アフガニスタンの悲劇を忘れないで -カルザイ大統領から世界へメッセージ(Milliyet紙)
2006年08月01日付 Milliyet 紙

アフガニスタンのハーミド・カルザイ大統領は、世界が9・11の攻撃を忘れ注意をアフガニスタンからそらすなら、再び大きな苦痛を味わうことになるだろう、と話した。「テロとの闘争において概ね勝利を収めたが、細部では勝利できなかった」と述べた同大統領は、ミッリイェト紙を通して国際社会に向けてメッセージを送った。カーブルの大統領宮殿で我々の質問に答えた大統領の発言の要旨は以下の通りである。

■新しいアフガニスタン
 「得た最大のものは、アフガニスタンが再び全アフガン人の祖国となったことだ。現在までに450万人の難民が帰国した。国会には、ケマリスト期(アフガニスタンで1970年代まで続いた、トルコを模範とした創設期)、ムジャヒディン(聖戦士)期、タリバン期それぞれの議員がおり、女性、世俗主義者、信仰厚い人々などが混在している。我々は近代的アフガン国家の礎を、非常に民主的な憲法により築いた。国会議員の28%は女性だ。4年前は1人あたりの国民所得が180ドルだったのに対して、現在は355ドルであり、外貨のストックも1億1800万ドル以下から19億ドル以上になった。600万人の子どもたちが初等教育を受けている。将来を見据えた、国際社会と協調する、主権をもったアフガン人の国家が生まれたのだ」

■テロとの闘争
「概ね、テロとの闘争に我々は勝利した。テロリストはもはやアフガニスタンを支配していない。彼らは敗北し、指導者は隠れている。だが我々は細部では勝利することができなかった。未だに彼らは、国民そして国際社会を攻撃し、学校を破壊し、無実の人々を威嚇している。どこで訓練などを行い、どこから資金や資材、武器を集めているかに注意を払わないかぎり、対処できないだろう」

■パキスタンへの警告
 「パキスタンの同胞と我々は3年間話し合いを続けている。問題は、アルカイダの現地組織であれ、国際組織であれ、テロとの闘争において我々には完全な協力が必要であるということだ。アフガニスタンの安定と平和は、近隣諸国、特にパキスタンの利益となる。タリバン期に年間2500万ドルだったパキスタンからの輸入は、今日13億ドルである。
 我々は更なる協力を望んでいる。アフガニスタンとパキスタンの双方が、過激分子と戯れ、過激分子を相互に利用するのは、我々双方を同様の苦しみに陥れると理解しなければならない」

■タリバンの脅威
 「9・11の悲劇的な事件ののち、国際社会は、世界をテロの悪から救うべくアフガニスタンに来た。世界は目覚めたのだ。だが世界がアフガニスタンを再び忘れ、我々に向けた注意をそらすなら、同じ苦しみをいつか再び味わうことになる。タリバンの復帰はありえないのだから、世界が(アフガニスタンで)生じることを見過ごし、かつてのように隣国の干渉に目を閉ざすことがなければ十分だ。そうであれば、(我々政権は)なんでもできる」
 「我々はアメリカに対して、なお一層アフガニスタンに関心を向けさせようとしている。アメリカが我々におこなった強固な約束と払った注意がこれからも続いてほしい。そうでないと、アフガニスタン人は苦しむことになるし、国際社会も同様だ」

■麻薬という恥
 「記録的なケシの栽培は、アフガニスタンの恥である。しかし同時に、経済的な実情なのだ。つまり国民の生活の糧なのだ。解決策は、テロや不安と闘うと共に、積極的に代替品を考案することである。これは我々だけでは不可能であり、世界の支援が条件だ。ケシによる実質的利益享受者は、アフガニスタンの農民ではなく、国際的密輸業者だ。アフガニスタン人のケシ業者は5、6業者しかない。他は誰で、どこの人間なのだ。
 国際社会は、問題を深くまでたどり、マフィア、密輸業者、そして西側の需要に対して闘うべきである。



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( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:3159 )