国会、ガソリン輸入緊急法案に反対 シャルグ紙
2006年09月06日付 Sharq 紙

2006年9月6日付シャルグ紙2面

【政治部】国会議員らは、ガソリンの輸入のために外貨準備から35億ドルを切り崩す内容の政府提出第一種緊急法案に反対を表明した。

 この反対表明は、国会の承認を難なく得られるものと予想していた政府にとって、想定外の事態であった。というのも、ゴラーム・アリー・ハッダード=アーデル国会議長が先週、三権の長・責任者らと会合をもった際、国会は政府の要求に対して、特にガソリン輸入のために外貨預金を増額して充てることには、反対しないだろうと確言していたからである。

 ところが、昨日の国会公開本会議は、予想を裏切る結果となった。国会議員らは、政府が第4次開発計画及び1385年度〔2006/7年度〕予算の内容に十分留意していないとして、政府提出第一種緊急法案の可決を見送ったのである。

 ファルハード・ラフバル行政企画庁長官は国会に出席し、議員らに対し、ガソリン輸入のための25億ドルの予算はすでに尽きており、もしこの法案が緊急に可決されなければ、政府はガソリンを輸入するための財源がない状態に陥ると警告したが、結局法案は否決された。

 ファルハード・ラフバル長官は、ガソリンの国際価格がここ1年間で、1トン当たり500ドルから700ドルに上昇したことが、ガソリン輸入予算が予想より早くなくなってしまった要因の一つであるとの見方を示し、「原油の国際価格の上昇傾向を考慮すると、国際市場でのガソリン価格は引き続き上昇し、年度末までには750ドルに達することが予想される」と述べた。

 同長官はまた、「国のガソリン不足を補うためには、政府は最低でもあと35億ドル必要である。国際的には、緊急事態に備えて、国は適切な戦略備蓄を有していなければならない状況下にある」と語り、さらに「予算法で承認された、ガソリン輸入のための25億ドルの予算割当ては、しばらく前に使い切ってしまった。現在国に必要なガソリンを供給するために、戦略備蓄を利用している状態だ」と述べた。

 長官はまた、85年度予算法における政府の課題に触れ、次のように述べた。「予定では、政府はガソリン消費を抑えるための措置、中でもスマートカードの導入や公共輸送機関の拡充を実施することになっていたが、問題に直面したため、いまだこれらの課題は果たされていない。なるべく速やかにこれらの措置を実施できることを望んでいる」。

 ラフバル長官はさらに、ガソリンの供給をカード化するためにこれまで採られてきた措置について触れ、「ガソリン用のスマートカードの提供を請け負うことのできる企業は、1社しかない。しかしプログラムが複雑で、この1社の能力にも限界があるため、スマートカードの導入に遅れが生じている。もちろん、石油省は日夜、スマートカードによるガソリン配給制の実現に向け、鋭意努力しているところだ」と語った。

 同長官はまた、「都市バス車両を積んだ最初の積み荷が、まもなくイランに入ってくることになっている。これらのバスを活用することで、ある程度公共輸送機関の拡充が図られるだろう」と述べた。ラフバル長官は最後に、国のガソリンの戦略備蓄が尽きつつあることに警告を発した上で、国の運営に混乱が生じる事態を防ぐためにも、政府提出法案に賛成票を投ずるよう、議員らに呼びかけた。

 ラフバル長官の演説に続き、モハンマド・レザー・バーホナル国会副議長が政府法案を擁護する立場から、自らの影響力によって議員らから必要な票を得るべく、説得を行った。同副議長は、第4次開発計画及び85年度予算法の責務に対する達成度に関して、政府の答弁は妥当なものだとの見方を示し、「ガソリンのスマートカード・システムのプログラムは極めて困難なものであり、不可能とさえ言える」と指摘、その上で「先進諸国でも、このようなシステムの提供は実現していない。このこともあって、一部にはこれ〔スマートカードの導入〕は不可能だと主張する論者もいるくらいだ」と論じた。

 バーホナル副議長は、政府の答弁もガソリン価格の高騰を考えれば止むを得ないとの立場を示し、「ガソリン価格は極めて高騰している。それゆえ、国会が可決した25億ドルの予算割当てでは、上半期分をカバーすることもできない」と述べ、さらに「これまで通り、ガソリンを輸入し続ける以外に、政府に方法は残されていない」とした。

 《原理主義派》の領袖でもある同副議長はまた、我が国を取り巻く国際情勢に触れ、「現在、〔ガソリンの備蓄を〕消費しているところだが、将来ガソリンの戦略備蓄をこれまで以上に増やす必要性について議論することになろう」とした。

 もちろん、バーホナル副議長の説明では、議員らを納得させることはできなかった。法案への反対を表明するべく、〔国会運営を行っている議長団に、壇上での法案への賛否についての演説を〕事前に申し込んでいた議員数が多数にのぼったため、最後には議員らの間で口論が起こる始末であった。国会少数派の一部の議員が、反対表明を行う権利が蔑ろにされたと感じたためであった。

 最終的に、テヘラン選出のアミール・レザー・ハーデム議員が、反対議員として唯一壇上に上がり、予算案及び第4次開発計画が実施されていないことに対する政府の答弁は受け入れられないとの意見を表明した。

 同議員はその上で、次のように述べた。「第4次開発計画第3条で、社会正義の確立と経済措置の実施(補助金の目的化)へ向け、政府は準備を整えて、第4次開発計画の各条項を計画初年度から実行する義務がある旨、謳われている。現在、第4次開発計画が制定されてから1年半が経過したが、この法律は84年度〔2005/6年度〕当初より実行されねばならなかったはずである」。

 同議員は続けて、「〔中略〕大統領も〔年末年始の〕休みの期間、ガソリン輸入のために外貨準備を切り崩すことは、悪政を助長するだけだと言っていたはずだ。国民のすべての層が自家用車を保有しているわけではないにもかかわらず、なぜ自家用車を保有している人々の費用を、生活に困難を抱えている層が負担しなければならないのか」と批判した。

 〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:3436 )