レバノンにおける人身売買対策 米国務省報告で一定の評価(アル・ナハール紙)
2006年06月06日付 Al-Nahar 紙
■ 米国務省報告書「レバノンは人身売買対策のため重要な努力をした」
2006年06月06日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【ワシントン:アル=ナハール紙】
アメリカ国務省が発表した世界の「人身売買」に関する年次報告書で、レバノン政府は昨年、人身売買対策や強制売春、使用人への虐待、児童就労を含む人権侵害を阻止するために「重要な努力」をしたと記載されている。しかし同報告書はレバノンが「人身売買廃絶につながる最低限の基準」を完全には満たしていないことを今一度強調している。そのためアメリカ国務省はレバノンを第2のランク、つまりコンドリーザ・ライス国務長官が「悪の商売」と表現したこの醜悪な行為に対して、具体的に法律上の対策を講じている第1のランクを占める国々に次ぐレベルに位置づけた。第3のランクは、人身売買対策のために何の努力も行っていない国々であり、シリアやスーダン、サウジアラビア王国などアラブ諸国数ヶ国が含まれている。
報告書の指摘によればレバノン政府は2005年、身体的虐待を含む労働者の人権侵害を理由としてレバノンの人材派遣事務所10ヶ所を閉鎖した。また報告書は、レバノン政府が強制労働や女性に対する性的な搾取の責任者への追及を十分に行っていないことや、レバノンには人身売買対策のための特定の法律がないことも指摘している。
また報告書はレバノン政府が昨年、人身売買被害者の保護環境を改善するために講じた措置についても触れている。そのなかには医療や精神面ないし法律上のサービスを提供する人身売買被害者の避難所を運営するために地元の非政府組織と相互理解のための覚書に調印したことも含まれる。また法務省と外国人労働者問題を担当する公安総局は国際移住機関との共催により、職員32名に対して人身売買対策と予防のための最善の方法を訓練するため、2週間の研修を実施した。同報告書はレバノン政府がスリランカの労働省との間でレバノン渡航前の使用人のための研修センター設立に関する覚書に調印するなど「わずかな進歩」を遂げたとしている。またレバノン政府は、レバノンの法律上での労働者の権利に関するパンフレットや著作物を配布した。しかし非政府組織の一部では、これらの刊行物が効果的には配布されなかったと見ている。報告書はレバノンに対して、国際移住機関との協力のもとに治安機関職員を対象として人身売買への対応のための研修活動をより広く実施してゆくよう勧告している。
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( 翻訳者:玉井葉子 )
( 記事ID:2685 )