2006年6月24日付ハムシャフリー紙
【経済部】ここ数ヶ月、住宅市場に新たな変化が起こりつつある。多くの住宅問題の専門家らは、依然としてこの経済分野は停滞気味であるとの見方をとっているが、しかし住宅価格の上昇が顕著になりつつあるとの現実も強調している。
一部の報告によると、テヘランの住宅価格は平均で2〜3割上昇しているとのことである。住宅問題の専門家らは、このことについてさまざまな原因を指摘している。年10〜15%の間で推移すると予測されている慢性的なインフレや、この数字がもっと上昇するのではないかとの心理的要因などが主な原因だが、その他にも供給が逼迫する中で需要増の傾向が見られること、政府が進める集合住宅化計画の進捗が思わしくないことなどの要因も考えられている。
後者の二つの要因は、国の住宅価格の上昇をつねに引き起こす原因となっているが、しかし住宅関連資材市場における価格変動も、無視できない要因となっている。鉄やセメント価格は100%の上昇を見せており、それが住宅価格にはっきりとした影響を与えているからだ。
メフディー・モアッゼン建築技術専門家協会会長は、2〜3割の住宅価格の上昇〔は〕建物付土地代に直接的な影響を与える建築コストの上昇〔によるものだ〕と指摘した上で、「現在、セメントや鉄鋼市場は現実を反映していない。というのも、世界の鉄鋼市場価格が上昇していることは確かだが、建設業界が活況であるわけではなく、この分野での〔鉄鋼供給の〕不足感が〔鉄鋼の〕価格を2倍に押し上げているからである」と語る。同会長によると、このような市場の誤った状況は、セメントや鉄鋼の生産需給を正しく調整し、国がそれらをきちんと輸入することで、容易に解消できるという。
▼資材が与える影響は45%
これに対して、建設会社協会会長は、別の見方を示している。バハーウッディーン・アダブ会長は、「建築資材が住宅建築コストに占める割合は45%にすぎない。それゆえ、セメントや鋼鉄の輸入を関税を0%にして自由化したとしても、住宅価格には影響しないだろう」と語る。同会長はまた、「建築資材の価格が減少しても、イランの住宅価格の下落を結果しない。なぜなら、現在住宅市場における需給のバランスが取れておらず、富裕層だけが住宅を購入することができる状況だからだ」との考えを示した。
▼地価の上昇という要因も
他方、住宅包括計画の実行責任者は、このことについて「もし地価が上昇すれば、住宅価格もまた上昇する」と述べる。
ミーヌー・ラフィーイー氏は、年間新たに100万戸の住宅供給が必要であり、それだけの需要が住宅にはあるとした上で、どのような政府も住宅価格の統制をすることは不可能だと述べる。というのも、いかなる統制も、さまざまな形態の不労所得を生む原因となるからである。同氏はまた、次のように強調している。「政府は住宅価格に介入して統制するのではなく、住宅の供給を増やし需要を満たすことで、住宅価格を統制し、市場にバランスをもたらすことが可能になる」。
しかし、住宅価格の相対的上昇にもかかわらず、住宅市場の不況は国の経済を依然として悩ましている。他方、多くの国民は家を購入するのに必要な現金を有していない。住宅の供給不足のために、住宅価格は上昇に転じようとしている。価格の上昇と住宅市場における需給のバランスを欠如に、どのようにしたら終止符を打つことができるだろうか?
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2807 )