円卓会議でEU拡大が議論 -最近の拡張路線に疲労感か(Radikal紙)
2006年05月04日付 Radikal 紙
EU拡大について議論された「円卓会議」の最終段階で、EUが拡大路線に疲労感を持っているという見解が現れた;EUは最近の拡大をまだ解決していない、トルコのEU加盟交渉は簡単ではない、なぜならこの件に関しては(EU各国の)指導者ではなくトルコのEU加盟を支持していない世論が決定を下すからだ、などの見解も表明された。
本紙とEDAM(教育相談・研究センター)が共同で行った「イスタンブル円卓会議」の第5期で、EUの拡大路線と世論がそれをどう見ているかについて話し合われた。討論では、EUは2004年に行った拡大をまだ解決することができず、政治家も国民もこの件に対する疲労感を払拭できていない、トルコの加盟交渉は簡単にはいかないだろう、との見方が示された。ヨーロッパでイスラームフォビア(イスラーム恐怖症)が増加してきたことを明らかにした参加者は、トルコはイメージを変える努力を続ける必要がある点で一致した。会議で発言のあった見解は次の通りである。
・ユーロバロメータ(EU主催の世論調査)によると、EU国民の49%が拡大に賛成、35%が反対だった。この数字は加盟国によっても違いが見られる。例えばオーストリアでは29%、フランスでは31%、ドイツでは36%、イギリスで43%が拡大を支持している。新加盟国でも大部分が拡大に賛成している。最も拡大を支持しているのはギリシャで74%だった。
・この数字によるとヨーロッパの“客好き”の習性は扉を誰が叩くかによって違ってくる。ヨーロッパ人に「スイスとノルウェーの加盟は?」と質問したところ、77%が賛成した。しかし低所得国に関しては答えが変わる。クロアチアの加盟に賛成するのは47%、ウクライナは42%、トルコとアルバニアに関してはもっと低い。これに対しトルコでも国民のEU加盟支持率が低下していることが興味深い。
■拡大路線が国民に説明されていない
・この懐疑主義に対しては正しく見なければならない。EU国民は低所得国やイスラム諸国を望んでいない。「ビッグバン」と名付けられた10カ国がEUに加盟することで社会経済における不安が生じた。だがこの拡大は同時に、オーストリアのような国が近隣国に対し重要な投資をするチャンスを生んだ。しかし、これらのメッセージは国民に届かなかった。
・EU国民は、大きな失望の渦中にいる。大変重要な計画が失敗に終わったからだ。EU各国の首相や外務大臣はブリュッセルで月に1度会議を行っている。自国に戻ると過ちをすべてEUのせいにしようとしている。
・EUはどうなるのだろうか?ヨーロッパ統一政府になるのだろうか?各国民の集団になるのだろうか?ヨーロッパの将来に関して何らかの決定は下されていないし、(EUの)存続危機はなくなっていない。EUが今後より積極的な解決法を示す必要がある。
■拡大路線に疲れた、ひと休みしよう
・ヨーロッパは拡大路線に疲労感を見せている。しかしこの唯一の解決方法は改革を続けていくことだ。フランスが行ったトルコと他国のEU加盟に関する国民投票の結果は、拡大路線の疲労感を取り除こうと努力している時に犯された決定的な過ちだ。これらの国々が進めている改革を後戻りさせてはならないし、政治の近代化は軽視されてはいけない。
・トルコに対するヨーロッパ世論の支持が少ないことを示した調査以外にも調査報告はある。例えば1999年~2002年に行われた「世界とヨーロッパの評価調査」である。この調査によると、トルコはその自由な民主主義の観点から、民主主義的な価値観への愛着性がヨーロッパのそれに類似している。また、トルコは少数派に与えた権利の観点からするとヨーロッパより少し遅れているが、宗教的価値に対して重要視する姿勢は(ヨーロッパより)少し上をいっている。つまりこの調査はヨーロッパの支持を気にかけるトルコが、価値という観点から(ヨーロッパと)似た状況であることを表している。
・我々は、組織された偽善モデルに直面しているのだろうか?「社会の支持が少ない」という表現に縛られてはいけない。EUはこの偽善をやめ、トルコも改革の努力を続けるべきである。
■無知に関する認識
・我々はお互いについて少ししか知らない。認識も無知の上に成り立っている。トルコでは変化があり、これはヨーロッパにとって有益なものだ。しかし、トルコではEUに対する強力な抵抗も拡大している。これに対してヨーロッパでは変化が無い。そろそろヨーロッパを変えなければならない。トルコとEUの関係に害を与えることを避けなければならない。我々の関係の基本は害を与えることではなく健全な結びつきを確立することだ。
・ヨーロッパでこの変化を起こすのなら、我々自身の善意で行う。トルコのためではない。しかし間違った理解とはすべて情報不足から起こるものだと考えている。特に政治家達のご都合主義に対し反対だ。ブリュッセルで決定を下しておきながら本国に戻ると「これはまったく馬鹿げている。」と言うように・・・
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( 翻訳者:住永千裕 )
( 記事ID:2351 )