文化省大臣、盗難事件に関連して、博物館側の否を認める発言(Milliyet紙)
2006年06月01日付 Milliyet 紙

 ウシャク考古学博物館所蔵の「クロイソス王の財宝」のうち最も重要な美術品「有翼獣のブローチ」の盗難事件は、トルコ国内の博物館のセキュリティーの欠陥を明るみに出した。チャナッカレで開催中の国際考古学シンポジウムに参加しているアティッラ・コチ文化観光省大臣は、クロイソス王の財宝盗難を世間に知らしめた本紙のオメル・エルビル記者に対し、博物館における革命的ともいえる改革と直面している問題について説明した。


■最近の盗難事件で明らかなように、博物館警備は主要な問題です。この件についてどんな対策をしていますか?

大臣:2005年、2006年に95箇所の博物館のうち71箇所に特別警備と清掃サービスを導入しました。こういうものは今までまったくなかったのです。23箇所では警備システムを刷新しているところです。4箇所には新たに警備システムを導入しました。あなたが報道されたウシャクの博物館にも私は警備システムを導入させました。しかしそれにも関わらず盗難が起きたのです。今年末までに95箇所のうち81箇所で警備システム導入が完了する予定です。また閉鎖されていた31箇所の博物館のうち25箇所を再開させました。


■博物館で全般的な査察を開始する予定とおっしゃっていましたね。

大臣:すでに始まっています。今、我々がいるチャナッカレ博物館ではまさに査察の最中です。私は査察というパフォーマンスで人々を惑わすようなことはしたくないと思っています。実際、知能犯は査察にひっかかるようなことはしません。しかしそうであっても政府の存在を感じさせるために我々は査察をするのです。博物館の目録がまったく作成されなければ何を基準に査察をしてよいかわからなくなります。もし美術品がひとつしかなく、それを誰かが取って持っていってしまえば、証明するすべはなくなります。


■基本的な問題のひとつが目録作成ですね。

大臣:長年実施されてこなかった目録作成が開始されました。今年は、32箇所の博物館の目録が作成される予定です。しかしいいですか、目録作成をするとしますよね。これを作成する際、我々は本当にひどい状況に直面するものですから、とても悲観的になります。法的にも対処できない状態に陥るのです。例えばですね、ある美術品が40年前に博物館にもってこられたとします。しかしこれが本物か偽物か、どうやって知れというのですか。目録がないのです。どうやって比較しろというのです。


■このような状況に対して、何をしていくつもりですか。

大臣:全てをデジタル化する予定です。ひとつひとつにナンバリングを行い、写真撮影をし、寸法を記録していきます。こうすれば簡単に見つかるようになるでしょう。このような作業の実施は、わが国の博物館史において革命的なことだと思います。


■長年、博物館には新規採用枠が設けられていませんね。

大臣:根本的な問題はここにあるのです。私は700人以上の人員不足をかかえています。回転資金運用センター局(DÖSİM)の仲介で博物館に86人の考古学者を採用しました。このようなことはトルコでは初めてのことです。しかし更に付け加えておきましょう。これらの人々を私は最低賃金で働かせているのです。このことをとても恥ずかしく思っています。苦悩はひとつではなく、多種多様です。


■大蔵省が採用の障壁になったのですか。

大臣:これはトルコ全般にあることです。やっと重要性を自覚してきた問題もありますので、新たに乗り越えようと努力しています。我々を憂鬱にさせる状況もありますし、我々内部の職員にも問題があります。膿は我々の省内にあるのです。


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( 翻訳者:住永 千裕 )
( 記事ID:2588 )