トルコのレバノン派兵へ、強まる国連の圧力(Radikal紙)
2006年08月27日付 Radikal 紙
レバノンに駐留予定の多国籍軍への参加について話し合われたEU・国連会議で、EUが7000人の兵士の派遣で合意した後、派兵の圧力はトルコに向けられた。国連、イタリア、レバノン、イスラエルは、トルコに派兵するよう呼び掛けている。
国連1701号決議にしたがって、1万5000人の兵力でレバノンに展開される見通しの国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)に、7000人の兵士の派遣を約束したEUは、歴史上最大の軍事作戦への準備を進めている。UNIFILがキリスト教徒の軍隊であると見なされないよう、残る兵力をイスラム諸国が負担するよう求められる中、トルコへの圧力が強まっている。
昨日行われたEU・国連会議で、国連のコフィ・アナン事務総長は、マレーシア、インドネシア、バングラデシュからレバノン派兵の確約を取り付けており、トルコとも交渉が続いていると述べた。その後、国連スポークスマンのエドワード・モーティマーは、「トルコの参加を期待している。トルコの持つ地理的状況や歴史的背景からみて、レバノン派兵はとても重要な意味をもっている」と語った。イタリアのマッシモ・ダレーマ外相も「アナン事務総長の呼び掛けにトルコも前向きな返答をするよう期待している」と発言した。
■「自分の家族に迎えられるよう」
レバノンのヒズブッラー選出の2閣僚のうちの1人、労働大臣のトラド・ハマデは、昨日トルコの派兵を歓迎し、次のように述べた。「トルコ軍が来れば、自分たちの家族に迎えられるように思うだろう。トルコは中東諸国の一員として、レバノンで役割を果たすべきだ。トルコの派兵にイスラエルが反対すれば、トルコはイスラエルに反論しなければならない」。
イスラエルの外務省スポークスマンのマーク・レゲヴも「トルコが部隊の派遣を決定すれば、我々は喜んで迎える」と述べた。
■イタリア軍は火曜日にもレバノンに出発
レバノンのフアド・シニョーラ首相の顧問であるムハンマド・チャタフは、たとえ派兵が遅れたとしてもEUの(軍隊への)積極的な参加がイスラエルの早期撤退と、レバノン南部のレバノン国軍による統制への移行の助けとなるだろう、と語った。イスラエル外務省スポークスマンのレゲヴは、EUのレバノン派兵を歓迎すると述べた。
UNIFILの指揮権争いに関しては、アナン事務総長が「フランスの指揮権を2月にイタリアが引き継ぐように」と述べることで解決。議論は兵士派遣の問題に移った。イタリアのメディアは、700人から1000人の兵士にから成る先遣隊が、戦艦5隻とヘリコプター1機で火曜日に出発すると報じた。フランス国防相のミッシェル・アリオ・マリも、現時点で400人いるフランス兵を20日以内に2000人まで増強すると述べた。
UNIFILの任務がレバノンに安定をもたらすことであることにもかかわらず、レバノン人はUNIFILを信頼していない。
■レバノン人は、UNIFILを信用せず
レバノンのデイリー・スター紙に掲載された、ベイルート研究情報センターが8月18日から20日にかけて各宗教・宗派に属する800人に行ったアンケート調査の結果によれば、レバノン人の多くはUNIFILを信用していない。「UNIFILはイスラエルの攻撃を防ぐことができると思うか」との質問に対し、64.9%が「ノー」と返答した。「ノー」と答えた人の割合は、シーア派の人々で88.9%、キリスト教徒で48.7%であった。回答者の74.5%はイスラエルとの和平実現の可能性を否定している。シーア派の98%、キリスト教徒の58%が平和への望みを抱いていない。
■欧州とイスラム諸国のレバノン派兵状況
フランス:兵士の数を400人から2000人にまで増強する一方、2月まで指揮権を行使する見通し。
イタリア:3000人の兵士を派遣し、2月に指揮権を引き継ぐ。
スペイン:1200人の兵士を派遣し、兵力では3番目。
ポーランド:兵士数を300人から500人に増強予定。
ベルギー:現時点で、302人の兵士を派遣。今後、400人まで増強する可能性も。
ドイツ:ヒズブッラーへの海上からの兵器輸送阻止の目的で、1000人の海兵を派遣予定。
フィンランド:250人の兵士を派遣予定。
ギリシャ:フリゲート艦を1隻、ヘリコプター1機、特殊部隊を派遣予定。
スカンディナビア諸国:デンマークは3隻、ノルウェーは4隻の戦艦を派遣する予定。
ポルトガル:派兵を約束。
EU以外の国々:バングラデシュは1500人、マレーシアとインドネシアは1000人の兵士派遣に向けて準備中。コンメルサント紙によれば、ロシアは2000人を派兵する準備があるという。ネパールは1大隊の派遣を提案している。モロッコとタイは調整中。インドは現時点での800人の兵士を撤退させる見通し。
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( 翻訳者:松岡聡美 )
( 記事ID:3356 )