「マルマライ・プロジェクト」工事の震動で住民緊急避難(Milliyet紙)
2006年06月28日付 Milliyet 紙
イスタンブルのハルカルからゲブゼを繋ぐマルマライ・プロジェクトの一環で、ウスキュダル・セルマナア地区で行われている転轍機トンネルの施工が、アパート2棟の倒壊の危険を招いた。地域の住民は騒然となり、100人を越えるアパートの住民は昨夜、慌てて避難した。ウスキュダル郡長サイム・サフェット・カラヒサルルは、トンネル工事のために当地区で施工会社責任者らにより長いこと測量が行われていることを述べた。カラヒサルル郡長は「倒壊の恐れはないが、これから倒壊しないともいえない。同じ危険がウスキュダル商業高等学校にもある」と語った。
■高校の寮で夜を明かす
ウスキュダル商業高等学校のそばでトンネルの施工をしていた日本の大成建設の責任者が、前日ウスキュダル郡長に面会し、2棟の建物の倒壊の危険性があることを明かして住民の避難を求めた。報告書を分析したカラヒサルル郡長は、2棟の建物を直ちに空にするよう通達した。
警察の監視のもとセルダルアパートとオルキデアパートへ向かったウスキュダル市当局チームは、アパートの住民に24時までに立ち退くことを要求した。44室から合計114人が貴重品を持って家から出た。退去させられた大部分の人は、郡から割り当てられたヴァリデバー保健高等学校の寮で夜を過ごした。カラヒサルル郡長は、アパート住民の安全のため予防策としてこうした決定を下さざるをえなかったと述べ、「14家族から35人に、ヴァリデバー保健高等学校の寮に移ってもらった。現在、避難住民の健康に留意し、食糧の必要性に対応している。住民が被った被害のために必ず法廷手段に出る」と語った。
■「他の地域でもありうる」
カラヒサルル郡長は、トンネル工事が原因で他の地域でもこうした危険が起こりうることと、施工会社により継続して測量が行われていることを指摘し、次のように述べた。「ウスキュダル商業高等学校にも同じような危険はある。新学期が始まるまでに施工会社によって手が打たれなければ、学校使用の許可を出せない」。
アパート住民はこの問題を告訴する準備をしている。ベキル・アクダーさんは「アパートにひびがずいぶん前から入っていました。しかるべきところに申請しましたが、昨晩ドアの前に来てすぐに家から出ろと言うのです。こうした危険があるならなぜもっと早く知らせてくれなかったのでしょう」と語った。
トゥーバ・カラさんと娘のメリハ・カラさんは以前にも市役所の職員が来てアパートを退去させられたことがあると述べ、「彼らは記者が来ると中へ入ってもよいと言いました。アパートのひびに関して専門家の調査を要求したのですが、誰も来ませんでした。昨日の夜中に急いで家から出ていくように、そうしなければ警察が強制的に退去させることになると言ったので、私たちは出ました」と語った。
■「修復の可能性はない」
詳細な情報を出すことを避けた日本の大成建設の責任者は、「住民の健康のためあらゆる努力をしています。誰一人不当な扱いを受けることはありません」と語った。ウスキュダル市長のメフメト・チャクルは、市役所の職員がウナラン地区のシムゲ住宅地域に赴きアパートの所有者と話し合いを進めていること、希望者がいれば避難先の問題が解決するまでそこに留まれると述べた。チャクル市長は「例の2棟のアパートを修復補強する可能性はない」と語った。
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http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News2006616_2737.html
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( 翻訳者:塚田真裕 )
( 記事ID:2844 )