ザルカーウィー殺害後もヨルダン在留イラク人の多くは帰国を望まず(サバーフ・ジャディード紙)
2006年06月21日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ ザルカーウィー殺害後もヨルダン在留イラク人の多くは帰国を望まず
2006年06月21日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【アンマン:本紙記者】
「イラク・アル=カーイダ機構」のリーダーであるアブー・ムスアブ・アル=ザルカーウィーの殺害は、イラク国内のイラク人のみならず、イラク国外で暮らすイラク人にとっても、その多くがイラクでザルカーウィーの実行したテロによって安全と安定を求めて国外へ避難することになっただけに、反響が生まれている。ヨルダンにも多くのイラク人が集まってきており、彼らは滞在許可を得ることの困難さや家賃の高さ、最近の爆弾事件によって強化された治安体制など数々の困難に直面しているにもかかわらず、様々な分野で投資や就業の機会を見出している。今月8日にザルカーウィー殺害が発表された後、ヨルダン在留イラク人には、ヨルダンに残るか祖国に帰るかを巡って様々な見解が生まれている。
ヨルダン在留のバッシャール・マッキーは、ザルカーウィー殺害がイラクの治安改善への新たな一歩ではあるが、まだ完全ではないとみており、「良い仕事を得ることができたし、今のところはアンマンに残る方が良い。治安状況がもっと良くなるまで待つ」と語った。
旅行会社社員ディヤー・ムハンマドは、ザルカーウィーが殺害されても、テロの舞台となってしまったイラクへ帰る理由にはならないと同様の見解を持ち、「イラクに帰りたいとは思うが、アンマンで生活する方が安定しているので帰れない」と語った。
■ 知識階層の殺害
29歳のイラク人女性シャザー・ムハンマドは、次のように語った。
「私たちはザルカーウィー殺害を大変喜んでいるし、イラクに治安が戻るよう望んでいるが、私は状況が以前のとおりに戻るとは思わない。テロはザルカーウィー1人の個人的なものではなく、暴力行為や殺人を行うテロ組織やグループがたくさんあり、特に知識階層が殺されている。」
「私の夫は医師なので、彼がイラクへ帰るのは心配。だから私は状況が安定するまでアンマンに残る方がいいと思う。」
一方、レストラン従業員ワースィク・ハサンは、ヨルダンで多くの難題に苦しんでおり、イラクへ戻る方がよいと考えている。彼は、「ザルカーウィー殺害は帰国の大きな理由になる。イラクは比較的安全な状態になると思っているから」と語った。
■ 喜びと微笑み
外国に暮らすイラク人たちがザルカーウィー殺害のニュースを聞いた時の反応については、彼らは喜びを表した。27歳のアフマド・アリーはこう語っている。
「大人も子どもも区別しないこのテロリストにイラク人は大変苦しめられてきたので、ザルカーウィー殺害は、イラク人がより良い未来へ向かって前進するための重要な一歩だ。したがってイラクはこれから新しい時代を迎えると思うが、今しばらく時間が必要だとも思う。しかしザルカーウィー殺害によって、イラクは安定に向かうことになるだろう。」
アンマン在住のイラク人女性アマール・ジャースィムは、次のように語った。
「私は今イラクで暮らしていないけれど、ザルカーウィー殺害のニュースを聞いたときの気持ちは言葉では表せない。なぜならイラク人はたとえ祖国を離れていても、イラクを想う気持ちを持ち続けるものだから。」
「私は家族の一部がバグダードに住んでいるけれど、イラク人全員がひとつの家族。だから私は言い表しようがないほど嬉しい。」
ヨルダン市民バハー・タフブーブは、次のように語った。
「我々はイラクで起きていることをヨルダンで起きていることのようにみている。イラク人は我々の同胞であり血を分けた兄弟だから。彼らが晒されているテロ行為は、アンマンに避難してきている多くのイラク人を通じてヨルダンにも影響を及ぼしていて、物価も全体的に上がった。だけど我々は、この危機を乗り越えるうえで兄弟であるイラク人と一緒なんだ。多くの罪の無い人々の血が流されてきたこの危機が、ザルカーウィーの最期とともに終わってくれることを望んでいる。」
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:2861 )