アナン国連事務総長:「レバノンでの停戦は脆弱」「スーダン政府のAU軍駐留拒否は前向きな決定とはいえない」(アル・アハラーム紙)
2006年09月06日付 Al-Ahram 紙
■ ムバーラク大統領、アナン事務総長とレバノン情勢について協議
■ 事務総長、48時間内のイスラエルのレバノン封鎖解除を期待
■ 共同記者会見でアナン事務総長:「レバノンでの停戦は脆弱」「ダルフールにおけるアフリカ連合軍の駐留拒否は前向きな決定とはいえない」
■ アブルゲイト外相:「協議ではパレスチナ、イラク、イランの核開発問題が扱われた」
2006年09月06日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【アレキサンドリア:フセイン・サービト、ムハンマド・アミーン・ミスリー】
昨日午前、ムバーラク大統領はアレキサンドリアにあるラアス・ティーン宮殿でアナン国連事務総長を歓迎した。その会談にはアフマド・アブルゲイト外務大臣とテリエ・ロード・ラーセン国連中東特使も出席した。
アブルゲイト外務大臣は、会見後のアナン事務総長との共同記者会見で、ムバーラク大統領と国連事務総長との協議では、レバノン情勢や国連決議1701号の履行、パレスチナ・イスラエル情勢の進展、中東和平プロセスを安保理に再提案するための調停努力とアラブ諸国の立場、さらにはイラク問題の進展とイラン核開発問題といった、中東地域における喫緊の問題が扱われたと述べた。
一方アナン事務総長は、レバノン、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、シリア、イラン、サウジアラビア、カタル、エジプトへの歴訪から得た自信の所見の概要を、ムバーラク大統領に提出したと語った。
事務総長は、ムバーラク大統領と議論し、「経験豊富で中東地域で起こっている諸問題を熟知している」大統領から助言を得たことに対する完全な満足感を表明した。
またイスラエルがレバノンに課している封鎖について、アナン事務総長は「国連はその封鎖を解除するため、真剣に動いている」として、封鎖問題は今回の地域歴訪における活動リストのなかでも最重要課題であったと述べた。
そして事務総長は、この数時間の内には建設的な良いニュースが聞けるだろうという希望を表明し、「私たちは48時間内にその問題を解決できるであろう」と語った。
またアナン事務総長は、現在レバノンとイスラエルの間に成立している停戦は脆弱なものであると警告し、それを堅固なものにするためのプロセスを国連は担うと発言した。
さらにアナン事務総長は、ヒズブッラーが拘束しているイスラエル兵士二名とレバノン人捕虜との交換に関し、国連は調整役を務めているだけでイスラエルとヒズブッラー間の仲介をしているわけではないとのイスラエルの発言に関する質問に答え、「この問題を解決するための私達の役割は、当事者間の調整役であることが望ましい」と述べた。
事務総長は、レバノン戦争は世界の指導者達に警鐘を発し、私達全てが問題の原因に対処する必要を確信するようになったと述べ、イスラエル―パレスチナ紛争の解決と、国連決議および土地と平和の交換原則を土台にした中東地域の包括和平に到ることが必要だ、との考えを明らかにした。
アフリカ連合(AU)部隊の自国領土への駐留を拒否するというスーダン政府の決定については、「前向きな決定とは到底いえない」と評し、同部隊の撤退は多くの問題を残すことになるとして、「スーダン政府はダルフール地域における治安強化と安定に対して責任を持つべきである」と語り、国際部隊のダルフール派遣はスーダン侵攻への第一歩だとの見方を否定した。
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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:3494 )