アレヴィー学生の必修宗教科目問題、欧州人権裁判所で10月に初公判(Milliyet紙)
2006年07月06日付 Milliyet 紙

欧州人権裁判所は、アレヴィー派の家族から出されていた宗教科目の履修義務の撤廃に関する申し立てについて審議を行うことを決定した。この提訴に関する公判は今年10月3日に行われる予定。

欧州人権裁判所第2部は、今年6月6日に示した「許容性あり」との判断の理由として、双方の主張(の対立)が大変深刻であることから、現段階で判決を出すことが問題の解決には結びつかないであろうという見通しを示し、「(裁判上の)重要事実に関する調査が必須である」という結論に達した。アレヴィー派が単なる信仰グループではなく、同時に哲学的根拠に基づく1つの世界観であることを示す決定には、原告側の「アレヴィー派教徒はシャリーアを拒絶すること、スンナ派とは礼拝方法が違うこと、モスクへは行かず、宗教儀式をジェムエヴィで行うこと、および学校で教えられる宗教文化・道徳の教科書ではアレヴィー派が否定されている」といった意見も盛り込まれた。

■重要な結果となるだろう

憲法学者のイブラヒム・カボール教授は、決定について次のように論評した:
「今回の決定は最終判断ではない。しかし、この理由の付された判断はスンナ派イスラムについて特に政府がどのような態度を取るべきかの指針を示すという観点からも重要である。裁判所がトルコは欧州人権条約を履行していないとの結論を下せば、トルコでは憲法の関連条文の改正や教育システム、またアレヴィー派の社会的地位についての議論に道が開かれるだろう」。

カボール教授は、重要事実に関する判断(実体審理)が、今年10月3日に双方からの聴聞を行い主張を評価した上で下されるだろうと述べ、理由の付された今回の決定が実体審理において「影響力を持つ」可能性があると述べ、次のように話した:
「裁判所は許容性を認める理由を書き記すときに、スンナ派イスラムに依拠した教育を問題視する原告の主張を文書に盛り込み、彼らの主張を重視していることを明確に示した。これは次のような意味をもつ。つまり判断文の中に『国は公立学校では1つの宗教だけを教えることはできない、これは国家の中立性の原則に反する』という見解を盛り込むことにより、重要事実に関する判断において(裁判所がとる)姿勢の布石を打ったことになる。今回の判断は、トルコに送られた第二次世俗主義時代への移行のシグナルである。政府の公的機関は、さまざまな宗教や信仰が併存している事実を公に想定せざるを得なくなるかもしれない」。

カボール教授は、授業が欧州人権条約に違反しているとの判断が示されることにより、必修宗教授業を規定するトルコ憲法第24条も同条約違反であると見なされることになるだろうと述べた。


※欧州人権裁判所の裁判手続については在ストラスブール日本総領事館のHPを参照(日本語):
http://www.strasbourg.fr.emb-japan.go.jp/jp/europe/PresentPE_TDH01.html

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( 翻訳者:松本沙知 )
( 記事ID:2916 )