歴史的建造物のモスクで修復ミス -ないはずの入口列柱廊を増築
2007年02月02日付 Zaman 紙

昨年、修復作業が行われたスィヴァス・ウル・モスクの修復プロジェクトに誤りがあったことが明らかになった。自然遺産保護委員会スィヴァス支部が行った調査で、本来存在しなかったにも関わらず、入口列柱廊がつけ加えられたことが分かった。

セルジューク朝期にクズルアルスラン・ビン・イブラヒムによって建設されたウル・モスクでは昨年、記録、修復、そして補強が開始された。ワクフ局スィヴァス支部はこの作業のために53400YTL(460万円相当)の経費を計上した。作業は夏の終わりに完了したが、モスクにつけ加えられた入口列柱廊が議論となった。
専門家は、セルジューク期の建築に、礼拝時刻に遅れた信徒用の礼拝場所である入口列柱廊を設ける文化はなかったと述べ、この部分がモスクの本来の姿を壊しているという。この問題を調査した自然遺産保護委員会スィヴァス支部は、モスクをもとの状態に戻すため、気候条件を考慮して後から増築された入口列柱廊の取り壊しが必要と決定した。作成された報告書には、入口列柱廊の建設は、文化・自然遺産保護高等委員会が出した2005年12月20日付の基本方針に従っていないと記述されたが、この決定が議論をさらに激化させることになった。ワクフ局スィヴァス支部はモスクを現状で保護することを要請する一方で、自然遺産保護委員会スィヴァス支部は、自然遺産保護高等委員会の基本方針に従うことを望んでいる。

ジュムフリイェト大学文理学部美術史学科の学科長、エルダル・エセル助教授(博士)は、このモスクにもともと入口列柱廊はなかったと説明する。同氏は、記録ならびに修復作業の開始前に、地質調査が行われなかったと述べ、このことについて文化観光省とワクフ局スィヴァス支部に報告したという。
またエセル助教授は、ウル・モスクは十分に調査されていないと述べ、次のように続けた。「これはアナトリアにおける非常に重要な遺構のうちのひとつです。モスクの入口列柱廊は通常、ありません。全ての介入行為がオリジナルの破壊の原因になっています。しかるべき時に地質調査が行われていれば、事態がここまでになることはありませんでした。」
エセル助教授は、さらに保護委員会カイセリ支部の承認に従って犯された間違いは、悪意があって行われたものではないと主張している。

■セルジューク朝時代の遺構

スィヴァス・ウル・モスクは、自らの名称と同じ名の街区にある。スィヴァス博物館所蔵の碑文によれば、イスラーム暦593年(西暦1196-1197年)にクズルアルスラン・ビン・イブラヒムによって建設された。内寸31.54メートル、約1674平方メートルの矩形プランのモスクは、陸屋根(平らな屋根)をもつ。南側の壁に対して垂直方向にのびる11本の廊からなる礼拝室には、合計50本のピア(組積造の柱)がある。13世紀前半に建設されたレンガ造の円筒形ミナレットは116段の階段でバルコニーに出られる。8角形のミナレット基部にクーフィー書体で施されたカリグラフィーはトルコブルーの施釉レンガで作られている。ミナレット塔身には網目模様が一面に施されている。ミナレット基部、塔身、バルコニー下部は、トルコブルーのタイルで装飾されている。

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モスクの写真はこちら、スィヴァス県庁のHPで見られます。

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( 翻訳者:藤巻晋也 )
( 記事ID:10062 )