に成功し、中東地域全体にとっての脅威となるだろうと主張した。また同相はイランのマフムード・アフマディネジャード大統領のイスラエルに対する発言に注意を引いた。しかし「イスラエルも核兵器についてのどの国際条約にも合意していませんね。調印を考えているのですか。」というある新聞記者の質問に対しては回答しなかった。ギュル外相はイスラエルを含む地域全体に大量破壊兵器を保有してほしくないと発言した。

50億ドルを目標に:ギュル外相は、2年で25億ドルに膨れあがった貿易実績を二倍にすることで合意したと発表した。両大臣は、エネルギー分野での協力で合意に至ったことを明らかにし、イスラエルへと敷設されるパイプラインについては、欧州投資銀行が行っている実現可能性の評価がまたれていると述べた。


■カーシェールでなくベジタリアン

・アブドゥッラー・ギュル外相は、ベジタリアンであるイスラエルの同僚、リブニ外相のために、昼食に「肉」を出さずにもてなした。献立はパプリカ・スープ、オリーブオイルを使った冷菜、野菜のクレープ、デザート、そしてトルココーヒーだった。外務省はこの献立をユダヤ人の「カーシェール」に配慮したものと説明した。
・イスラエルの一行は、トルコ側が用意した通訳者を信頼できないとし、自ら通訳者を同行させた。しかし通訳者は全神経を通訳に集中させられていなかった。例えば、ギュル外相のトルコ語をイスラエルのマスコミに再びトルコ語で訳し始めた。
・リブニ外相は、全イスラエル国民を代表してアタテュルク廟を訪問したと述べ、次のように発言した。「アタテュルクは、トルコだけの指導者ではない、自由と民主主義を信じる全ての国民の指導者だ。」

※カーシェール・・・ユダヤ教の食事規定のこと。


Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:新井 仁美 )
( 記事ID:2569 )