南キプロス、北キプロスのレバノン避難者受け入れを妨害か(Hurriyet紙)
2006年07月24日付 Hurriyet 紙
レバノンからキプロス共和国(南キプロス)への避難ラッシュのため、世界に財政支援の呼び掛けを行っている南キプロス政府が、外国人の北キプロス・トルコ共和国(北キプロス)への受け入れを妨害していることが明らかになった。イギリスは北キプロスの港も避難に利用することを提案した。しかし南キプロスは「北キプロスの領土を使う国は、我々の領土で行われている避難に支障をもたらす」というメッセージを出した。
レバノンで(軍隊に)包囲された何万人もの外国人の避難に際して、思いもかけない愚行が起こっている。港を開放して(国際社会の)共感を集めた南キプロスのリーダー、タソス・パパドプロスは「島はいっぱいで溢れ出した、支援をお願いしたい」とEUと世界に呼び掛けを行う一方で、北キプロスの港が人道的作戦のために使われることには脅しを加えて妨害した。北キプロス高官は、危機発生の当初から港とホテルを開放し、難民を受け入れられることを宣言していた。何千人もの難民が数日にもわたってガーズィマゴサ港に寄港し、医療支援を受け、その後メルスィンに出発している。
■南キプロスは罪を犯している
イスラエルがレバノンを爆撃したことで始まった危機は、レバノンに自国民のいる国々を(避難)活動に立ち上がらせた。外国人の最初の避難場所は南キプロスとなった。危機の深刻さに最初に気付いた国であるイギリスは、北キプロスの港と施設も難民の避難に用いられるよう提案した。しかし南キプロス政府は外国の大使館に対して強い反発を示し、間接的な表現で「北キプロスの領土を利用しようとしている国があれば、我々の領土で行われる避難活動に支障をきたす」というメッセージを伝えた。何万人もの人が支援を待っているときに、どの国も南キプロス政府との間に問題を起こそうとはせず、北キプロスの港と施設は利用されないままになった。
南キプロスのリーダー、タソス・パパドプロスは、2万人以上の外国人が一度に南キプロスに流入することを受けて、前日にEUと世界に向けて財政支援を呼びかけた。ヨルゴ・リリカス外相も、難民化した何万人もの人々を長期間島で滞在させることはできないと述べた。EUはすぐに南キプロスへの財政支援を決めた。
■北キプロスの寮やホテルは準備万端
難民の次の避難場所は、メルスィンとアダナとなった。アメリカ、カナダそしてオーストラリアをはじめとして、多くの国々がメルスィンを出発した船でベイルートからの避難の実施を試みた。オーストラリアとカナダは北キプロスの船のレンタルもした。ただ、南キプロスを怒らせないために、北キプロスの船をメルスィン-ベイルート間に限って運航するという条件をつけた。レバノンから逃れる人々を乗せる船は、メルスィン港からまずガーズィマゴサ港に寄って燃料を補給した後、ベイルートに向かい、難民を再度ガーズィマゴサ経由でメルスィンに運んでいる。ガーズィマゴサ港で北キプロスの市民警護援助部隊が、寄港した難民船に対し医療と人道的支援を提供している。北キプロスのフェルディ・サビット・ソイェル首相は、危機発生の日以来、北キプロスのホテルと港が開いていることを宣言していた。夏休みに入ったため、北キプロスの学生寮も難民に開放された。ソイェル首相は人道的支援を必要とする状況であることから、政治的妨害をしないよう警告するとともに、エルジャン空港との間でより早く移送ができる「避難の橋」が築かれるよう呼び掛けを行った。
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( 翻訳者:山本裕一 )
( 記事ID:3075 )