ヨーロッパ諸国、国民資格試験実施へ―問われる「内面(良心)の問題」
2007年03月11日付 Zaman 紙
「女性と男性が法律上平等であることを進歩だと思いますか?」、「あなたは、海岸で二人の人物がキスをしている様子を見ました。さてどうしますか?」、「もしあなたの息子が同性愛者であると打ち明けたとしたら、あなたはどんな反応を示しますか?」
これらの質問は、テレビ番組の質問から引用したものではない。
ヨーロッパ諸国で国籍を取得したい移民たちは、上記の質問に類似した「内面(良心)」の問題に触れるような多数の質問に「正しく」答えなければならない。長年、自国文化への執着を批判されてきたヨーロッパに住む移民たちがヨーロッパに定住することを決心すると、今度は別のハードルに直面する。それが国民資格試験である。今後、ヨーロッパ諸国に定住したいと希望する移民たちはまずこの試験にパスする必要がある。最近、この試験が実施されたのはデンマークである。ヨーロッパ諸国の中で小国に位置づけられるデンマークでは今月、この試験の導入に踏み切った。この試験はヨーロッパで徐々に広がっている。移民たちに今いる国の言葉と文化を学ばせようとするもので、移民らの同化を助けることになると言われている。しかし試験のなかでとくにムスリムに向けられた「内面(良心)」に触れる質問が、多くの移民たちを心配させている。さらにこの試験では不十分だという意見をもつ人や「新しく国民となった人たちに勉強してもらう」といった興味深い提案をする政治家たちも、移民のイライラを募らせる。トニー・ブレア首相の後、英国首相になると見られているゴードン・ブラウン現財務大臣がその政治家たちの先頭にたっている。
自らの発言が議論に発展したブラウン財務大臣は、先般、新しく国民となった人を対象に試用期間を設け、その期間終了後に不適当な人たちの国籍を返還させることを提案した。
移民の帰化に関する議論は、昨年、ヨーロッパでトルコ人が最も多く居住するドイツで活発化した移民論争にも痕跡を残すこととなった。2000年に施行された新移民法はドイツ国籍取得の希望者に、ドイツ憲法承認とテロ活動に加担しないことを課している。国籍申請をする移民は、これに関する契約書に署名させられている。
しかしイスラーム・アーカイブという名称の団体が、ドイツ国内のムスリムの21パーセントがドイツ憲法とコーランが矛盾すると考えているという統計結果を公表した後、一部の州では新たな条件が課せられるようになった。バーデン・ヴュルテンベルク州では、ドイツ国籍取得を希望するとくにムスリムに対し、知能テスト形式の30問の設問リストを作成した。同州の関係者は、「内面(良心)テスト」がムスリムのみを対象としているということを否定する。しかしハイデルベルグ市でこのテストがムスリムを対象としていることを明記した覚書き、そしてこのテストがイスラム会議機構(OIC)加盟国出身者に実施されているとする関係省庁の文書がマスコミで報道された。
ネジレ・ケレキさんを含む一部のトルコ人のために用意された設問の一部は次のようなものだった。
「ドイツである男性が二人の女性と同時に結婚することについて、どう思いますか?」、「もしあなたの息子さんが同性愛者であると告白し、男友達と同棲したいと申し出たら、あなたはどんな反応を示しますか?」、「妻は夫に付随すべきで、もしそうでなければ夫は妻を殴ってもよいという表現をどう思いますか?」、「分別のある年齢に至ったあなたの娘、またはあなたの妻が、ドイツ人女性のような服装をしたいと言います。あなたはこれをさせまいとしますか?もし答えがはいであるなら、どのように?」
ドイツ連邦内務大臣らが昨年5月に国籍問題を審議するために一堂に会した。しかし帰化したいと望む人々に試験を受けさせることに関して、妥協点は見出せなかった。
(後略)
現地の新聞はこちら
( 翻訳者:山下王世 )
( 記事ID:10371 )