フランスで歴史学者が反発 -アルメニア人大虐殺否定に罰則の法案めぐって(Milliyet紙)
2006年05月08日付 Milliyet 紙
フランスを代表する歴史学者19人は、アルメニア人大虐殺説を否定することを犯罪とみなす法案に対し、共同声明で強い反対の意を示し、法案を「恥ずべきもの」として批判した。
フランス社会党の働きかけにより、アルメニア人大虐殺説を否定することに対し禁固または罰金刑を課す法案が5月18日に国会で審議の上票決される見込み。この法案に対しフランスを代表する歴史学者達は極めて強い反対姿勢を示した。彼らは法案を「恥ずべきもの」と批判し、発表した声明の中で「思想の自由を妨げるもの」であるとの見解を示した。
■各政党とも「新しい法律などない」と言っていた
歴史学者たちは昨年12月、アルメニア人大虐殺の存在を法的に認める法律を含む「歴史に関する4つの法律」の撤廃を求めて全ての政党を訪問し、これら4つの法が新しい法律により強化されないとの確約を各党から取り付けていたことを強調した。歴史学者たちは、新しい法案を「恥ずべきもの」と考えていることを明らかにした。
法案が可決された場合、言論の自由がより制限され、特に、教員は“人質”の状態に置かれると話す歴史学者たちは、このような法案が議会を通過することは「民主主義を見下す」行為だとも述べた。
■左派寄りの歴史家
共同声明に名を連ねる歴史学者の中には、Elisabeth Badinter、Marc Ferro、Jacques Julliard、Pierre Nora、Mona Ozouf、 Jean-Pierre Vernant、Pierre Vidal-Naquetといった、フランス社会でよく知られ、発言力のある人々が含まれている。これらの歴史学者は皆左派寄りの知識人として知られているが、1915年の事件はアルメニア人大虐殺ではなかったとする主張を犯罪とみなす法案が(同じく左派の)野党である社会党から提出されたことから、(法案に反対する)彼らの声明は一層大きな賛同を得た。
社会党の法案では、アルメニア人大虐殺説を否定することに対し、1年未満の懲役か45000ユーロ以下の罰金が科されることになっている。
■大虐殺問題で土・カナダ間に緊張
カナダのステファン・ハーパー首相が、議会で可決された「アルメニア人大虐殺」を認める決議を支持し、歴史事実として認定を続けると述べたことは、トルコ政府の反発を招いた。アイデミル・エルマン在カナダ大使はハーパー首相の表明に対しどのように対応するかを協議するためアンカラに呼び戻された。
在カナダ大使館のヨネイ・テゼル参事は、カナダのメディアに語ったところによると、エルマン大使の召還を否定し、「協議」のためにアンカラに呼ばれたと説明した。テゼル参事は、この問題はトルコにとって「重大」であると述べ、「(カナダ議会と首相による)アルメニア人大虐殺説の主張は、我々のアイデンティティーと歴史に真っ向からの攻撃である。我々はこうした主張は不当であると考えている」と述べた。
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( 翻訳者:堀ノ内 夏子 )
( 記事ID:2391 )