F1トルコグランプリ、勝者フェリッペ・マッサ(フェラーリ)へのトロフィー授与は、タラト北キプロス大統領(Hurriyet紙)
2006年08月28日付 Hurriyet 紙

トルコ商工会議所連合のリファト・ヒサルジュクルオール会長の提言で、北キプロス・トルコ共和国(北キプロス)のメフメト・アリ・タラト大統領がF1トルコグランプリ優勝者へのトロフィー授与を行った。1つのチャンネルから世界203のテレビ局に配信された放送を通じて、「Mehmet Ali Talat, President of Turkish Republic of Northern Cyprus(北キプロス大統領メフメト・アリ・タラト)」というテロップを、世界の約25億人が目にした。

■「真の闘いは表彰式だった」

ヒサルジュクルオール会長は、世界中のテレビで放送された表彰式の後に、「真の闘いは表彰式だった。(テレビを見ている全世界の人々に対し、北キプロスという)刻印を刻んだ」と述べた。また、トロフィー授与をタラト大統領が行った舞台裏について次のように説明した。

「先週火曜日にエルドアン首相を訪問したところ、首相は『日曜のレース当日には重要な来客があるため、サーキットに行くことができない』とのことだった。首相からタラト大統領が夫人とともにF1観戦に来ることを伝えられたので、トロフィー授与の役目を大統領に任せる計画を立て、秘密裏に事を進めた。寸前まで、授与役が誰になるかを大会運営組織には知らせず、ぎりぎりになってタラト大統領の名を明かした。テレビ局にテロップを流させ、北キプロスという名の刻印を刻んだ。

一年半前に、我々は北キプロス商工会議所のサリフ・トゥナル会頭をエルドアン首相ともどもロシアに案内し、そこでトゥナル会頭がプーチン大統領の前で話をする機会を設けることができた。このことに関し、ギリシャはプーチン大統領のもとに閣僚を送って遺憾の意を伝えていた。F1レースがスタートしてから、タラト大統領にトロフィーの授与をお願いしたところ、とても驚き、感動した様子で、『喜んでやりましょう。ありがとう。でもあなた方に差し障りがなければいいのだが』とおっしゃった。我々は世界203カ国に北キプロスの存在を示すことができた。まさに北キプロス大統領がその肩書きで表彰を行った最初のF1レースとなったのだ。今回の件は、エルドアン首相も政府も承知の上ではなかった」。

イスタンブル商工会議所のムラト・ヤルチュンタシュ会頭は、今回の件を「北キプロスが国際舞台で担った最大の栄誉」と評した。(本来なら)トロフィーの授与役を大会運営組織に前日には知らせなければならないが、今回はぎりぎりまで名前を伏せたとし、「事務局は今日、(授与役が誰か伝えるよう)我々をずいぶんとせかした。昼頃になって授与者の名前を伝えた。事務局は初め反対したが、その後許可を出した。タラト大統領本人にも、レースの半ばになってこのことを知らせた。大統領は「あなた方に差し障りがなければいいのだが」とおっしゃっるので、そのようなことにはならないと説明した。このことは何にも増して重要なことだった。今日は、北キプロスという国を世界に知らしめる最も重要な日となった」と述べた。

ヤルチュンタシュ会頭は、タラト大統領が賞を授与することについてエルドアン首相は知らなかったと話した。しかし、(レースの行われた)イスタンブル・パークの来賓の間では、首相はタラト大統領が賞授与を行うことを知っていたためレースに来なかったと言われていた。首相はレース終了後、アンタリヤからイスタンブルへ飛行機で戻った。

■「北キプロスの名が記されたことがすばらしい」

表彰式を前に、タラト大統領は「国際的な舞台でこのように賞を授与することは、北キプロスという国の認知という観点からも重要な意味を持つと考えている」と話した。式典後、とてもエキサイティングなレースだったと語ったタラト大統領は、「最後に私が賞を授与し、また北キプロスの名が(テレビ画面に)記されたことはすばらしいことだった。確かに我々の国はもとより存在しているのだから、(改めて)宣言する必要はないのだが。それでも、今回の事は非常にすばらしかった」と語った。
一方、ムフメト・アリー・シャーヒン副首相とアッティラ・コチ観光相は、表彰式の前にイスタンブル・パークを後にしていた。

■「想定内」だったタラト大統領の授与

賞の授与役が誰かということがまだ明らかにされていなかったレース当日の昼頃、VIP・A塔にいた来賓のトルコ人高官の間で授与役として予想されていた人物は、やはりタラト大統領であった。スポーツ担当大臣兼副首相のシャーヒン氏は、「観戦席に来賓のタラト大統領がいるのだから、優勝トロフィーを大統領が授与するのがより自然だと思う。副賞の授与役として適任だと思うのもタラト大統領だ」と話した。また正道党のメフメト・アアル党首は、「賞をタラト大統領が授与してくれれば・・・。そうなれば大変喜ばしい。事務局が政治的な問題があると言わなければいいのだが。北キプロスにとってよいアピールの機会となるだろう」と語った。

■イスタンブル警察署長と一緒に観戦

タラト大統領は、F1トルコグランプリをVIP席のテラスから興奮した様子で観戦した。時折写真を撮りながら、そばで観戦したイスタンブル警察のジェラレッティン・ジェッラーフ署長とレースカーやレーサーについて語り合った。

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( 翻訳者:堀ノ内夏子 )
( 記事ID:3365 )