北イラクのクルド自治政府議長メスド・バルザーニーは、独立した国を建設することがクルド人の当然の権利であることを述べながら、「独立は夢の話とみなされるべきではない。ただ我々も政治的現実はわかっている。いつの日かこの真実は受け入れられると確信している」と述べた。
ヤシャル・ビュユクアヌト参謀総長は、テロ組織PKKへ武器などの支援を行っているとして、クルド地域の指導者とは会うつもりはないと明言しているが、バルザーニー議長は彼に対しても「PKKへ武器を供給しているという証拠があるのならば明らかにされるべきである。ビュユクアヌト氏はこの地域の難しさをよく知っている。我々がPKKと真っ向から対立することを期待すべきではない」と答えた。
■「証拠資料があるのならば明らかにされるべきである」
バルザーニーはNTVのインタヴューで、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相の「クルド自治政府との対話を行うのは可能である」という発言や、また先日の国家安全保障評議会で「外交と政治のルートを開く」という決定が取られたことは喜ばしい一つの進展であると語った。
直接会うことになったなら、どんなことについても友好的な議論を交わし、問題を平和的に解決する準備は出来ていると語るバルザーニーは、ビュユクアヌトの発言を知ると以下のように述べた。
■「参謀総長には経験がある」
「我々がPKKを支援しているなどという非難を、断固否定する。もしもこの問題において、証拠があるのならば明らかにされるべきである。PKKがカンディル山地域にいるのは、我々が認めたからではない。ビュユクアヌト氏はこの地域の難しさや事情を他の誰よりもよく知っている。このことにおいては経験があるではないか。
この地で我々が軍事的にPKKと真っ向から対立することを期待してはいけない。もしPKKがわれわれとの対話を拒否することになれば、我々は彼らの考えを何一つ伝えることはできないのだ。
一つ質問をしたい、ディヤルバクルやヴァン、さらにはイスタンブルなどトルコの他の地域にPKKが存在し、活動していることに、我々は責任があるのだろうか?」
バルザーニーは、トルコの越境作戦に反対であること、またこれが実施された場合、黙認しないと述べた。PKKに対し軍事行動を起しても、なんら勝利はおさめられないと語るバルザーニー議長は、問題解決のためには政治的第一歩を踏み出す必要があると述べた。
バルザーニーは、キルクークがクルディスタンの一部でありまた中心であることを繰り返す一方、「ここに外部から干渉がなされたなら、状況はさらに悪化することになる。国民投票が延期されることはない」と述べた。バルザーニーは、キルクークへクルド人が移住させられているという主張を、「我々に対する挑発」と表現した。独立した国を建設することがクルド人の当然の権利であることを明らかにしたバルザーニーは次のように続けた。
■「独立は夢ではない」
「この問題におけるタブーがクルド人からも近隣諸国からも消え去ることを望む。クルド人は独立する権利を持っている。トルコ人やイラン人、アラブ人はこの問題について話すということは恥や脅威ではないことを理解するべきだ。近い将来であっても、もしくは遠い将来であったとしても、こうした考えを当たり前のものと思わなければならない。独立は夢であると考えてはいけない。ただ我々は、政治的現実はわかっている。いつの日かこの真実は受け入れられるだろう」
バルザーニーは、トルコへ次のようなメッセージを送った。
「私は平和と共生を呼びかけている。我々は親戚であり、兄弟であり、友人である。お互いを認めなければいけない。我々は脅しの表現を避けるべきだ。トルコを脅威とは考えていない。」
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( 翻訳者:小野寺香織 )
( 記事ID:10274 )