ニューヨークでキヤーロスタミー作品展が開催
2007年02月25日付 E'temad-e Melli 紙
写真:ホセイン・サーキー(エッテマーデ・メッリー)
【エッテマーデ・メッリー:モハンマド・タージーク】イランの映画監督アッバース・キヤーロスタミーの全作品が、3月1日から26日まで、ニューヨーク近代美術館で上演される。
「映像作家アッバース・キヤーロスタミー」と題されたこのプログラムは、傑出したイラン人芸術家キヤーロスタミーを称えるもので、ニューヨーク近代美術館、イラン芸術センター、及びイラン芸術財団の協力のもと実現した。この作品展では、キヤーロスタミーの処女作『ナーンと路地』から最新作であるショート・フィルム『絨毯』までの全作品が上演されることになっている。
またこの作品展では、キヤーロスタミーが〈青少年思想育成センター〉で作成した多くの作品も上演される予定で、これらはアメリカでは初演となる。
〔中略〕
このプログラムの重要性は、キヤーロスタミーが長年にわたり制作してきた全作品、すなわち映画だけでなく、例えば写真やインスタレーション〔さまざまなオブジェなどを配置する空間芸術〕、ビデオ・アートなども公開されることにある。このプログラムを企画した責任者によると、存命中の世界的アーティストの全作品が展示・公開されるのは初めてのことであるという。
さらにこの作品展に並行して、アッバース・キヤーロスタミーは〔アメリカで〕教育を目的としたワークショップを開催、最低限の設備で作品を生み出す手法について講演するとのことである。
キヤーロスタミーはまた、ニューヨークで開かれるこの作品展の開会式に出席する予定である。
他方、今年開催10周年を迎えるフル・フレーム国際ドキュメンタリー映画祭〔*1〕では、10名の著名な映画関係者・芸術家を招き、各々に自らが選ぶドキュメンタリー作品を一本紹介、それについて講演をしてもらうことになっている。その中でアルゼンチンの著名な作家であり、『死と処女』〔*2〕という有名な戯曲を創作したアリエル・ドーフマンは、〈私が選ぶ過去10年間の傑作ドキュメンタリー映画〉としてキヤーロスタミーの『ABCアフリカ』〔*3〕を紹介・講演する予定だという。『ABCアフリカ』は2001年にフル・フレーム映画祭で上演されている。
〔*1〕Full Frame Documentary Film Festivalはアメリカのノース・カロライナ州ダーラムで開かれる映画祭
〔*2〕『死と処女』はロマン・ポランスキーが1994年に映画化したことで有名。シューベルトの室内楽曲『死と処女』をモチーフにした作品で、3人の男女が密室で激しい葛藤を繰り広げる心理サスペンス。シガニー・ウィーヴァーなどが出演。
〔*3〕『ABCアフリカ』は内戦やエイズによって苦しむウガンダの子どもたちを記録したドキュメンタリー。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:10255 )