イラン、核問題解決へ向けた包括的な打開策を模索
2007年01月28日付 E'temad-e Melli 紙
【エッテマーデ・メッリー】イラン核問題をめぐる最終期限が近づいている。〔2月11日の革命記念日へのカウントダウンである〕《ファジル10日間》に《核の吉報》が発表され、バフマン月13日から14日〔2月2日から3日〕にも、《核のセレモニー》の開催に合わせる形で、3000機の遠心分離器システムが稼働を開始するのではないかとの憶測が流れる一方で、国連決議第1737号でウラン濃縮活動停止をイランに対して要求した砂時計は、バフマン月末〔2月19日〕にも終わりを迎えようとしている。また、イラン政府は依然として、IAEAの査察官38名に対して、イラン入国の許可を与えていない状況が続いている。
このような状況の中、ロシア国家安全保障会議のイーゴリ・イワノフ書記が昨夜イラン入りを果たし、核をめぐる複雑なパズルを完結させる格好となった。彼はロシアの安全保障分野では極めて重要な存在であり、昨年ロシア領内でイランのウラン濃縮作業を行うというロシア提案をイランに対して行った人物でもある。
〔核問題をめぐる〕状況の変化は速さを増している。そのような中、イラン外相は核問題の包括的打開策の可能性について語っている。マヌーチェフル・モッタキー外相は昨日、ベラルーシのセルゲイ・マルティノフ外相とのテヘランでの共同記者会見の席で、「イラン・イスラーム共和国は核をめぐる議論に関し、自らの合法的活動を継続する所存だ」とした上で、「イラン政府は包括的打開策に到達するためには、すべての側と協議するつもりだ」と述べた。
IRNA(イラン国営通信)の報道によると、モッタキー外相はさらに、ロシアのイゴーリ・イワノフ国家安全保障会議書記が昨夜テヘラン入りしたのはまさにこの〔打開策へ向けた協議〕のためであるとした上で、「さまざまな国との協議の中で、何らかの包括的打開策に到達する可能性もある」と語った。
同外相はまた、核問題に関してはさまざまな提案がなされているが、それらは検討に値するとした上で、「包括的打開策では、イランの活動をめぐって最大限の透明性が確保され、ありうべき一部の懸念が払拭されること、それと同時に平和的な核技術をイランが享受する権利が確保されること、の二点が焦点となろう」と指摘した。
38名の査察官の入国を拒否する決定を下したことに対し、同決定を見直すよう、IAEAがイランに対して求めていることに関し、質問を受けたモッタキー外相は、「イランとIAEAの関係は、両者の協力に関する規定に基づいている。われわれはつねに、NPTの枠内において加盟各国に対して認められている権利に依拠しつつ、この規定を遵守している」と答えた。
▼ エルバラダイ事務局長「軍事的解決策は狂気の沙汰」
マヌーチェフル・モッタキー外相がイラン核問題に関する包括的打開策の可能性について期待を表明する中、エルバラダイIAEA事務局長の側からも打開策が提示された。この打開策はかつてヨーロッパ諸国、中でもフランスから提案されたことがあるが、〔その当時はイラン側に〕受け入れられ〔なかっ〕た経緯がある。
ムハンマド・エルバラダイ事務局長が今回提示した提案とは、「イランはウラン濃縮を一時停止し、西洋諸国は国連安保理による対イラン制裁を一時的に解除する」というものだ。
ISNAの報道によると、ダボスでの世界経済会議に出席したムハンマド・エルバラダイ事務局長は、「イランはウラン濃縮を停止し、国際社会も制裁の実行を中止すべきである」と述べた。エルバラダイ事務局長はさらに記者団に対し、「現在の方向性を変える必要がある。われわれは衝突の方向へと進んでいるからだ。軍事的解決策の存在を考えることは、狂気の沙汰としか言いようがない」と語った。
エルバラダイ事務局長は、イランが国連安保理決議に従ってウラン濃縮を停止したかどうかに関して、2月21日にも報告をすることになっている。もしイランがウラン濃縮作業の停止に応じなければ、制裁はより厳しいものになることが予想されている。
このような中、AP通信は国連関係者の発言として、イランが来月(2月)にも、数万機の遠心分離器からなる濃縮システム構築計画の一部として、ナタンズのウラン濃縮施設の運用を開始することを計画している、と伝えた。
エルバラダイ事務局長はダボスで記者団に対し、「彼ら〔イラン側〕が3000機の遠心分離器からなる施設の来月からの稼働を宣言するつもりであることは、私も承知している」と語った。
他方、IAEA査察官3名が金曜日の夜テヘラン入りし、1週間のイラン滞在中、ナタンズやエスファハーンの核施設を査察する予定であることが発表された。ある情報筋はメフル通信とのインタビューで、「IAEA一行の査察は、純粋にNPTとIAEA保障措置協定に枠内で行われるだろう」と語った。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:10019 )