衛星アンテナ緊急法案、否決 シャルグ紙
2006年06月15日付 Sharq 紙

2006年6月15日付シャルグ紙2面

【政治部】国会議員らは、「衛星中継放送受信装置の利用の管理に関する第一級緊急法案」を否決した。

 昨日の国会公開本会議に提出された同第一種緊急法案は、賛成議員、反対議員双方が発言をした後、投票に移されたが、国会議員の過半数の反対により、緊急法案としては否決され、その結果同法案は通常審議のために、関係委員会へと差し戻された。

 テヘラン選出で、同法案の提出者であったサイード・アブーターレブ議員は、「この法案は衛星放送受信装置の自由化を意味するものでもなければ、これまでのようにその禁止を意味するものでもない。そうではなく、この法案は衛星放送受信装置の管理された利用を意図している」と述べた。

 同議員はさらに「今日、全世界で〔衛星放送に対する〕フィルタリングが行われている。われわれもまた、フィルタリングが必要であると考えている。もちろん、われわれにとってのレッド・ゾーンは、他国のレッド・ゾーンと同じではない」と述べた。

 その上でアブーターレブ議員は、次のように述べた「ともあれ、1373年〔西暦1994年〕に成立した現行法を、いつか越える必要性に迫られることは明らかだ。もしこの法律がその時代には有効であったとしても、現実から目を背けるならば、法律違反が日常茶飯事のように黙認され、治安維持軍の目前ですら法律違反が堂々と行われてしまうことになる」。

 同議員はさらに「衛星受信装置が必要なのは明らかだ。世界という舞台において、ただ受動的に影響に晒されるといったあり方から脱し、われわれ自身が影響を与える主体となる必要がある」と強調した。

 国会の文化委員会に属する同議員は、この法案はすでに出来上がったものであり、国会調査室にて十分な検討を経ていると述べ、同第一級緊急法案に賛成票を投ずるよう、議員らに訴えた。

 しかし、ラーヒージャーン選出で、国会の経済委員会に属するイーラジ・ナディーミー議員は第一種緊急法案であることに異を唱え、次のように述べた。「この法案は、委員会をまたいだ形で検討されるべきだ。文化的な問題に関しては、他のさまざまな委員会の意見も聴く必要がある。文化的問題は自らの独占的領域であって、他の委員会は文化にかかわる見方や議論に対して口出しすることはできない、などと文化委員会は考えるべきではない」。

 〔中略〕

 ナディーミー議員の次は、エマード・アフルーグ文化委員会委員長の出番となった。同議員は同第一種緊急法案に賛意を示した上で、次のように述べた。「かつて〔衛星受信装置に関して〕可決された法は、もっぱら《否定》を旨としたものであった。これまでの文化関連の全法律と同様、まったく〔社会の必要性に〕応えてこなかった。現実的でないような法律は、法律といえるのだろうか」。

 アフルーグ議員はさらに〔衛星受信装置の普及が〕今日普遍的な現象であるとしても、それを〔無条件に〕受けれて良いということではないと明言した上で、「もし今日この法案が可決されるならば、われわれは規律を乱す行為に対してきちんと管理された方法で対処することが可能となる」と付け加えた。

 〔中略〕

 同議員はまた、イラン国営放送に批判の矛先を向け、「イラン国営放送には、より積極的に行動していただくことを期待している」と述べた上で、衛星によって放送されている一部の番組の内容を擁護して、次のように主張した。「衛星を通じて放送されている科学番組や教育番組、スポーツ番組、文化・宗教関連の番組の多くは、イラン国営放送が制作している番組なんかよりも、ずっと質が高い」。国会の文化委員長はその上で、「イラン国営放送には競争相手がいない。そのため、資金は潤沢だが、一部非常に質の低い番組を提供している」。

 なお、「衛星中継放送受信装置の利用の管理に関する法案」の第一条では、法律による特定がある場合を除き、衛星中継放送の受信装置を生産、輸入、流通、利用を禁ずる内容となっている。

 〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2742 )